So-net無料ブログ作成
検索選択

コラム:2017年のブラックスワン、3つの有力候補

東京 24日]
2016年を振り返ると、まっとうと思われた予想がことごとく空振りに終わる年でもあった。そこで、各種市場の見通しは諸賢の論考に任せるとして、筆者は「あり得なさそうだが心配なこと」に思索を巡らせてみたい。

事前予測がほとんど不可能であり、発生時の衝撃が極めて大きい事象を「ブラックスワン」と呼ぶが、本稿のテーマは極論すれば「2017年のブラックスワンはどこに現れそうか」ということである。

列挙していけば枚挙にいとまがないため、今回は米国、欧州、アジアから1つずつ筆者の思いつくシナリオを紹介してみる。

<第2次プラザ合意でドル安加速>

まず、米国に関しては何が言えそうか。トランプ大統領誕生自体がブラックスワンだったため、同氏の執行する政策全てが混乱の種になり得るのは間違いない。

為替相場の観点から言えば、米次期政権の通貨外交がドル安への忌避を隠さずに、通貨の低め誘導を図ってくる展開は警戒せざるを得ない。しかし、それらはブラックスワンというほどのものではなく、現実的に警戒すべきリスクだろう。

トランプ次期大統領の下での通貨外交に関し、ブラックスワンを想定するとした場合、それは「国際協調を絡めたドル安誘導」まで希求し始めるような展開かもしれない。極端な話、第2次プラザ合意を模索するような動きだ。

今年11月時点でドル相場は名目実効相場で見て2002年11月以来、約14年ぶりの高値をつけている。今年、ドルは円に対して大きく下落したものの、実はドル相場全体としてはほとんど下がっていない。言い換えれば、円以外の通貨に対する上昇余地はすでに相当限られている。

例えば、トランプ次期大統領が通商上、目の敵にするメキシコのペソは対ドルでの史上最安値を断続的に更新している。このような状況がさらに極まっていくことを同氏は許すだろうか。

かかる状況下、2017年を通してドル高が続いた場合、米国は基軸通貨としての影響力を行使することを選ぶかもしれない。多くの人は忘れているかもしれないが、今年2月に中国・上海で開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に関し、事前には第2次プラザ合意への思惑があったし、事後には「暗黙の上海合意」に対する観測報道が材料視されドル全面安となった。

現在のドル相場はその当時よりも高水準にある。ドル高が続けば、中国を筆頭とする新興国で資本流出が加速し、混乱が起きる。だからこそ、そのような国際協調の必要性がささやかれたはずだ。今後もドル相場の上昇が続くとしたら、同種の観測が浮上する可能性はあろう。

足元ではトランプノミクスをレーガノミクスと重ね合わせる向きが散見されるが、今起きていることが本当にレーガノミクスの再現ならば、行き着く先はプラザ合意だ(1985年に日米欧はドル安誘導で合意)。第2次プラザ合意を、2017年のブラックスワン候補として用心するに越したことはない。

<英国がEU離脱方針を撤回>

2017年については「トランプの年」との下馬評が目立つ中で、同時に「欧州政治の年」との声も多く聞かれる。17年のスケジュールを見ると約3カ月に1回、欧州連合(EU)の大国で総選挙が実施されるイメージだ。

特にイタリアで総選挙が実施された場合、反EU政党である五つ星運動率いる勢力が政権を奪取する可能性が現実的に見え始めており、その場合はユーロ離脱を問う同国の国民投票まで視野に入れたリスクオフ相場に至る可能性がある。しかし、これらも市場参加者の警戒の範疇に入る事象であり、ブラックスワンと呼べるほどの展開ではない。

欧州政治に関するブラックスワンを想定するとした場合、英国のEU離脱(ブレグジット)方針が撤回される可能性に注目したい。英国からEUへの離脱通知に関し議会承認が必要との司法判断が示されて以降、ブレグジットをめぐるスケジュールには不透明感が強まっている。今後、議会の採決が得られなければ解散総選挙を経て「今一度、民意を問う」という可能性はゼロではない。

その場合は離脱に対する国民の意思表示を再確認する意味が込められようが、果たして国民投票と同様の結果(離脱)が得られるのかは定かではない。また、仮にメイ英首相が宣言した通り、2017年3月までに離脱通知が行われたとしても、協議が思うように進まないことを受けて、双方合意の上で離脱方針の撤回へ傾くという流れもないわけではない。

リスボン条約50条に基づく離脱通知は不可逆的との理解が通説だが、実際にはそのような明記はない(少なくとも再加盟に関する記述はある)。双方納得すれば、撤回は可能という展開もあり得る。

何より、2017年に大国で総選挙が相次ぐことを踏まえれば、欧州委員会を筆頭とするEU政策当局にとってブレグジット方針は「揺らげば揺らぐほど良い」というのが本音だろう。

むろん、国民投票で示された意思表示は簡単に覆されることはないというのがメインシナリオだが、投票後のばたつきを見ていると、離脱方針が本当に遂行されるのか不安に思うこともある。なお、ブレグジット方針が撤回された場合、リスク許容度の改善から円売りが加速する可能性が高い。

<中国人民元相場のフロート化>

アジアに関してはやはり中国経済、特にその通貨政策にまつわるブラックスワンを警戒したい。過去1年間を振り返れば、米金融政策の正常化を受けて新興国から資金が流出、特に中国ではこれに応じて人民元相場の切り下げが行われた。

現状の中国の通貨政策は「基調としては元安を追求しつつ、断続的な元買い介入によって急落は避ける」という軟着陸を意識した運営が続いている。資本流出が落ち着くまで、こうした対応でやり過ごしたいというのが本音と推測される。

今年の中央経済工作会議で公表された金融政策のスタンスが「慎重かつ中立的」へと、わずかながら引き締め方向に調整されたのも、米中金融政策格差に応じた資本流出に一定のブレーキをかけたいという思いの表れと見受けられる。

だが、漸進的なアプローチを放棄し、一気に完全変動相場制(フロート化)に踏み切るリスクもゼロではあるまい。昨年来続く外貨準備の減少は、切り下げを経てもまだ市場が「あく抜け」に至っていないことの証左でもある。

仮に現時点で為替介入の手を止めれば、人民元相場は急落するだろう。市場心理に歯向かうような為替誘導を続ける限り、その代償として外貨準備は確実にすり減っていく。現状の外貨準備は約3兆ドルと市場の元売りに立ち向かい続ける「弾薬」はかなり潤沢だが、減少が続く以上、どこかで投機アタックの可能性が浮上する。

もし中国が将来的にフロート化したいのであれば、潤沢な外貨準備とともに十分な防衛力を備えている今が決断の好機だ。国際金融大国を志向する以上、追い込まれてフロート化させられるパターンを中国は望まないはずだ。一度下げたいところまで下げさせれば、痛みは急性的でも一時的なもので済むと思われる。

しかし、昨年8月や今年1月のケースを振り返れば分かるように、人民元の大幅切り下げは中国経済への極度の不安をあおり、株や商品などのリスク資産が軒並み底割れするような展開を招く。むろん、そのような展開はメインシナリオではないが、2017年のブラックスワン候補としては検討する価値があるように思える。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:マネー

コラム:2016年のドル円を動かした人物トップ10

植野大作 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト

東京 26日]
2016年のドル円相場は「申酉(さるとり)騒ぐ」の格言通り、大きく荒れた。序盤から終盤にかけて激しく変わるドル円相場の局面変化を、全て完璧に読み切れた関係者は恐らく皆無だろう。

毎年この時期には世間で「今年の10大ニュース」の発表が相次ぐ。2017年のドル円相場を展望するに際し、「温故知新」はポイント整理に役立つ。以下、「2016年のドル円相場に影響を与えた人物トップ10」を筆者の主観で選んでみたい。

●第1位=トランプ次期米大統領

米大統領選挙期間中は、過激な言動で市場を不安に陥れたが、11月の本選で勝った直後に立派な勝利演説を行い、米金利上昇・株高・ドル高の「トランプ相場」を加速させた。11月9日の安値101.20円から12月15日の高値118.66円まで約5週間でドルは17.46円も急騰した。

米国でトランプ政権が発足するのは2017年1月20日であり、選挙中の公約だった大型減税・公共投資の具体像が明らかでない段階での「トランプラリー」は期待先行の感が否めない。だが、「年収1ドルで働く」と宣言した「ビジネスマン大統領」の強い旗振りの下、米国経済の足腰が強化されるとの期待も強く、4年間の任期中の政策運営が注目されている。

●第2位=キャメロン前英国首相

「首相の火遊び」と揶揄(やゆ)された国民投票を6月23日に実施、「欧州連合(EU)離脱」という驚愕の民意を引き出した。翌24日の東京市場でドル円相場は早朝に記録した106.84円の高値から約5時間半で7.32%も暴落して一時99.02円と今年最安値を記録した。1日のドル円の下落率としては、1998年秋の「LTCMショック」で計測された9.36%に次ぐ大記録だ。

英国民投票の結果を受けてポンド安が加速する中、市場のリスク探知機の針が振り切れたことで、ポンドドル市場経由のドル高圧力よりも、ポンド円市場経由の円高圧力が強くドル円市場に伝染した。

●第3位=肖鋼・中国証券監督管理委員会前委員長と周小川・中国人民銀行総裁

肖鋼・前委員長は、年明け早々の中国株暴落に対して逆効果になった「株売買の停止」「サーキットブレーカーの導入」「大株主の売却制限」などの対策を次々実施して市場を混乱させた後、2月下旬に辞任した。

ほぼ同時に加速した元安が、中国からの資本逃避懸念を増幅したため、当時は人民銀がドル元レートの基準値を元安方向に設定するたびに市場のリスク許容度が萎縮、「リスク回避の円高圧力」が強まった。

2016年前半に加速した強烈な株安・円高局面では、いわゆる「チャイナリスク」への懸念が猛威を振るい、その後の英国民投票でドル円が2年7カ月ぶりの99円台に突入する素地が作られた。

●第5位=イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長

2016年最後の米連邦公開市場委員会(FOMC)までの間は利上げを我慢したが、12月に満を持して1年ぶりの利上げに踏み切った。

0.25%の利上げは、市場の予想通りだったが、同時に提出された政策金利見通し(ドットチャート)で2017年中の利上げ回数が「2回」から「3回」に上方修正されていたほか、これまで下方修正の連続だった「長期の政策金利」見通しが引き上げられたことが「トランプラリー」を助長した。

FOMC後の会見でイエレン議長は「財政刺激は完全雇用の達成には必要でない」などと発言しており、2017年春頃に始まる米予算協議をにらみながらの金融政策の操舵が注目されている。

●第6位=黒田東彦日銀総裁

1月に導入したマイナス金利の評判が悪く、円安効果はわずか3日で切れた。その後、7月の会合で次回までに「総括的な検証」を行うと宣言、十人十色の詮索トークを刺激した。

9月に導入された「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に追加緩和策は含まれておらず、当初は「金融緩和の限界論」を助長したが、金融政策の主役を「金利」に戻したことの効果が後に現れ、米大統領選後に加速した米長期金利の急騰局面での「円の弱さ」を際立たせた。

なお、市場では賛否両論が渦巻いているが、7月に導入した年6兆円の上場投資信託(ETF)の爆買い政策は、その後の日本株を下支え、市場のリスク許容度改善効果を通じて円安に寄与したと指摘する声もある。

●第7位=ムハンマド・サウジアラビア副皇太子とプーチン・ロシア大統領

2016年前半の円高局面では、「原油価格の下落」も市場のリスク許容度を萎縮させた。2月に原油が26ドル台で底打ちする頃までは、ムハンマド副皇太子がイランを含まぬ減産に難色を示し、原油価格は軟調地合いが続いた。

だが、原油が30ドルを割り込むとサウジとロシアの痩せ我慢が限界に達して水面下の協議が活発化、10月にプーチン・ロシア大統領が「石油輸出国機構(OPEC)に協力する用意がある」と述べたことで価格の安定感が増した。

その後、11月のOPEC総会で8年ぶりの減産合意が成立、12月には15年ぶりにロシアなどの非加盟国も含んだ合意が成立、原油底割れ懸念の後退がドル円やクロス円を巻き込んだ円の全面安に寄与した。

●第9位=安倍晋三首相

7月の参院選で勝利した直後に経済対策を指示、官邸で「ヘリコプター・ベン」ことバーナンキ前FRB議長と会ったことで、一部海外勢にヘリコプターマネー政策の準備を想起させた。

参院選前の100.0円から21日の107.49円まで、わずか9営業日で7.49円もの円安が加速したが、その後は政治的配慮による経済対策額の水増しが判明、半月後の8月中旬には一時99.54円と、逆に7.95円もの円高が進んで市場関係者の夏バテが増幅した。

他方、外交面では歴史的な活躍が目立ち、米大統領選で勝利したトランプ氏の自宅を10日後に訪問したほか、5月に広島を訪れたオバマ米大統領への返礼も兼ねて12月に真珠湾を訪問する。一連の対米外交が成果をあげ、今後の日米両国関係の安定に寄与することが期待されている。

●第10位=コミー米連邦捜査局(FBI)長官

米大統領選の11日前にクリントン民主党候補の国務長官時代のメール問題に関する捜査再開を突然発表、同氏の楽勝ムードを一気に消したが、投開票の2日前になって今度は「訴追を求めず」との判断を示して選挙戦を混乱させた。

コミー長官の行動が選挙結果にどれほど影響したかは不明だが、敗戦から5日後にクリントン氏は同長官の書簡が「選挙戦に大きな打撃を与えた」との見方を示している。米大統領選挙後の強烈な「トランプラリー」を見るにつけ、「もしもコミー長官の判断迷走がなかったら、今頃どうなっていたのだろうか」との感慨を禁じ得ない。「トランプ相場」の影の立役者として、末尾に挙げておきたい。

以上、筆者が選んだ「2016年のドル円相場に影響を与えた人物トップ10」だ。諸々異論はあるだろうが、恐らく1位については衆目が一致しているのではなかろうか。

冒頭で触れた通り、2017年は「さるとり騒ぐ」2年間の後半戦に突入する。最大の注目テーマはやはり「トランプノミクス」の成否になりそうだが、2016年1年を振り返っても、為替相場はどこに地雷が埋まっているか分からない。

2017年3月までに行うとメイ英首相が宣言している対EU離脱通告後の条件協議の行方、トランプ米新政権発足後の米中関係と中国発の世界景気悪化懸念の当否、主要産油国による減産合意の遵守状況などにも引き続き細心の注意が必要だろう。

相場を騒然とさせる「とり年」の霊力が、円高・円安どちらに宿るのか、予断を許さぬ1年になりそうだ。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:マネー

コラム:ドル円こう着招く欧州リスクと米国期待

鈴木健吾 みずほ証券 チーフFXストラテジスト

東京 13日]
米大統領選挙でドナルド・トランプ氏の優勢が伝えられた11月9日、ドル円は101.19円の安値をつけ、1カ月後の12月9日には115.37円まで上昇。22営業日(日米祝日含む)で実に14円を超える値動きを示現した。

筆者は約10年間にわたり為替のプロップディーラーをしていたため、つい値幅を意識してしまうのだが、正直、1カ月でここまでの動きはほとんど記憶にない。実際に2000年以降のドル円相場を調べてみたところ、今回と同程度の期間で同等以上の値幅が発生したのは2008年9月後半から10月にかけて、つまりリーマン・ショック直後だけだった。

短期間にこれだけ急激な値動きを示すには、ドルと円、両方の動きが組み合わさらないと難しい。例えば、今年前半のドル円相場は1月の121円台から6月の99円台まで半年で約22円も動いたが、この間のドルと円の動きを確認すると、ドルインデックスは横ばい、円インデックスは約2割の円高となっており、値動きの主語は「円高」だったことが分かる。

貿易収支の黒字転換や日銀緩和に対する限界論などもあろうが、大きく動く場面では「原油価格下落」「中国経済への懸念」「米景気腰折れ懸念」「英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)」といったリスク要因がリスク回避の円高をもたらす構図が見られてきた。

今回、トランプ次期米大統領の政策に対する期待が素直な「ドル高」につながった上、その期待が世界的な株高をもたらし、楽観ムードがリスクオンの「円売り」にもつながっている。石油輸出国機構(OPEC)が8年ぶりの原油減産合意に踏み切ったことや中国経済に対する懸念の後退も楽観ムードの背景としてあるだろう。

これらによる全般的なドルの上昇と円の下落が組み合わさった結果、ドル円はリーマンショック級の値幅を伴った値動きを示現している状況にある。

<ドルの下値を支える「トランプ期待」>

このドル円の上昇傾向が来年序盤も続くかに関しては、やはりドル高をもたらした「トランプ期待」の継続有無と、円高の鍵を握るリスク要因の見極めが重要になると見られる。

トランプ米次期大統領については、その言動と具体的な政策に注目が集まるだろう。大統領選での勝利以降、トランプ氏は過激な言動を封印し、真摯な姿勢で大統領職に臨む姿勢を示すとともに現実路線に舵を切っていることが市場に好感されている。

過激な言動はあくまで選挙対策用の仮の姿との見方もあるが、一方であの過激な言動こそが本来の姿ではないかとの懸念も脳裏をよぎる。直近では南シナ海問題などにおいて中国に対する厳しい表現も見られるなか、過激な言動が再び強まれば、政策に対する信用も低下しかねない。

トランプ新大統領の政策は1月20日に予定される就任演説に加え、1月末から2月中にかけての三大教書(一般教書、予算教書、経済教書)などを通じて徐々に具体性を増すだろう。ハネムーン期間と呼ばれる就任後の最初の100日間に、選挙中に公約した政策などについて立法化を目指すと予想される。

目玉となる大型減税やインフラ投資、財政出動の規模感、加えて為替市場で注目度の高いリパトリエーション減税(本国投資法)などが徐々に具体化する。全般的に、大胆な政策に対する期待はドルの下値を支え続けると考える。

ただ、すでに期待で上昇していることに加え、政策の実効性や有効性を見極めたいとの思惑が上値を押さえる要因になると予想されることから、大統領選後に見られたペースでのドル高は難しいだろう。

<リスク要因は中国より欧州>

リスク要因についてはどうだろうか。中国では2017年3月に全国人民代表大会(全人代)が予定されるが、2017年後半に共産党大会を控える中、すでに2016年11月29日の国務院常務会議や12月9日の中央政治局会議で、2016年からスタートした経済5カ年計画に沿った政策総動員での景気対策継続が示されており、リスクは限定的だろう。

足元では人民元の下落とともに外貨準備が急減しており、これが資本逃避を引き起こす可能性には一定の注意が必要だが、急減したといっても外貨準備の規模は世界ダントツ1位で2位日本の3倍前後となる300兆円規模だ。市場の動揺も限定的と見ている。商品市況に関しても鉄鉱石や銅相場の上昇基調に加え、12月の減産合意を受けた原油価格の堅調さもあり、2017年前半に市場のリスク要因とはならないだろう。

警戒が必要なリスクとして、欧州の2つのリスク、すなわち「ブレグジット」と「ポピュリズム伝播」に注目している。英国のテリーザ・メイ首相はEUに対する離脱の申告を2017年3月末までに行うとしている一方で、その方針はあいまいなままだ。

経済よりも難民問題を優先する「ハードブレグジット(強硬な離脱)」となるか、単一市場へのアクセスを優先する「ソフトブレグジット(穏健な離脱)」となるか、その道筋にはなお不透明感が残る。ハードブレグジットに加えてスコットランドが英国からの独立を目指すといった最悪のシナリオもくすぶる中、2017年3月にかけてのリスクとなろう。

世界的に反グローバリズムやポピュリズムの広がりが指摘されているが、2017年の欧州では選挙が多い。思えば2015年、ギリシャがEUの金融支援受け入れをめぐる国民投票で「ノー」を突きつけた時点ですでにこの流れが始まっていたのかもしれない。

今年のブレグジットやトランプ氏勝利もこの流れの中にあり、12月4日にはイタリアの国民投票で憲法改正案が否決された。イタリアでは次期首相が決まることで目先の総選挙は避けられる見通しだが、2017年の終盤以降、総選挙の可能性が残る。その場合、反EUを掲げる「五つ星運動」が第1党となる可能性が高い。

3月15日までに予定されるオランダの総選挙でも反EUの極右政党、自由党が躍進する可能性が指摘されている。4月から5月に行われるフランス大統領選挙でも反EUの極右政党、国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が有力候補となっており、秋にはドイツの連邦議会選挙もある。ドイツ、フランス、イタリア、オランダといったユーロ圏の中核4カ国で反EUの流れが強まればユーロ崩壊といった話が再燃しかねない。

<ドル円は110―120円のレンジ相場へ>

このように欧州の政治に対して一定の警戒が必要であると考えているものの、金融市場全般的には今のところ、今年前半のような悲壮感はない。欧州にしても経済指標の改善を背景に量的緩和縮小の可能性が指摘されるなど、最悪期は脱した可能性もある。原油価格や中国経済など後退したリスクを含め、リスク回避の円買いが進む状況とはなりにくいというのがメインシナリオだ。

結果、2017年半ばにかけてはトランプ次期米大統領の政策や欧州の選挙などをにらみつつ、ドル円は現状の1ドル=115円近辺を中心としたもみあいとなる展開を予想(トランプ氏の勝利と政策を反映して上方修正済み)している。レンジとしては110円から120円程度の値動きとなるのではないか。

メインシナリオではないが1ドル=110円を割り込むとすれば欧州のリスクが先鋭化する場合、一方で120円を超えるとすれば欧州のリスクが限定的に終わる中、世界的な景気回復傾向の強まりやトランプ次期米大統領の政策に対する期待が予想以上に盛り上がった場合などとなろう。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:マネー

ドル/円は高値圏でもみ合い、休暇明けに一時的調整も=今週の外為市場

東京 26日 ロイター]
今週の外為市場でドル/円は、高値圏でもみ合うとみられている。ただ、株高と金利高が同時進行する「ユーフォリア相場」がクリスマスで一時休止したあと、参加者の目がリスク要因に向き、ドルロングが限界的に巻き戻される余地もあるとみられている。

予想レンジはドル/円が116.50―118.50円、ユーロ/ドルが1.0350―1.0550ドル。

26日は日本以外の主要市場が休場。27日は英、独、加、豪、ニュージーランド、香港市場が休場。

「年末年始は基本的に高値圏でのもみ合いに終始するだろう。ただ、流動性の乏しい休暇相場で値が飛びやすいリスクもある」(国内銀)という。

実需勢ではドルの買い遅れが目立ち、短期筋のみならず実需勢でも押し目買いニーズが強い。輸出勢は多少売ってくる程度とされ、相場への影響は限定的とみられる。

一方、円ショートを積み増しているファンド勢など短期筋においては「休暇明けに、ある程度のポジションをいったん落として、後から買い直すという動きがあってもおかしくない」(運用機関)との見方もある。

20日時点のIMM通貨先物の投機部門の取り組みでは、円のネットショートが7万5449枚と、前週の6万3429枚から増えている。

円ショートの積み上げに寄与した米長期金利動向については、中国の動向も気になる。

中国国家外為管理局(SAFE)の報道官は22日の会見で、中国は英再投資を調整する可能性があり、米債保有の減少は戦術的な動きだと述べた。報道官は大規模な資本流出を抑えるために「カウンター・死栗カル」な措置を講じる必要があると説明した。

一方、テロ攻撃関連のヘッドラインは、ユーフォリア相場にネガティブに作用し、資金の流れを滞らせる可能性があり、警戒されている。

26日は日銀決定会合の議事要旨(10月31、11月1日分)が公表されるほか、黒田日銀総裁が講演予定。安倍首相は27日までの日程で米ハワイ州を訪問し、真珠湾で慰霊を行い、日米首脳会談も予定される。同日、米国市場は休場。

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:マネー

円はすでに「暴落」 1ドル120円台が目前

http://www.j-cast.com/2016/12/15286233.html?p=all

米連邦準備理事会(FRB)が2016年12月14日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、1年ぶりの利上げを決めたことで、15日の東京外国為替市場は早朝からドル買いが進み、同日17時現在で117円62~63銭と前日(114円98~99銭)と比べて2円64銭の大幅なドル高・円安となった。

「トランプ相場」の勢いに「利上げ」が加わり、円安が加速。「1ドル120円台」が見えてきた。

■米FRB、ドル高を容認? 相場を動かす

米連邦準備理事会(FRB)によると、利上げ幅は0.25%。短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標も、年0.25~0.50%から0.50~0.75%に引き上げた。新たな政策金利は15日から適用。同時に公表した政策金利の見通しでは、2017年中に3回の利上げを見込んだ。

FRBは2015年12月に9年半ぶりの利上げに踏み切った。08年末から続いたゼロ金利政策を解除したが、その直後の1月には世界同時株安に見舞われ、この1年は追加利上げのタイミングを見計らっていた。

FRBは利上げの決定について、「労働環境と物価上昇率の実績と見通しから、政策金利の引き上げを決めた」と、声明文で明らかにした。

FRBの利上げ決定を受けて、2016年12月14日の米ニューヨーク外国為替市場の円相場は、ドル買い・円売りが加速。円相場は2月8日以来、約10か月ぶりに1ドル117円台に急落した。前日から2円近く円安が進んだことになる。

さらに、15日の東京外国為替市場はNY市場の流れを引き継ぎ、早朝から「ドル買い」が進んだ。午前のドル円相場は、米国の利上げを受けたドル買いが一巡。その後はやや伸び悩んだものの、1ドル117円台前半で推移。正午には117円28~28銭となり、前日17時(114円98~99銭)と比べて2円30銭のドル高円安となり、円安が止まらない。

外為どっとコム総合研究所の調査部長・上席研究員の神田卓也氏は、「0.25%の引き上げは、当初の(市場の)見立てどおりでしたが、(17年の)利上げ回数については1回増えて、3回になりました。将来の利上げをペースアップさせることを示唆したといえます。事前の予想と違ったこともあり、今回の発表ではこの点にインパクトがありました」と指摘する。

それに加え、「イエレン議長の会見では、ドル高へのけん制がひと言もありませんでした。これが大きかった。実際にドル円相場の推移をみても、イエレン議長の会見時に相場が大きく動きました」と、市場は「FRBがドル高を容認した」と受けとめているとみている。今後、さらに「ドル高円安」に拍車がかかる可能性がありそうで、「1ドル120円」は目前まで迫ってきている。

■「一人勝ちは永続的なトレンドにはなりにくい傾向」

今回の米国の「利上げ」の背景には、トランプ次期大統領が法人減税や規制緩和、積極的なインフラ投資などの景気浮揚策を打ち出したことで、株価や金利が上昇したこと、つまり「トランプ相場」が利上げを後押しする材料となったともみられている。

そもそも、最近の急激な円安は、2016年11月8日の米大統領選で共和党のドナルド・トランプ氏が、民主党のヒラリー・クリントン氏を破って勝利したときからはじまった。「トランプ氏優勢」が伝わると、東京外国為替市場は米大統領選の開票中のわずか2時間で3円以上も急騰。1ドル101円台を付けたことは、まだ記憶に新しいはず。

この時点と比べると、12月15日のドル円相場はなんと16円もの急落。米大統領選以降のこの1か月でも、円はドルに対して12円超も下落した。

前出の外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏は、「これはもう、円の暴落と言っていいと思いますよ」と話す。

神田氏によると、2015年のドル円相場は1年で10円の値幅で動いただけ。「それを足下のわずか1か月で1.5倍も動いたんですから。2000年以降、ここまでのスピードで動いたケースはありません」と指摘する。

ただ、神田氏は「ドル円でみると『円の暴落』ですが、現状は円安というよりも、『ドル暴騰』といったほうが正しい。ドルの一人勝ちです」ともいう。

たしかに、12月15日の東京外国為替市場で、ユーロは円に対して上昇したが、その値幅はわずか。17時時点では1ユーロ123円31~33銭で、前日(122円45~46銭)比86銭ほどのユーロ高・円安で推移している。

一方、ユーロはドルに対して大幅に下落。1ユーロ1.0481~0482ドル(前日1.0649~0650ドル)だった。英ポンド・米ドルやニュージーランドドル・米ドルなどの相場をみても、やや緩んではきたものの、ドル高基調が強いという。

神田氏は「これは経験則ではありますが、一人勝ちは永続的なトレンドにはなりにくい傾向にあります。半年から1年も続くというのは違和感がありますし、どこかのタイミングで調整が入りそうです」と話す。

米トランプ次期政権への失望リスクなどが高まれば、ドルが暴落する恐れも。「反動はある」とみている。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:マネー

来年利上げ3回「失業率低下で」 イエレンFRB議長会見

米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は14日、0.25%の利上げを決めた米連邦公開市場委員会(FOMC)後に記者会見した。主なやりとりは以下の通り。

これはわずかな修正にすぎない。失業率が低下したことなどを踏まえて判断したものだ。FOMCメンバーの中には来年の財政刺激策の景気への影響を踏まえ、利上げの回数を増やした方がいいという意見もあった。

▼財政刺激策や減税の生産性への影響

生産性の向上で考慮すべきことは教育の質の向上、労働者の訓練などの強化で、(労働)資源の質を上げることだ。技術革新や競争力を上げ、新しい会社の設立をすすめる政策でなければならない。

税制はその効果があるだろう。ただ、減税がどれだけ景気(浮揚に)に効果があるかは中身次第だ。政府の経済政策がどう変わり、FRBがどう対応するかについては今の時点では言及することはできない。詳細が明らかになるまでは推測は避けたい。

▼財政刺激策が出てきても、それが生産性向上につながらなければ、FRBは利上げのペースを上げる必要があるか。

これは一般論で語ることはできない。減税が生産性を上げることは望ましいし、生産性の拡大ぺースを上げることは中立金利に影響を与え、投資を拡大させる。これまで我々が言及してきた通り、中立的なフェデラルファンド(FF)金利はきわめて低く、その理由は生産性の低さを反映しているからだ。

▼利上げが一般の人々に与える影響。

我々が今日利上げに踏み切ったのは景気の現状に自信があり、今後も拡大を続け、景気は底堅いと確信していることを反映したものだ。利上げは金融市場では十分に予想されていたもので、市場への影響は比較的小さいだろう。短期金利の小幅上昇にはつながり、借り入れコストが若干上昇するが、概して一般の人々の家計や企業への利上げの影響は非常に小さいとみている。

我々FRBは景気が強くインフレ率や失業率も目標水準に近づいていると判断していることを、一般家庭の人々や企業に理解してもらうことが重要だ。雇用情勢は強く、景気は底堅い。

▼FRBの利上げのペースは遅れているか

中立金利は依然として低水準で、我々の金融政策は引き続き緩めだが、その程度は比較的小さなものだといいたい。物価上昇率は依然として目標水準以下だ。失業率の目標も、現在の4.5%から0.1ポイント程度の低下とみられる。

物価上昇率は2%への拡大を目指しており、我々の利上げのペースが遅れ気味とはいえない。労働市場もインフレ圧力が高まるほど過熱気味ではない。

私の判断では金融政策は目標水準にうまく近づいているとみている。ただ、今後の景気がどうなるかの見通しは不透明だ。この後の景況次第で我々の見方も修正する必要があることも認識している。

▼現在の景気は財政刺激策をどれだけ許容できるのか。

前任者のFRB議長と私が財政刺激策の必要性を語ったとき、失業率は今よりもはるかに高かった。現在の4.6%の失業率と労働市場の強さを踏まえれば、完全雇用を達成するために財政刺激策は必要ない。ただ、次期政権や議会に経済政策の内容を示唆しているわけではない。議会や政権は財政策を変更するのにいろいろな条件に鑑みなければならないからだ。

生産性の拡大の重要性をこれまで強調してきたが、これは景気拡大のためには重要だ。もちろん高齢化社会になり、対国内総生産(GDP)の負債比率も上昇が予想される。こうした要素も踏まえる必要がある。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:マネー

米FOMC:識者はこうみる

[14日 ロイター]
米連邦準備理事会(FRB)は14日まで開催した連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ、0.50ー0.75%とすることを決定した。利上げは昨年12月以来1年ぶり。

また、同時に示した経済見通しでは、2017年の0.25%利上げの予想回数が中央値で3回となり、9月時点での2回からペースが速まった。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●来年の利上げ予想回数増えたのは意外

<シュワブ金融調査センター(ニューヨーク)の債券ディレクター、コリン・マーティン氏>

一言でいえば、利上げは予想通りで意外感はまったくなかった。経済見通しについても予想通りで、ほとんど変更がなかった。おそらく米連邦準備理事会(FRB)はトランプ次期政権の出方を待っているのであろう。

一方、ドットチャートで来年の利上げの予想回数が増えたことはやや意外で、想定よりも多少タカ派的だった。

●金利ガイダンスに現実感

米10年債利回りは2.5%を突破した。年3回の利上げペースを前提にすると、さらなる利回り上昇圧力がかかるだろう。レンジが切り上がり、2.7%付近が見えてくるかもしれない。円債市場は、外部環境の悪化を受けて、きょうの20年債入札の結果が懸念される。

●ドル/円と金利差の相関持続力に注意

<JPモルガン・チェース銀行 為替調査部長 棚瀬順哉氏>

利上げは予想通りだったが、FOMCメンバーによる金利見通しの上方修正が予想外だったことで米国債利回り上昇、ドル全面高となった。

ただ、メンバーの金利予想について、市場は中央値で見て25ベーシスポイントの上方修正と受け取った可能性があるが、平均でみれば5ベーシスポイント程度の上方修正にとどまる。市場の織り込みはやや行き過ぎに見える。

先行きとしては、今回上方修正したメンバーは、足元の失業率低下に反応したと思われるため、今後も失業率が予想外に低下するようなら、より積極的な利上げの可能性が高まるといえるかもしれない。

目先のドル/円は、米金利動向次第といえるだろう。日米金利差との相関は引き続き強い。ただ、10月の初めからの相関でみれば、現在の水準は1円程度、過大評価といえる。金利が頭打ちとなれば、115円台後半に向けて調整してもおかしくない。

過去の利上げ局面を見れば、利上げ後にはドル/円と金利差との相関が崩れ、数カ月間でドル/円が下落しているパターンが多い。今回も同様の経路をたどるかがポイントになる。

●ドル/円、目先上値追いも徐々に勢い鈍化

<三菱東京UFJ銀行 グローバルマーケットリサーチ チーフアナリスト 内田稔氏>

FOMCメンバーの金利見通に基づく来年の利上げ回数が市場予想を上回った。これで国債利回りが全般的に上昇し、ドルをサポートした。

利上げした一方で、翌々年の金利見通しを下方修正し、米国債利回りが低下に転じた去年の利上げ局面と異なり、今回は金利見通しが上方修正されたことから、短期的にはドル円も上値を追う可能性が高いだろう。加えて、中国などの新興国も、自国通貨を買い支える介入原資を得るため、米国債の売却に動く可能性があり、米国債利回りの上昇を助長するおそれがある。

ただ、史上最高値圏にある米国株や原油価格が利上げを受けて、弱含んでいる点が、年明け以降にリスク回避が強まった去年と共通している。今回も、金利上昇による株価や原油価格といったリスク性資産の動向に注意が必要だ。

投機筋の円ショートも足元ではかなり拡大していると見込まれる。ドル/円にとって117円台は、オーバーシュートの領域とみており、このまま120円に向かってどんどん上がるというより、調整が入る可能性の方が高いとみている。

年内はトランプ次期米政権への期待感が完全にはく落しない限り、115円割れでは押し目買いに支えられそうだ。ただ、リスク資産が変調を来たし、リスク回避姿勢が強まれば、上げ足が速かったドル円だけに、下げ幅も広くみておく必要が出てくるだろう。

●利上げペースの加速示唆には疑問=みずほ銀 唐鎌氏

<みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの金利予測の分布を示す「ドットチャート」で来年3回の利上げが示唆され、9月に示された年2回から利上げペースが速まった。市場の想定外で、ドル買いを招いている。

イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は記者会見で、トランプ次期大統領による財政政策変更の予想が、一部の当局者の金利見通しに影響した可能性があることに触れていた。

ただ、財政政策の変更があるとしても、効果が表れるのはまだ先の話。最近、ゲームのルールが変更されたとか、世界が変わったという言説をよく目にするが、少なくとも現時点ではまだ何も変わっていない。それにもかかわらず、これだけ長期金利やドルが急騰し、金融状況が強烈に引き締まってしまったことに関して、その影響を懸念する雰囲気は乏しいように思える。

今回、FRB当局者は過熱した相場に懸念を示し、タカ派的な情報発信が控えられるのではないかとみていたが、マーケットのムードに同調して利上げペースを上げようという話になっている動きには違和感を覚える。このような市況が続く中で、果たして利上げペースの加速が可能なのか疑問がある。ちょうど1年前の今ごろ、「2016年は年4回利上げ」との予想が支配的となり、ドル買いが加速していたことを思い返すべきだろう。これは実現しなかった。

●初期反応は教科書通り、米ダウの動向が日本株を左右

<岡三証券シニアストラテジスト 小川佳紀氏>

来年の利上げペースが3回となった点は意外だったが、ドル高、米国株の下落など「教科書通り」の反応となっている。ダウ.DJIは2万ドル近辺に位置しており、利上げペースの加速を受けて利食い売りが出るというのは初期反応としては当然だ。指数が高値圏にあることを考えると、もう少し大きな調整でもおかしくはなかった。

米国株の調整が今後も続くのか、というのが目先の焦点となる。ドル高による米国の製造業への影響が時間差で出てくることが想定される一方、利上げペースが加速できるぐらい米国景気が強いとの見方から、調整が短期で終了するシナリオも考えられる。米トランプ次期大統領がいずれドル高をけん制するとの見方もあるが、米企業業績や景気減速への懸念が出れば、米国株の上値を抑えることとなるだろう。

再びダウが2万ドルを試しにいければ、日本株にとってプラス材料となるが、日経平均が1万9500円を超えたところでは、戻り売りも出やすい。半面、米国株の調整が続いた場合でも、大崩れする展開は今のところは見込みにくい。直近では海外投資家がロングに傾いていたほか、前場のTOPIXが小幅な下落となっても、日銀がETF(上場投資信託)の買い入れを実施するなど、需給環境は良好だ。基本的に年内は1万9000円どころの値固めの動きとなるとみている。

●来年の利上げ予想回数増えたのは意外

<シュワブ金融調査センター(ニューヨーク)の債券ディレクター、コリン・マーティン氏>

一言でいえば、利上げは予想通りで意外感はまったくなかった。経済見通しについても予想通りで、ほとんど変更がなかった。おそらく米連邦準備理事会(FRB)はトランプ次期政権の出方を待っているのであろう。

一方、ドットチャートで来年の利上げの予想回数が増えたことはやや意外で、想定よりも多少タカ派的だった。

●金利ガイダンスに現実感

<アバディーン・アセットマネジメント(ロンドン)の投資マネジャー、ルーク・バーソロミュー氏>

金利見通しのガイダンスに興味を覚えた。米連邦準備理事会(FRB)が1年前に示した見通しは実際に大きく外れたわけだが、今回のガイダンスにはより現実感がある。経済回復は一段と進んだ状態にあり、市場もそのことを織り込んでいる。金利は来年以降、緩やかながら上昇していくとの見通しを立てることが可能だ。

トランプ次期米大統領については、彼が打ち出す政策がどういったものになるのか誰も分からないため、大きな既知の未知といえる。仮に大規模な財政出動が実施されればインフレ圧力は確実に高まるだろうし、そうなればFRBとしても利上げでの対応を余儀なくされるだろう。ただ現時点で財政出動がどの程度の規模になるのか、またその影響がどうなるのかは知る由もない。

●ドット・チャート、平均では小幅な動き

<RBCキャピタル・マーケッツの首席米国エコノミスト、トム・ポーチェリ氏>

ドット・チャートのシフトについて、平均での変化は小幅だったことに着眼することが重要だ。2017年の利上げ見通しは6ベーシスポイントシフトしたが、これはドットチャートの下限レンジを想定していた当局者による見通し引き上げが要因で、それによって中央値が押し上げられた格好だ。平均では極めて小幅な動きにとどまっており、FRB当局者が利上げペースの大幅な加速を見込んでいるわけではないことを理解することが重要だ。

●想定よりタカ派的、成長見通し市場に近づく

<アメリプライズ・ファイナンシャルの首席市場ストラテジスト、デービッド・ジョイ氏>

米連邦準備理事会(FRB)が示した来年3度の利上げ見通しは、われわれの予想に沿った水準で、やや想定外でタカ派な印象だ。そのため債券への売りが膨らんでいる。来年の成長率予想も当社の最大2.5%に対し、FRBは2.1%と、われわれの方向に近づいている。新政権誕生に伴う変更については様子見姿勢だが、経済がすでに9月、または11月会合時点より堅調な点を認めた格好だ。

●将来的にドル高へ、目先は弱含む可能性

シリコンバレー・バンクのシニア外為トレーダー、ミン・トラン氏>

米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は、きょうの利上げ決定を支持し、来年の利上げ予想回数を3回とした。これは追加利上げを支持するのに十分なほど米経済が力強いとお墨付きを与えるものだ。

これはドルの支援材料となる。直近30日はドル高が続いていた。これは支配的な動きで、きょうもそのトレンドは続いている。

議長の会見で、先に発表された声明文を受けた熱狂は収まりつつある。一段の財政刺激策と追加利上げがより強いドルを生むだろうが、それはかなり先の話だ。現時点ではドルが対円で弱含むケースをより多く目にしている。対ユーロでのパリティ達成が再び騒がれても驚かない。

●トランプ氏の勝利、政策運営に影響

<マニュライフ・アセット・マネジメント(ボストン)のシニアエコノミスト、フランセス・ドナルド氏>

声明、予測、ドット・チャートを含めて、米連邦準備理事会(FRB)からの発表はこれまでのところタカ派的だ。これは、トランプ氏が勝利した大統領選を踏まえ、FRBの政策運営の余地が拡大していることを示している。

きょうの声明がよりバランスのとれたものと受け止められるよう、イエレン議長の課題は記者会見をよりハト派的にすることだ。

ドルはかなり上昇しており、債券利回りも、利上げそのもので正当化される以上に大幅に上昇している。

FRBが過度にタカ派的になれば、2017年の経済成長を抑制することになる。トランプ大統領の政策効果が2018年に表れる可能性が高いことを踏まえると、それは問題になる。

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:マネー

米FRB、1年ぶり利上げ0.25% 全会一致 来年は3回の利上げ予想

米連邦準備理事会(FRB)は14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、1年ぶりの利上げを全会一致で決めた。利上げ幅は0.25%。同時に公表した政策金利見通しでは、2017年中に3回の利上げを中心シナリオとし、引き締めペースの加速を見込んだ。FRBは08年の金融危機後に続いた超低金利からの脱却を目指しており、世界のマネーを再び揺り動かしそうだ。

短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を、年0.25~0.50%から0.50~0.75%に引き上げた。新たな政策金利は15日から適用する。利上げはイエレン議長ら投票メンバー10人の全員一致で決めた。

FOMC後に公表した声明文では「労働環境と物価上昇率の実績と見通しに鑑みて、政策金利を引き上げると決断した」と強調した。米経済成長率は7~9月期に2年ぶりの高さとなり、失業率も11月には9年ぶりの水準まで改善。物価上昇率も1.7%と目標の2%に近づいている。トランプ次期政権が巨額減税などの財政拡張策を掲げ、株価や金利が上昇したことも利上げを後押しする材料となった。

今回の会合で政策金利を0.25%引き上げたのは、金融市場の事前の予測通りだ。市場が注視するのは今後の利上げペースだが、FOMCメンバー17人の利上げ見通し(中央値)は、17年に3回、18年に3回となり、引き締めが加速すると見込んだ。前回公表した9月時点の見通しは17年に2回、18年は3回だった。

市場はトランプ次期政権の財政拡張策でインフレ圧力が強まるとみており、来年の利上げペースが加速するとの見方があった。米国市場では長期金利が2年2カ月ぶりの水準まで上昇し、ドルも通貨指数が14年ぶりの高値圏にある。FRBが市場の見方に追随して利上げペースの加速を見込んだことで、金利上昇とドル高に拍車がかかる可能性もある。

基軸通貨ドルを抱えるFRBの利上げは世界のマネーの流れにも影響する。金利上昇で利回りが見込めるドルに資金が回帰し、日本は円売りが進みやすい地合いとなる。一方で緩和マネーが集中していた新興国は、資本流出や通貨安のリスクに見舞われる。

FRBは昨年12月に9年半ぶりの利上げに踏み切り、08年末から続いたゼロ金利政策を解除した。ただ、その直後の1月には世界同時株安に見舞われ、1年にわたって追加利上げを凍結することになった。


NY円、大幅続落 1ドル=117円00~10銭、利上げ加速織り込み10カ月ぶり安値

14日のニューヨーク外国為替市場で円相場は大幅に続落し、前日比1円85銭円安・ドル高の1ドル=117円00~10銭で終えた。一時117円40銭と、2月8日以来およそ10カ月ぶりの安値を付けた。米連邦準備理事会(FRB)による2017年の利上げが従来の想定より加速するとの観測から、米金利が急上昇した。日米金利差の拡大を見越した円売り・ドル買いにつながった。

FRBは13~14日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、1年ぶりの利上げを決めた。同時に公表した政策金利見通しでは、17年中に3回の利上げを中心シナリオ(中央値)とし、従来の2回から引き上げた。市場では予想外との声が多く、先行きの引き締めペースの加速を織り込んだ「金利高・ドル高」につながった。

一方、イエレン議長はFOMC後の記者会見で金利見通しについて「わずかな修正にすぎない」などと説明。トランプ次期米大統領が主張し、足元の米金利高のきっかけになった大規模な財政拡張については、経済状況からみて不要との立場を改めて示した。ただ、市場では「記者会見は特段材料視されなかった」(外為ディーラー)という。

FOMCの結果前は115円ちょうどを挟んで狭い値幅でもみ合った。朝方発表された11月の小売売上高や鉱工業生産指数は市場予想を下回った。大統領選後の株高や金利上昇が期待先行に終わる可能性が意識され、円を支えた面があった。

14日の円の高値は1ドル=114円77銭だった。

円は対ユーロで4日続落し、前日比90銭円安・ユーロ高の1ユーロ=123円25~35銭で終えた。

ユーロは対ドルで大幅続落した。前日比0.0090ドル安い1ユーロ=1.0530~40ドルで終えた。FOMC後に一時、1.0497ドルと15年3月16日以来1年9カ月ぶりのユーロ安・ドル高水準を付けた。FRBによる引き締め加速の思惑が対ユーロでもドル買いを促した。

ユーロの高値は1.0670ドルだった。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:マネー

来年の米利上げは2回、FOMC声明控え市場予想

[ニューヨーク 13日 ロイター]
米連邦公開市場委員会(FOMC)声明の公表を翌日に控え、米短期金利先物相場は小動き。市場は米連邦準備理事会(FRB)が2017年に2度の利上げを実施すると見込んでいる。

CMEグループのフェドウオッチによると、フェデラルファンド(FF)金利先物は、13─14日のFOMCでFRBが25ベーシスポイント(bp)の利上げを実施する可能性を95%の確率で織り込んでいるFFZ6。

2016年12月限と2017年12月限のFF金利契約の価格差は13日序盤時点で50ベーシスポイント(bp)と、2度の25bp利上げに匹敵する水準。11月8日の米大統領選前は28.5bpだった。

CMEグループのフェドウオッチによると、市場は2017年末時点でFF金利が1.0─1.25%に引き上げられる可能性を24%の確率で織り込んでいる。


ドル横ばい圏、FOMC結果発表控え様子見=NY市場

[ニューヨーク 13日 ロイター]
終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが他の主要通貨に対して横ばい圏。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を前に様子見ムードが強かった。終盤のドル指数は0.04%高の101.070。ドル/円は0.15%高の115.19円。

ユーロ/ドルは朝方に5日ぶりの高値となる1.0666ドルを付けた後、終盤は0.12%安の1.0621ドルで取り引きされた。

米連邦準備理事会(FRB)はFOMCで利上げを決めるとの見方が大勢。しかし利上げペースについてどのような姿勢を示すかは不透明だ。

ウエストパック・バンキングのシニア外為ストラテジスト、リチャード・フラヌロビッチ氏は、FOMC声明の発表を控えて「市場は足踏み状態気味だ」と述べた。

フラヌロビッチ氏はFRBが発するシグナルについて、最近のドル高や米国債利回り上昇に触れる「ハト派的利上げ」か、成長加速を強調する「タカ派的利上げ」のいずれかだろうと予想している。

一方、TDセキュリティーズのシニア通貨ストラテジスト、メイズン・イッサ氏の予想は「ハト派的利上げ」。FRBは来年2度の利上げを実施するとの見通しを維持するが、声明はハト派的なトーンとし、米国が成長路線を外れるのを食い止め、米国債利回りとドルの上昇に対応するとみている。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:マネー

ドル下落、FOMC声明でドル高けん制の可能性を懸念=NY市場

ニューヨーク 12日 ロイター]
終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが下落。米連邦準備理事会(FRB)が13─14日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、ドル高の行き過ぎをけん制する可能性があるとの懸念が浮上した。

今回FOMCの利上げ決定はほぼ織り込み済みで、焦点は来年の利上げペースについてFRBがどういったメッセージを発信するかに移っている。

これに関連してコモンウェルス・フォーリンエクスチェンジのチーフ市場アナリスト、オマー・エジナー氏は「ドル高が米経済と世界の市場に及ぼすリスクをFRBが警告すれば、ドル安の危険度が高まるだろう」と述べた。

ユーロ/ドルは海外市場で1週間ぶり安値の1.0526ドルまで売られていたが、約1%上昇して1.0651ドルの高値をつけた。ドル/円JPY=は海外市場で10カ月ぶり高値の116.12円を付けた後、終盤は0.3%安の115.03円。

ドルは豪ドル、カナダドル、ニュージーランドドルといった資源通貨に対しても値下がりした。石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟産油国が協調減産に最終合意し、原油価格が大幅続伸したことが影響した。

TJMブローカレッジの外為共同責任者、リチャード・スカローン氏は、資源価格が全面高となり、これらの通貨の追い風になったとの見方を示した。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:マネー
メッセージを送る

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。