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ドル急落、クリントン氏へのFBI捜査再開で=NY外為

[ニューヨーク 28日 ロイター]
終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが主要通貨に対し急落した。米連邦捜査局(FBI)が民主党のヒラリー・クリントン大統領候補への捜査を再開すると明らかにしたことで、選挙結果をめぐる不透明感が高まった。一方、ドルはメキシコペソに対しては3週間ぶり高値をつけた。

FBIのコミー長官は、クリントン氏が国務長官時代に私用メールを使用していた問題に絡み、新たに浮上した電子メールについて捜査を再開する方針を明らかにした。投票日が11日後に迫る中、大統領選の波乱要因となる可能性がある。

市場ではクリントン氏勝利の予想がおおむね優勢で、捜査のニュースを受けて不確実性が再び高まり、ドルへの売りが膨らんだという。

クリントン氏は現状維持の大統領候補と目される一方、対抗馬のドナルド・トランプ共和党候補が大統領に就任した場合、外交政策や通商協定、国内経済をめぐり一段と不透明感が強まる。

ワールドワイドマーケッツのチーフ市場ストラテジスト、ジョゼフ・トレビサニ氏は「捜査が続けば、クリントン陣営に深刻な影響が及ぶことに疑いの余地はない」と述べた。

ユーロは対ドルで8日ぶり高値の1.0991ドルに上昇。

ドルは対円で約0.7%安の104.49円と、この日の安値をつけた。予想を上回る伸びとなった第3・四半期の国内総生産(GDP)統計を好感し、より早い時間には3カ月ぶり高値の105.53円に上昇していた。

ドルはスイスフランに対し8日ぶり安値の0.9859フランに下落。主要6通貨に対するドル指数は8日ぶり水準の98.242に低下した。

一方、ドルはメキシコペソに対しては1.3%超上昇し、3週間ぶり高値の19.1002ペソをつけた。トランプ氏は不法移民の取り締まり強化や通商協定の見直しを掲げており、トランプ大統領誕生はペソの主要リスクとなっている。

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「円高の危機」は去った!? 年末に向けドル・円レートはこう動く 日米マネタリーベース比率から推計

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50068

「円買いゲーム」は終了

1月末の日銀によるマイナス金利政策導入以後、ドル円レートは急激に円高にシフトし、1ドル=100円割れも覚悟せずにはいられない展開となった。

これにともない、国内では、「デフレの再来」という見方も散見されるようになったが、9月末以降、ドル円はやや円安方向に戻し、現在は、1ドル=104円台で推移している。

10月に入ってから、シカゴの為替先物市場でのドル円の建玉をみても、円の買い持ちポジションも減少しており、投機筋の猛攻も一服したようだ。ヘッジファンドの一部からは、「もう円買いゲームは終了した」との意見も聞かれるようになっており、1ドル=100円割れの危機はとりあえず回避されたようにもみえる。

一方、為替アナリストの見方はめずらしく2つに分かれている。「1ドル=90円台乗せが近い」と予想する為替アナリストも少なからず存在する一方で、「1ドル=100円割れの危機は過ぎ去った」と予想する向きも増えてきている模様だ。

マイナス金利政策導入以降、金利差で為替レートを予想する方法は事実上、崩壊しているため、「円高派」の拠り所は、日本の経常収支黒字(もしくは貿易収支黒字)の拡大のようだ。

だが、そもそも、複式簿記の原理で作成された国際収支統計では、貿易黒字の額が増加する局面では、同時に対外証券投資等の広義でみた金融収支赤字が拡大しているはずで、統計上のネットの国際収支はゼロになるはずである。そのため、国際収支統計をどんなにいじって「真の為替市場の需給関係」を算出しても何の意味もない。

また、「円安派」の多くは、チャート分析を行う人が多いようだが、そもそも、統計学上、チャート分析の有効性は否定されており、筆者は、これを冗談半分でしか聞いていない。

トレーディングでは、チャートを用いて儲けを出しているという人も確かにいるが、彼らの場合は、「フォーミュラ」としてのチャート分析が有効というより、個々のトレーダーの才能に依存するところが大きいと考えている。

日米のマネタリーベース比率に着目

ところで、筆者は、日米のマネタリーベースの動きの違いを元に為替レートを予想している。これは、いわゆる「ソロスチャート」に近い考え方であり、為替アナリストの間では極めて評判が悪い。

だが、筆者は、昨年末時点で、大多数の「識者」が1ドル=125~130円程度の円安を予想する中、今年は円高方向で推移する可能性が高いと予想した(https://post.gendai.ismedia.jp/articles/-/46933)。

そのときの予想値は1ドル=115円~120円だったので、筆者の想定よりも円高が進行しているわけだが、相対的なパフォーマンスはそれほど悪くないと考えている。

「ソロスチャート」についての話を進めると、ドル円レートを日米のマネタリーベース比率を説明変数として回帰分析する「単純な」ソロスチャートを作成すると、現在のドル円レートの適正値は1ドル=120円程度となる。

だが、この手の「単純な」ソロスチャートは、回帰分析が有効であるための統計学的な条件を満たしていない。そのため、筆者は統計学的な有効性を満たすモデルに基づいてソロスチャートを修正している。

学術的な論文ではないため、具体的な為替モデルには言及しないが、筆者の方法では、日米のマネタリーベース比率は、ドル円レートの予想値自体というより、むしろ、ドル円レートの「中長期的な均衡水準」を算出するベースとなる。

実際のドル円レートは、当然、この「中長期的な均衡水準」から乖離して変動するが、ドル円レートの具体的な予想値を作るためには、両者が乖離することを許容し、この「中長期的な均衡水準」の乖離率の動きを考える必要がある。

実は、筆者のモデルでは、この乖離率は、ほぼ一定の法則で循環するという性質がある。つまり、実際のドル円レートは、「中長期的な均衡値」から一定水準乖離した場合、今度はその乖離を縮小させるように変動するという「循環法則」を有している。

すなわち、筆者が、ドル円レートの予想をする場合、①日米マネタリーベース比率から算出される「中長期的な均衡水準」がどの程度であるか、及び、②実際のドル円レートと「中長期的な均衡水準」との乖離率の位置関係、の2つが重要となる。

年末のドル円レートは?

そこで、まず、ドル円レートの「中長期的な均衡水準」だが、直近9月末時点でみると、1ドル=110円程度であると推測される。そして、この均衡水準のトレンドは依然として円安である。

これは、日本のマネタリーベースがここまでは一応、年間80兆円ペースで拡大し続けている一方、米国のマネタリーベースは、緩やかな減少トレンドで推移しているためだ。

そして、日米のマネタリーベースの動きだが、10月に入ってから、米国のマネタリーベースの減少ペースが加速している。そこで、日本のマネタリーベースの供給ペースが従来通りで、米国のマネタリーベースが1月~9月の平均的な減少ペースで進むと仮定すると、年末(12月末)時点での「均衡水準」はさらに円安になり、1ドル=125円程度となると試算される(ただし、日銀のマネタリーベースの供給ペースが減速した場合はもう少し円高になるだろう)。

一方、「中長期的な均衡水準」と実際のドル円レートの乖離率を計算すると、9月末時点のドル円レートは1ドル=101.8円だったので、約7.5%の円高となる。

この乖離率は、外的なショックがない場合は、概ね±15%のレンジで循環している。すなわち、9月末時点での乖離率は、「中長期的な均衡水準」を基準とした場合の円高局面のちょうど中間地点に位置していることになる。

乖離率の動きをみてみると、ちょうど今年の6月にゼロの時点に位置している。そこで、今後3ヵ月で乖離率が円高のピークである15%の乖離率まで到達すると仮定した場合、12月末のドル円レートは、前述の「中長期的な均衡値」の予想値である125円×(100-15)%=106.25円程度と試算される。

もちろん、この手の計算には誤差がつきものなので、誤差を加味すると、今年の年末のドル円レートは、105~110円程度と試算される。

円高に戻る可能性はあるか

そして、来年以降だが、米国が利上げ局面に位置し、FRBがマネタリーベースの縮小を続ける限り、円安局面(というより円高の修正局面)が続くと予想される。

筆者は、米国景気の減速が近づいているために、来年のいずれかのタイミングで、FRBは再度、金融緩和に転換する可能性が高いと考えている。

この場合、米国のマネタリーベースは再び拡大基調で推移する可能性が高いと考える。そして、これは、ドル円レートの中長期的な均衡値を円高方向に動かす要因となる。

一方、今年の年末で、(「中長期的な均衡水準」を基準として)円高局面はピークを迎えることから、「中長期的な均衡水準」からの円高方向への乖離率は縮小していく。

従って、両者を総合すると、実際のドル円レートは、来年も円安方向で推移する可能性が高いと考える。

だが、注意すべき点は、日米マネタリーベース比率の水準が大きく変わる場合(すなわち、日米マネタリーベース比率のボラティリティが上昇)、ドル円レートの水準も「ジャンプ」する可能性が高い点である。

もし、来年、FRBが金融緩和に舵を切った場合、日銀が何の行動も起こさなければ、ドル円レートの水準が突然「ジャンプ」して円高水準に戻る可能性がある(これは、リーマンショックのときに発生した)。

また、別のケースとして、日米以外のグローバルショックによる「リスクオフ」の局面では、このモデルは機能しなくなる(この場合は、「リスクオフ」特有の為替モデルを構築する必要があると考える)。当然、「リスクオフ」の局面では、円高の進行が予想される。

いずれのケースにおいても、日銀のアクションが必要となろう。筆者は、円高の修正局面に入った現段階では、日銀による追加緩和の必要性は幾分、後退したと考えるが、この2つのリスクシナリオが実現した場合においては、日銀が積極果敢に追加緩和することが望まれる。

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「17年も円安望み薄」渡辺元財務官に聞く 103~108円、くすぶる欧州リスク

日本経済新聞

外国為替市場で円相場の強弱感が定まりにくくなっている。円安・ドル高派は米連邦準備理事会(FRB)の利上げが粛々と進むとのシナリオに頼り続ける。一方で円高派は、ユーロ圏や中国経済の低迷でリスク回避のマネーが円に向かうほか、FRBは金利引き上げを急がないなどと主張する。勝敗は簡単には決まりそうにない。2017年にかけての相場をどう読むべきか。04~07年まで財務官、その後は16年6月まで国際協力銀行(JBIC)総裁を務め、国際金融に精通する渡辺博史・国際通貨研究所理事長に見通しを聞いた。

――次の重要イベントである米大統領選の投開票が11月8日に迫りました。

「先入観は禁物だが、10月中旬までの米国出張で得た情報から判断すると民主党候補のヒラリー・クリントン氏が当確ではないだろうか。ただ為替相場への影響は予想しづらい」

「市場ではクリントン氏が当選すれば『リスクオン(リスク資産の選好)』、共和党候補のドナルド・トランプ氏当選なら『リスクオフ(リスク資産の回避)』と二元論で語るが、そう単純なものではないと思っている。例えば引き締めに否定的なトランプ氏の経済政策はリスクオンの米株高を促す可能性が否定できない」

――FRBは年内に利上げできるでしょうか。

「米大統領選直前の11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げはまずないだろう。12月についても微妙だ。クリントン氏が米大統領に当選し政治の先行き不透明感が薄れるとの前提でも、現段階では年内利上げの確率は50%以下とみている」

「FRBは今年利上げできないと、14年の量的緩和の停止は判断ミスだったのではないかと勘繰られかねない。そのため、とにもかくにも年内1度は利上げに踏み切るべきだの意見をよく聞く。だが米国では、雇用情勢は回復したといわれるにもかかわらず多くは正規雇用ではなく、賃金も上がっていない。2%のインフレ目標にも達していない。もともと労働経済学者のイエレンFRB議長はそのあたりに厳しく、景気指標をさらに慎重に見極めようとするはずだ」

――円相場の見通しを教えてください。

「仮に12月にFRBが利上げしても、次の金利引き上げには慎重とのスタンスを示せば相場はあまり円安方向には振れないだろう。しかも英国の欧州連合(EU)離脱決定で欧州経済に対する不安が高まり、ドルだけでなく円もリスクオフで買われやすくなっている。対ユーロや対英ポンドでドルとともに円も上昇するので、円安・ドル高の加速は難しい情勢だ」

「英国のEU離脱問題は長期化しそうで、来年の円相場は(足元の1ドル=104円前後に対して)103~108円程度で底堅く推移するのではないか。米国の利上げペースが速まる可能性が出てくれば、円の下値余地は少し広がるかもしれないが、16年初めに付けていたような120円前後の円安・ドル高はおそらくもう望めない」

――先進国・中央銀行では米国を除いておおむね緩和的な政策姿勢を保っています。

「世界的に緩和マネーがあふれており、国境を越えたM&A(合併・買収)もひんぱんに起きている。円安になれば海外企業がどんどん日本企業の買収に手を挙げておかしくない。日本からマネーが流れていくばかりではない」

――円高阻止を目的とする為替介入のハードルは上がっているとの見方が増えています。

「円が1週間に7~8円も乱高下するような急激な変動時には介入しても米国は異議をとなえないだろう。ルー米財務長官をはじめ米国が現在最も警戒している貿易相手国は、ユーロ圏の巨大輸出国であるドイツのはずだ。国内メディアが盛んにはやす『米国が日本の為替介入をけん制している』との見方は誇張がすぎる」

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円安を短命にする4要因 再び100円突破も

日本経済新聞 編集委員 清水功哉

外国為替市場でここ1カ月ほど円安基調が続いている。10月中旬には2カ月半ぶりに1ドル=104円台後半に下落する局面もあった。6月に英国の欧州連合(EU)離脱が決まる直前に一時100円を突破したころとは空気が変わったとの声も聞く。しかし、実際には最近の円安は投機筋の持ち高調整の結果にすぎない。遠からず売り圧力は後退しそうで、むしろ「100円突破の第2波」が襲ってくるリスクに警戒を解けない。その背景にあるのは「ABCD」の4つのファクターだ。

■投機筋の持ち高調整にすぎない

最近の円売り材料となっているのは米国の年内利上げ観測だとされている。13日に104円台後半に下落したのも、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、委員が「利上げ条件が整いつつある」という点でおおむね一致したことが確認できたためだ。ただ、円安が持続的なものになるためには「米景気が2017年にかけて堅調さを増し、複数回の利上げの期待がしっかりと醸成されることが必要」(ドイツ証券の田中泰輔氏)との見方が多い。そうした段階にはまだ至っていない。

従って円安の持続性に疑問の声も多いのだが、それでも足元で円売りが増えてきた背景には「短期的な取引をする投機筋の円買い持ち高の解消がある」(JPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉氏)との指摘がよく聞かれる。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)・通貨先物市場での投機筋の動きもそれを裏付ける(グラフA)。現在は9月下旬までに大きく膨らんだ円買越額(対ドル)が縮小する局面であり、円売り圧力が生まれやすいのだ。5月や7月にも投機筋が円を売り戻す過程で円が下落した。

投機筋の動きを背景に、しばらく円が軟調地合を続ける可能性があるものの、せいぜい年内で終わりとの声も根強い。問題はその後再び強まるかもしれない円高圧力だ。6月のブレグジット(英国のEU離脱)ショック時に続く「100円突破の第2波」に発展するリスクに注意が必要だ。

■来年前半に「第2波」が?

前出の棚瀬氏によれば、過去100円を明確に上回る円高が進んだ2つの局面(1994年と2008年)でも、「いったん100円前後に達したあとすぐに反落し、その後再び上昇基調に転じ、やがて100円を明確に上回る円高になった」という。こうした2つの波の間に7~10カ月くらいの間隔があった。今回も同じパターンになるなら、来年前半に「本格的に100円を突破する第2波」が襲ってくるかもしれないことになる。

実際、「第2波」への円高圧力を生み出すかもしれないファクターが4つ存在する。それぞれの頭文字をとって、「円高圧力生むABCDファクター」と呼ぶことにする。具体的に説明していこう。

■円高圧力生む「ABCDファクター」

まず、Aはアメリカ(America)。上述した通り、円安の流れが持続的なものになるには、米経済の堅調さが確認され、複数回の利上げを市場がしっかりと織り込む必要がありそうだ。だが、三菱東京UFJ銀行の内田稔氏は、ドル高が米経済に及ぼしている引き締め効果などから、実際の利上げは今年から来年にかけて1回程度にとどまる公算が大きいとみる。そして「米景気の不透明感が残るようなら、円相場は再び90円台に向かうだろう」(ドイツ証券の田中氏)という。

米国の大統領選挙は民主党のヒラリー・クリントン前国務長官が優位を保った形で投票まで約2週間となった。ただ、どちらの候補が勝っても、次期米政権は保護主義的なスタンスを取る可能性がある。ドル高が国内経済に及ぼす悪影響にも注意を払いそうで、円安に寛容にならないだろう。日本側が円売り介入を手掛けにくい状況も続くだろう。

次にB。実は日銀(Bank of Japan)である。9月に決めた新政策(長短金利操作付き量的・質的緩和)について「中長期的な円高リスクを高める」(JPモルガン・チェース銀行の棚瀬氏)との受け止め方が市場にあるが、筆者も似た印象を受けている。詳細は10月9日付日本経済新聞電子版の拙稿「日銀緩和レベル6で金利回帰 下げ余地狭く円高も」を参照していただきたいが、理由は2つだ。

第1に、長短金利を現状水準からさらに大幅に下げられるかに疑問がある。利ザヤ縮小による銀行収益への打撃や超長期金利低下による資産運用への悪影響が懸念されるからだ。利下げ余地が狭いなら円高防止効果も限られる。第2に新政策のもとでは資金供給量残高(マネタリーベース)の拡大ペースが落ちそうだ。デフレ退治の長期戦に備えて政策の持続性を高めるためだが、緩和縮小の印象を与えれば円買い材料になりかねない。

3つめのファクターであるCに話を進めよう。中国(China)など新興国の経済減速は、引き続き市場にリスクオフ(リスク回避)ムードを広げる要因であり続ける。「安全通貨」と目される円の買い材料になり得るわけだ。

■気がかりな人民元の下落

特に最近、マーケットの関心を集めているのは、10月に入って中国人民元の対ドル相場が軟調になっている点。人民元安・ドル高の流れはドル・円相場にとってはドル高要因ではなく逆に円高要因と見るのは三菱東京UFJ銀行の内田氏。そもそも、ドル高は資源価格上昇の抑制を通じて、新興国通貨や米株価に下落圧力をかけリスク回避的な円買いを招きやすいという。さらに、ドル高で米国の利上げがしにくくなる点も円に上昇圧力をかける要因になると指摘する。

最後に、ドイツ銀行(Deutsche Bank)の経営問題など欧州の金融不安もリスクオフ要因であり続けている。これが4つ目の要素であるDだ。やっかいなのは、欧州発金融不安は、日本の株式市場でも銀行株の売り材料になりがちなこと。そうすると、日銀のマイナス金利の「深掘り」がやりにくくなる。マイナス金利政策は銀行の収益にマイナスとの見方が多く、銀行株の下落に拍車をかけかねないからだ。結果的に金融政策面での円高防止も難しくなる。BとDの2つのファクターは密接な関係にある点に注意が必要だ。

上述した通り、投機筋の円買いポジションの整理に伴う円安はもうしばらく続く可能性もある。それを利用してドルを買うのはひとつのやり方だろうが、深追いはリスクを伴うのではないか。そんな気がする。

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ドルが対円で上昇、米12月利上げ観測高まる=NY市場

[ニューヨーク 24日 ロイター]
終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが対円で上昇した。最近発表された米経済指標が堅調なうえ、米連邦準備理事会(FRB)当局者から早期利上げを示唆する発言が相次ぎ、FRBは12月に追加利上げ(訂正)を決めるとの観測が高まった。

ドルは他の主要通貨に対して買われ、ドル指数.DXYは一時98.846と約9カ月ぶりの高値をつけた後、終盤は小幅高の98.775。ドル/円JPY=は一時104.32円と1週間ぶりの高値をつけた。

終盤のユーロ/ドルEUR=は0.08%安の1.0873ドルと、21日につけた7カ月ぶり安値の1.0857ドルに迫った。

シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は24日、インフレ見通しと労働市場の改善が継続する限り、2017年末までに3度の利上げが適切だろうと発言。これに先立ち21日にはサンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁が、19日にはニューヨーク連銀のダドリー総裁が、いずれも利上げは近いとの見方を示していた。

最近の米経済指標も好調。24日発表の10月製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は1年ぶりの高水準で、先週発表された9月中古住宅販売も予想を上回った。

CMEグループのフェドウォッチによると、早期利上げを示唆する当局者の発言や強めの米経済指標の発表を受け、市場が織り込む12月の利上げの確率は74%程度となった。

オアンダ(トロント)のシニア通貨ストラテジスト、アルフォンソ・エスパーザ氏は「当局者の発言は最もハト派的なコメントですら12月利上げに触れており、(12月の追加利上げは)ほぼ間違いない」と述べた。

ドルは新興国通貨に対しては下落した。アナリストによると、市場でリスク志向が強まったことや、米大統領選の投票を2週間後に控え、最近の世論調査で民主党のクリントン候補が共和党のトランプ候補に対するリードを広げていることが背景。

ランプ氏の保護主義的な姿勢は新興国通貨にとってリスクとみられている。

BMOキャピタル・マーケッツのFX戦略グローバル責任者、グレッグ・アンダーソン氏は「米大統領選によるドルへの影響という点では、市場はトランプ氏に関連するリスクの織り込みが薄れた格好だ」と語った。


来年末まで3度の利上げ適切となる公算=米シカゴ連銀総裁

[シカゴ 24日 ロイター]
米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は、インフレ見通しと労働市場の改善が継続する限り、2017年末までに3度の利上げが適切となる可能性があるとの見方を示した。講演後、記者団に対し述べた。

総裁は「個人的には現時点から来年末まで、おそらく3度の利上げを織り込む」と述べた。

これは9月会合で示された米連邦準備理事会(FRB)当局者の金利見通しと一致する。2017年末時点の金利見通しの中央値は1─1.25%だった。

エバンズ総裁は利上げ時期については言及を避け、11月、12月、1月のいずれの会合での利上げも大差はないとの考えを示唆した。

その上で、最も重要なことは、利上げを促す条件が何なのかをFRBがより明確にすることだと指摘。総裁自身は失業率が現在の5%の水準から一段と下がり、インフレ見通しが改善するのを確認したいとした。

総裁はまた、米経済は「極めて順調」で、労働市場も「かなり力強い」とし、今年下期は2─2.5%の成長率になるだろうと述べた。

だが生産性の伸び鈍化や高齢化による労働人口の減少が米経済の潜在成長率を押し下げていると分析。長期の潜在成長率は1.75─2%にとどまる可能性があるとした。

エバンズ総裁は、来年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つ。

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ドル/円もみ合い、米大統領選など控え=今週の外為市場

[東京 24日 ロイター]
今週の外為市場でドル/円は、104円を軸にもみ合う展開が想定される。テクニカル面からは底堅さがうかがえるものの、その翌週以降に日米の中銀会合や米大統領選挙など、重要イベントが複数控えており、持ち高調整の売りも出やすいとみられている。

予想レンジはドル/円が102.50─105.00円、ユーロ/ドルが1.0750─1.1100ドル。

ドル/円は9月後半から上昇基調が継続している。みずほ証券のチーフFXストラテジスト、鈴木健吾氏は、テクニカル的には底堅い動きだとして、103円半ば付近での底固めが進むとみる。

良好な地合いが続けば105円を試す展開もあり得るが、再来週以降には日米の中銀会合や米雇用統計のほか、米大統領選挙といった大型イベントが控えている。心理的節目105円に接近すれば、戻り売りや持ち高調整に上値を抑えられやすいという。

下押しする場合、テクニカル的には日足一目均衡表の雲の上限(103円半ば)を明確に割り込めば、雲の下限(102円前半)まで節目がなくなり、下落速度が高まりやすいという。

米国でのイベントとしては、25日のアップル決算、27日の米耐久財受注、28日の米7─9月実質国内総生産(GDP)などが関心を集めそうだ。

一方、日本では、24日に貿易収支、27日に耐久財受注、28日に消費者物価指数(CPI)の発表がある。

欧州では27日ドイツ銀行の決算発表が予定され、あらためてリスク回避につながらないかに関心が寄せられる。ユーロ/ドルは節目だった6月安値を割り込んでおり「悪材料が出れば1.08ドル付近までするすると下落する余地がある」(国内証券)という。

このほか、製造業・サービス業PMI(24日)、独IFO景況指数(25日)などの発表が予定される。

中国では24─27日に中国共産党中央委員会第6回全体会議(六中全会)が開かれるが、政治の話題が中心とみられ、材料視されにくいという。

足元では人民元が6年ぶり安値をつけており、「下げ止まらないようなら、市場のリスクセンチメントが悪化しかねない」(国内金融機関)との警戒感も示されている。

28─29日には、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟国による原油減産の具体策協議がウィーンで開かれる。事前に関係国の要人発言などが想定され、相場が不安定になる場面もありそうだという。

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コラム:「トランプリスク」は幻影、円安再開へ

村上尚己 アライアンス・バーンスタイン(AB) マーケット・ストラテジスト

[東京 18日]
9月掲載のコラムでは、円高局面が終わりつつあると述べた。当時そして現在も指摘される円高要因は、米大統領選挙、米利上げが困難になるショックの発生などだろう。そして、日銀の金融政策決定会合が期待外れとなり、今年に入って何度か見られたパターンが続くとの疑念もあるだろう。

筆者は、英国の欧州連合(EU)離脱選択(以下、ブレグジット)でドル円が一時100円を割れた夏場以降、上記の材料は円高要因にならないと一貫して主張してきた。実際、10月になってからドル円は一時104円台半ばまで戻り、100円割れのリスクは遠のいたように見える。

むろん、米大統領選で9月末から劣勢が伝えられるドナルド・トランプ共和党候補がここから逆転勝利すればサプライズになろうが、そもそも米大統領選が円高要因となるのかは不明だ。

米国の政治都合に日本の当局が振り回され、円高が起きてきた歴史のトラウマがあるのは理解できるが、トランプ氏の言動を過大評価し、例えば日本の自動車メーカーが米国で大きな雇用を生み出している状況を、市場関係者は十分理解していないのではないか。とどのつまり、米大統領選が円高要因になるとの見方は根拠が薄いポジショントークにすぎず、ドル円の方向性にほとんど影響しないと筆者は見ている。

<米大統領選が話題になるうちは投資機会>

為替市場で「トランプリスク」が最も色濃く表れたメキシコペソ(5月に下落し始め、9月初旬には急落)にせよ、第1回の大統領候補テレビ討論会直前の9月末には大底をつけ、その後は民主党のヒラリー・クリントン候補が優勢との見方とともに反転している。

また、そもそもメキシコペソとドル円の相関は低く、為替市場で「トランプリスク」が円高要因として市場で意識されているようには見えない。

恐らく、日本の市場関係者の多くが「トランプリスク」を強く意識した背景には、予想外と言える6月のブレグジットの影響があるのだろう。グローバルな政治の潮流について、筆者は深い見識を持っているわけではないが、ブレグジットを受けて、ポピュリズム(大衆迎合主義)的な動きが各国に広がりつつあるとの論説が投資家心理を過度に悪化させた可能性もありそうだ。

確かに、日本を除く、欧米、中国、中東、中南米など多くの地域で政治は不安定化しており、リスク資産の下げ材料となってきた。昨年夏場の人民元切り下げ以降高まった中国当局への不信が投資家の心理を抑制した面もあろう。

ただ、不安定な政治情勢は今に始まったことではなく、2010年の欧州債務危機やアラブの春(中東・北アフリカ諸国での政変)以降続いていることである。これらは当初こそ悪材料となったが、今となって考えれば、いずれも底値でリスク資産に投資する機会をもたらした。中国懸念や原油急落局面など2015年以降の政治経済イベントも同様に位置付けることが可能だろう。

こうした筆者の見方が妥当なら、為替アナリストらが米大統領選を円高要因と言及しているうちは、まだ投資機会が残っていることを示唆しているのではないか。

<リフレ政策「失敗」論の根拠薄弱>

実際にドル円の方向性に影響するのは、世界経済と米国金利、そして脱デフレを後押しする日本の財政金融政策である。世界経済については、5月にコラムを書いた時から状況は同じで、最悪期を抜け出し、緩やかながらも回復が続いている。

それでも、米国の長期金利が歴史的な低水準にとどまっていたのは、米連邦準備理事会(FRB)が利上げ再開に慎重姿勢を保っていたこと以上に、日欧で長期金利がマイナス圏に低下したことが大きかった。実際にはFRBの12月利上げを阻む要因はなくなりつつあり、また日欧の行き過ぎた金利低下が是正され、今なお低い米長期金利はファンダメンタルズで説明可能な水準まで上昇すると予想する。

加えて、2016年の円高局面の主たる要因は、日銀や政府の経済押し上げ政策に対する失望である。これが今後変わるかという点で、政府の財政政策と日銀の政策転換をどう考えるかが重要になる。

財政政策については、10月に成立した第2次補正予算のみであれば限られた財政拡大にとどまる。いわゆる「ヘリコプターマネー」には程遠い小粒な財政政策だが、2014年の消費増税以来の緊縮財政政策を転換したことは意味がある。今後、安倍政権の政権基盤が強まり、この路線転換をより鮮明に打ち出すことができるようになれば、財政政策は円安要因になるだろう。

金融政策については、依然大きく見方が分かれている。9月21日に日銀が導入した「イールドカーブ・コントロール」と「オーバーシュート型コミットメント」は金融緩和強化と位置付けられると筆者は見ている(前回コラム参照)。

こうした見方に対して、主に2つの異なる見解がメディアで聞かれる。1つは、ベースマネーターゲットを曖昧にしたことは、「リフレ政策の失敗」であり、テーパリング(量的緩和縮小)の始まりを意味するとの見解だ。実際には、日本国債市場に対する日銀の関与という点で考えると、10年国債をゼロに誘導する政策はより強力である。

また、日銀のバランスシートを増やすことだけがリフレ政策であるとの認識は、的外れな議論だと考える。リフレ政策とは、緩和的な財政金融政策を徹底し、インフレ期待を引き上げてデフレからの完全脱却を果たし、完全雇用・経済正常化を実現することと筆者は認識している。

メディアで聞かれるもう1つの見解は対照的だが、今回は政策枠組みを変えただけで、金融緩和としては不十分との批判である。この見解については、これまでの円高やインフレ期待の低下を踏まえれば、筆者も理解できる。ただ、現在の政策枠組みは、インフレ期待により強く働きかけることが可能であるという点において、高く評価できると考える。

2016年初頭からのインフレ期待低下による円高トレンドは、6月のブレグジット後の市場変動が大底となり、日銀の政策レジーム転換によって反転すると筆者は引き続き予想している。

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焦点:「為替介入級」の買収フロー、円相場かく乱の要因に

[東京 18日 ロイター]
大型化する企業のM&A(買収・合併)が、円相場のかく乱要因になっている。日本企業による海外企業のM&Aは、7─9月期に過去最高の約4兆8000億円に達した。過去の為替介入に匹敵するマネーフローが、相場に与える影響は小さくない。潤沢な資金を抱え、成長を海外に求める日本企業は今後も増えるとみられ、市場関係者の注目度は一段と上がりそうだ。

<EU離脱決定後のポンド支えた巨額買収>

歴史的イベントとまで言われた英国国民投票によるEU(欧州連合)離脱決定。しかし、ポンド/円は意外な底堅さをみせた。

離脱決定が判明した6月24日はさすがに売られ、157円から133円まで急落したものの、その後は130円台で下げ渋る展開。7月11日以降は反転し、そこから5営業日で約13円の上昇となった。

市場では、値ごろ感によるポンド買いや自律反発的な動きではないかとの見方があった。だが、7月18日にソフトバンクグループによる英ARMホールディングスの買収が明らかになる。

金額は日本企業による海外企業の買収として過去最高水準の約3兆3000億円(約240億ポンド)。買収用のポンド買いが進むとの思惑も高まったが、ポンド/円は7月18日の買収発表後、3日ほどかけて約4円上昇しただけだった。

そこで、市場ではある思惑が浮上した。「発表前から買収用のフローが入っていたのではないか」(ブローカー)との見方だ。

ソフトバンクは「為替巧者」で知られる。2013年に米スプリントを約200億ドルで買収した際は、買収資金を1ドル82円20銭で予約。アベノミクスが始まって、91円近くまで円安が進み、2000億円近く節約できたと、孫正義社長が同年1月の会見で語っている。

市場の見方通りなら、今回も英国民投票前には157円だったポンドを、130円台で買えたことになる。

<「片道切符」のM&Aフロー>

最近の日本企業による海外M&Aは、大型化が顕著になっている。黒田東彦日銀総裁が財務官だった2000年に年間3兆1732億円、01年に同3兆2107億円の外貨買い/円売り介入が実施された。今回のソフトバンクによる買収は、それに匹敵する。

ソフトバンクだけでなく、今月5日に発表されたSOMPOホールディングスの米エンデュランス・スペシャルティ・ホールディングス買収は約6394億円にのぼった。保険会社の過去最大の海外M&A案件だった昨年の東京海上ホールディングスによる米社の買収(75億ドル)に次ぐ規模だ。

1日あたり平均500兆円超とされる世界の為替取引量に比べれば、M&Aのフローは小さく、トレンドを変えるものではないというのが一般的な見方だ。手元の外貨預金や外貨建て融資などを活用する場合もあり、海外M&Aの買収額がそのまま外貨買い/円売りとならないケースも多い。

しかし、ドルよりも市場規模が小さいポンドなどに対しては、巨額M&Aのフローは大きな影響力を持つ。事業法人の海外M&Aは、為替ヘッジなしで行われることが多いとされ「フローも片道切符のため、相場に一定の影響を与える」(外為どっとコム総合研究所・調査部長、神田卓也氏)という。

ソフトバンクは、みずほ銀行からの借入限度額1兆円のブリッジローンと手元資金で買収資金を賄った。ブリッジローン、手元資金のほとんどを円から英ポンドに転換したとされる。マーケットでは、「ブレグジット」決定後のポンドの底堅さを演出する影響力を見せたとそのパワーに注目が集まった。そして、そのパワーの大きさが一定のタイムラグを伴って鮮明になった。

10月7日早朝(東京時間)、ポンドは131円付近から124円まで急落する場面があった。ソフトバンクによる買収フローが市場から姿を消し、ポンドの買いが乏しくなたことも一因とみる向きもある。

<377兆円のジャパンマネー>

トムソン・ロイターによると、2015年の日本企業による海外M&Aにおける買収総額は、約11兆円で過去最高。その反動もあり、2016年上期は金額ベースで前年同期比6割以上の減少となったが、ソフトバンクなどの巨額買収で、9月までに前年同期比9.4%減までペースアップしている。

今年の動向をみると、円高がM&Aを活発化させるとの見方は早計のようだ。みずほ銀行のチーフ・マーケットエコノミスト、唐鎌大輔氏は「円高で買えるようになったものがあるという側面はあると思うが、それが一番の理由ではない」と指摘する。

ただ「そもそも日本市場が縮小しつつある中で、海外に活路を開く状況は変わらないので、今後も海外M&Aは増えるだろう。そこで為替が有利になっていくことは、後押しになり得る」と話す。

財務省の法人企業統計調査によると、2015年度の利益剰余金(内部留保)は前年度比6.6%増の377兆8689億円(金融・保険業を除く)と過去最高水準。円高だけではなく、潤沢な内部留保が企業のM&A意欲を支えている。

アベノミクスがスタートして3年余りが経過した。しかし、国内消費などに成長期待は乏しい。日本企業の海外でのM&A意欲は、さらに高まる可能性を秘めている。日本発のマネーフローが市場変動の大きな要因の1つとして、ますます意識される存在になりそうだ。

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コラム:円高が招く日銀「長期金利操作」の罠

上野泰也 みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト

[東京 17日]
金融政策運営において「量」の効果を重視している「リフレ派」の一員とみられている原田泰日銀審議委員は12日、長野県金融経済懇談会に出席し、その後記者会見を行った。

原田氏が発したコメントのうち、市場が最も強く関心を抱いたのは、なぜ「量」から「金利」への軸足シフトに「リフレ派」が賛成したのかという一般のマスコミがこぞって取り上げた点ではない。長期金利が低下余地を探る際に日銀が「量」の面でどのように対応するか、すなわち長期金利低下をけん制して止めにかかるのかどうかという点だった。

この記者会見での原田氏の発言をもとにしてケース分けして整理すると、以下のようになろう。

1)経済に非常に大きなポジティブなショックが加わったとき

実は日銀が公表した会見要旨では削られていた部分がある。複数のメディア報道によると実際には「非常に大きくポジティブなことが起きたときに非常に大きく減らすかということだが、基本的に0.1(%)でポジティブなショックのときに買うというのは80兆(円)より上にいくことになると思う」といった発言も、原田氏からあったようである。

筆者の解釈ではこの発言は、10年債を0.1%の指し値オペにより無制限に日銀が買って長期金利の上昇を止めようとする結果、日銀保有長期国債残高の増加額は年間80兆円のめどを超えるという意味だろう。

2)経済にそれほど大きくないポジティブなショックが加わったとき

日銀のホームページに掲載された会見要旨を見ると、原田氏は以下のように答えている。

「ポジティブなショックがあったときに、例えば10年物金利について考えると、当然金利が上がる。金利が上がるようなショックがあったときに金利をゼロに止めようとすることは、良いことがあったときにそれをさらに拡大するような金融政策を行うことになるので、これは金融緩和の強化だ」

つまり、長期金利はある程度上昇するが、操作目標である「ゼロ%程度」の範囲内に収まるように、日銀保有長期国債残高の増加額が年間80兆円になるペースで、そのまま買い入れを続けるということだろう(これは金融緩和政策の強化に当たる)。

3)経済にネガティブなショックが加わったとき

同じく日銀公表の会見要旨では、原田氏はこう述べている。

「仮に日本の輸出を急減させるようなショックがあれば、何もしなければ金利は下がる。金利が下がるときにこれをゼロに止めようとすれば、買い入れ額を減らすことになるが、これは金融を引き締めることになる」

「そうではなく、ネガティブなショックがあったときには、技術的にちょうど80兆円のペースになるかは分からないが、80兆円をめどに買い入れを進め、その結果、金利が下がってもそのままにするということだ」

つまり、日銀が何もしなければ長期金利は低下するが、これを「ゼロ%程度」にとどめるため長期国債買い入れ額を減らすと金融引き締めになってしまう(要するに為替市場で円買いの材料になってしまう)ので、そうはせず、とりあえずそのまま年間80兆円程度のペースで長期国債を買い入れて、長期金利の低下を容認するということだろう。

4)経済に大きくネガティブなショックが加わったとき

この点については、原田氏は明確に「ネガティブなショックが非常に大きければ、追加緩和になると思う」と述べている。長短金利操作に加えて「量」の上積みも選択肢になるのだろう。

<債券市場の疑心暗鬼を解消できるか>

ところで、筆者は「ゼロ%程度」を目標とする日銀の長期金利操作(10年債利回りなどの許容レンジ)について、「上下非対称」(金利上昇方向が狭い一方、金利低下方向は広い)になるだろうという見方を従来から取っている。

そして、原田氏からも前述の通り「ネガティブなショックがあったときに金利が下がってもそのままにする」との考えが示された。また、上記の記者会見では、そうした説明が「ポジティブなショックとネガティブなショックでは政策対応が非対称になることを含意している」とも述べている。

日銀内でこうした原田氏の見解が多数説になっているのかどうかは現時点では不明確だが、仮になっているとすれば、決して見逃してはならないことが1つある。それは、為替が円高ドル安の余地を大きく探る展開となる場合は、上記の3番目のケースに該当し、長期金利の低下を日銀はけん制しにくくなる(現実問題としてできなくなる)可能性が高いということだ。

日銀が掲げる「イールドカーブ・コントロール」の明らかな限界がここにあると、筆者は見ている。長期金利の上昇を指し値オペで止めることは十分可能だが、長期金利の低下が円高を背景とするものである場合には、日銀は手足を縛られてしまうということだ。

だが、市場に目を移せば、足元の為替相場が円安気味で推移していることに加え、投資家の側は日銀の調節姿勢について疑心暗鬼を拭うことができていないため、金利低下の方向を試す動きはまだ出てきていない。「梯子(はしご)を外されるリスクを考えると、期初であっても積極的に動けない」と漏らす運用担当者もいるという(10月12日付ロイター配信「金利ウオッチャー」)。

日銀の新しい枠組みは、「金利」重視派と「量」重視派の妥協の産物で、クリアカットなものにはなっていない上に、実際の長期金利操作においては日銀金融市場局の判断・裁量によるところが少なくない。

債券市場関係者の「疑心暗鬼」を、メッセージ発信や対話を通じて、日銀は今後、どこまで解消できるか。それは、「日銀依存(日銀次第)」となった債券相場(円金利)の動向を通じて、ドル円相場にも少なからず影響を及ぼすテーマである。

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コラム:ドル100円割れリスクは消えたのか

門田真一郎 バークレイズ証券 シニア為替・債券ストラテジスト

[東京 13日]
ドル円相場は9月下旬に改めて100円という水準の底堅さを確認した後、10月に入ると米利上げ観測の高まりによる全般的なドル高基調を受けて上昇に転じ、13日には一時104円台半ばを回復した。

フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ確率は7割近くまで上昇しており、ドルが(一部資源国通貨を除く)広範な通貨に対して買われる展開となっている。

過去数年間に米連邦準備理事会(FRB)の引き締め観測が高まった時期と異なり、原油価格の上昇や中国経済指標の改善を受けて新興国通貨やリスク資産は底堅い推移を続けている。このことに加えて、米大統領選挙で民主党のヒラリー・クリントン候補が優勢との見方が強まっていることが、市場のリスクセンチメント改善を通じてドル円相場を支えている面もありそうだ。

9月に日銀が金融緩和の新たな枠組みを導入したことを受けて、当面は日本の金融政策は相場の材料となりにくい。今後のドル円相場を見る上では、FRBの金融政策とグローバルなリスクセンチメントの動向が焦点となろう。

<FOMC内部で強まる意見対立>

まず、FRBの金融政策について、筆者は12月利上げを基本シナリオとしている。ただ、FOMC内部ではタカ派とハト派の意見対立が強まっており、いまだ12月利上げも既定路線とは言い切れない状況だ。

9月20―21日のFOMCでは市場予想通りFFレート誘導目標レンジが0.25―0.50%に据え置かれたが、3人の地区連銀総裁が利上げを求める反対票を投じた。一方、FOMC参加者の政策金利見通し(ドットチャート)では、3人が年内は政策金利据置きを想定しており、これにはブレイナード理事とタルーロ理事も含まれるとみられる。本部理事のなかでも意見対立が強まっている。

10月13日公表のFOMC議事録(9月分)でも、タカ派とハト派の見解の相違が改めて浮き彫りとなった。タカ派のFOMC参加者は「雇用増加の減速や賃金上昇の小幅な加速は労働市場の供給余力がほとんど、または全くないことを示唆している」とし、利上げ先送りで最終的により迅速な引き締めが必要になるリスクがあると主張した。

他方、ハト派は「賃金上昇の弱さ、高水準の非自発的パートタイム雇用、労働参加率の上昇は供給余力の残存を示唆している」とし、経済見通しの「全般的なリスクは引き続き下方に傾いている」と指摘した上で、「インフレが2%目標に向かっているより確信的な証拠を待ちたい」とのスタンスを強調した。

むろん、9月FOMCでの「決定は際どい判断」であり、「労働市場が改善を続け、経済活動が強まれば、比較的近い将来にFFレート誘導目標レンジの引き上げが適切になるだろう」との見方が中道派の主流だったと思われる。ただ、理事を含めたFOMCメンバー内の意見の相違が強まっていることを考えると、今後の経済指標や米大統領選の結果次第では利上げが来年以降に先送りされる可能性も否定できない。

また、12月に利上げが実施された場合も、非常に緩やかな利上げ軌道が改めて示されるとみられるほか、来年のFOMCで投票権を持つメンバーがかなりハト派寄りになることからも、FRBが積極的な利上げを通じて一段のドル高を演出するとは考えにくい。2014年半ば以降の急激なドル高が新興国通貨やリスク資産に大きな圧力を加えた経験を踏まえるとなおさらだ。

<原油高と中国経済持ち直しの円安効果は限定的>

ドルの大幅な上昇が見込みにくい状況下、グローバルなリスクセンチメントがドル円相場を見る上での焦点であり、足元は原油価格の上昇と中国経済指標の改善が、6月の英国民投票での欧州連合(EU)離脱選択後の市場センチメントの安定に一定の影響を及ぼしたと考えられる。

原油価格は9月下旬の減産合意報道以降に騰勢が強まるなか、すでに50ドル台を回復。11月の産油国会合に向けては底堅い推移が見込まれる。ただ、実際にどこまで踏み込んだ合意に至るかなど不透明感が残るほか、米シェール企業のリグ数が(なお低水準ながらも)増加基調に転じていることが、原油価格の上昇を抑える要因となり得る点には留意したい。

なお、原油高は日本の経常収支悪化を通じて円高圧力をいくらか後退させようが、経常収支の赤字化を招くような水準(100ドル超)まで達するとは見込み難く、日本の対外収支が円安要因とまでなる可能性は低い。

次に、夏場以降の中国経済指標は、政府のインフラ投資促進に向けた取り組みや住宅市場の持ち直しを受けて、改善基調に転じた。国家統計局の製造業購買担当者景気指数(PMI)は2月に49.0まで下落したが、足元は拡大・縮小の分岐点である50を回復している。

また、主要な月次経済指標も全般的に持ち直しの動きを示しており、昨年8月の人民元ショック以降に漂っていた中国経済に対する懸念は心なしか後退している、もっとも、足元の成長安定化は将来的な需要の先食いとみられるほか、9月貿易統計など一部の統計では弱さが続いており、来年にかけては再び成長が鈍化に転じる公算が大きい。足元で資本流出が再び拡大している点もやや懸念される。

当面は原油価格の底堅い動きや中国経済指標の持ち直しがリスクセンチメントを支え続ける見込みだ。ただ、FRBの利上げや欧州中銀(ECB)の国債買い取り減額などが市場で意識され、主要国の長期金利上昇圧力が強まるなか、金融緩和期待による低ボラティリティー環境で支えられてきたリスクオン相場の脆弱性には注意が必要だろう。来年にかけて欧州主要国で大きな政治イベントが多く予定されていることもやや気がかりだ。

こうした状況下、ドル円については短期的に100円台前半程度のレンジ相場が見込まれるものの、来年にかけては再び100円割れの展開を予想している。

昨年半ば以降の円高の背景にあったグローバルな不確実性(中国経済懸念、欧州政治リスク、米国経済が循環後期にある点など)は根本的に解消されていないことから、中期的な円高見通しを維持している。

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