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来週はドルの下値リスク残る、米主要経済指標控え

[東京 30日 ロイター]
来週の外為市場では、米国の主要経済指標、原油価格動向、20カ国・地域(G20)財務大臣・中央銀行総裁会議、日銀短観などが注目されている。足元の金融市場では原油価格の反発で市場心理が改善しているが、原油価格や株価をめぐる不透明感は残り、ドルの下値リスクが後退したとは言えない。

予想レンジはドル/円が99.50─102.00円、ユーロ/ドルが1.1150─1.1300ドル。

石油輸出国機構(OPEC)は28日、石油の減産で合意した。

「今回の合意については相当に割り引いて考える必要がある。イランなどが増産を目指している以上、どの程度の実効性があるか分からないからだ」とSMBC日興証券チーフマーケットエコノミストの丸山義正氏は述べ、11月のOPEC総会で各国の具体的な生産枠が定められる際、情勢次第では合意が成立しないリスクもあるとの見方を示した。

OPECの価格支配力が低下している現在、多少の減産があっても、今回の合意に含まれていないロシアなどの非加盟産油国や米国のシェール事業者などの増産で穴埋めされ、抜本的な需給改善には至らない可能性が高い。

ユーロについては「欧州金融セクターの株安には一服感がある。ユーロ圏のインフレ率の底入れ感が強まる中、欧州中央銀行(ECB)も追加緩和に消極的なので、底堅いイメージがある」と、みずほ証券金融市場調査部のチーフ為替ストラテジスト、山本雅文氏は言う。

10月6日には、G20財務大臣・中央銀行総裁会議がワシントンで開催される予定。ルー米財務長官は26日、金融政策への依存を弱め、財政政策や構造改革を活用して需要を喚起し、経済の効率性を高めるべきとの米国の主張について、多くのG20諸国が受け入れを表明し始めていると述べた。

10月7日には9月の米雇用統計の発表される。

また、10月3日にはISM製造業景況指数、5日にはISM非製造業景況指数(9月分)が予定されている。後者は単月のデータとしては最も国内総生産(GDP)に近い動きをするとされるが、数年ぶりの低水準まで落ち込んだ8月分から反発しないようだと、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ予想も後退しそうだ。

最大の関心事である米大統領選をめぐっては、トランプ候補に決定的な失言がないようだと、市場はトランプリスクを拭い去れないまま、大統領選まで身動きが取れない状況が続く可能性がある。第2回のテレビ討論会は10月9日の予定。

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コラム:「黒田フロアー」はドル99円にリセットか

鈴木健吾 みずほ証券 チーフFXストラテジスト

[東京 26日]
日米の金融政策決定会合は、いずれも政策そのものの変更は行わなかった一方で、今後に含みを残すものだった。そのため、様々な解釈が飛び交うなか、為替市場でも消化が進んでいる。

日銀については緩和政策の枠組みが大きく変更された。各論に対する様々な解説を目にするが、全体としては、あくまで緩和の継続と強化に向けた方向性が示されている。

量的緩和は金利を中心とした枠組みに変更し、目先は指摘されていた物理的な限界を取り払った。インフレ率2%の達成時期があいまいとなる代わりに「オーバーシュート型コミットメント」を導入し、サプライズを通じた短期決戦型から市場との対話を通じた長期持久戦型へと舵を切った。

マイナス金利導入による金融機関への悪影響や、インフレ見通しを引き下げるたびに市場から追加緩和を催促される悪循環を排除し、マイナス金利の深掘りや購入対象資産の拡大といった「切り札」は温存している。

一部には10年金利のゼロ%目標や80兆円の国債購入額があいまいとなったことなどに対してテーパリング(緩和縮小)的な要素を指摘する向きもあるようだが、各論だろう。総論としては、改めてインフレ率2%達成に向けて強力に緩和を進めていくために従来の枠組みを調整したものであり、必要に応じた行動をとる準備がなされたとみられる。

とはいえ、これまではインフレ見通しをにらみつつ、日銀による必要に応じた行動のタイミングを予想しやすかった。今後、どのような場合が行動のタイミングとして重要となるだろうか。その重要なタイミングの1つとして、ドル円の年初来安値1ドル=99.00円割れがトリガーになるのではないかと筆者は考えている。

<軽視できない輸出企業の業績悪化懸念>

日銀の上場投資信託(ETF)購入などによって株価が堅調に推移しているため、対ドルでの95円割れから90円程度の円高は容認されるのではないかとの話も聞かれるが、あまり本質的ではない。

若干古いデータになりつつあるが、7月公表の日銀短観によれば、大企業製造業の想定為替レートは111.41円。また、内閣府が2月に公表した企業行動に関するアンケート調査によれば、輸出企業の平均採算レートは103.20円だ。

ざっくりと言えば、ドル円が111円以下に下落すれば、「想定レート」を下回ることで輸出企業業績は減益となり、103円以下では、「採算レート」を下回ることで輸出企業の業績は赤字になる計算だ。

最近では、企業努力や実際の相場動向を反映することにより、対ドルの想定為替レートは110円から105円程度に下方修正されているとみられるが、それでも100円の節目や年初来安値99円を割り込めば過半の輸出企業が赤字となる可能性が出てくる。

当たり前のことだが、企業業績が赤字になれば雇用が手控えられ、所得は減少するだろう。これは消費の減少へとつながり、改めて経済の悪循環が強まる。株式市場にもいずれ反映され、アベノミクスや日銀のインフレ目標にも大きな阻害要因となるだろう。

日銀決定会合の翌日22日、祝日にもかかわらず、財務省・金融庁・日銀が臨時で会合を開き、為替市場での投機的な動きに対するけん制を行ったのも、明らかに1ドル=100円割れに対する警戒感の表れとみられる。

日銀の政策は対話を通じた長期持久戦へ移行と書いたが、すでにメッセージが発せられているのかもしれない。「アベノミクス加速国会」が召集されるなか、対ドルで100円もしくは年初来安値99円割れは日銀による追加緩和のトリガーとなる可能性が高いのではないか。筆者の読みが正しければ、この水準は新たな黒田日銀フロアーとして意識され、ドル円相場を下支えすることになるだろう。

<米利上げ12月実施の現実味>

米金融政策もドル円のサポート要因として期待できる。9月の連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げは見送られたが、声明文で「利上げの根拠が強まった」としたほか、イエレン連邦準備理事会(FRB)議長の会見内容に照らしても、もはや「利上げをすべきかどうか」ではなく「いつすべきか」の議論に移っているとみられる。

FOMC参加者のフェデラルファンド(FF)レート予想やイエレンFRB議長発言からは2016年のうちに利上げを1度実施することが多数意見となっていることが示されているが、次回11月1―2日の会合は直後の8日に大統領選挙を控えている。

つまり、経済・市況の急激な悪化など「何か」が起こらずに、現状の緩やかな景気回復が続けば、12月13―14日のFOMCでは利上げを実施する可能性が極めて高いことが9月の会合で示された形だ。

もちろん、経済指標の大幅悪化や海外でのリスクの高まりなどがあればシナリオは修正されるとみられる。今回利上げ見送りの理由とされた雇用のスラック(余剰)や2%に達していないインフレ率が、果たして12月までに改善するのかという問題もある。

加えて、トランプ大統領誕生や英国の欧州連合(EU)離脱騒動再燃など欧米の政治・金融リスクが円高をもたらす可能性にも警戒が必要だ。

だが、原油価格急落や中国経済への懸念といった年前半にかけて円高をもたらしたリスク要因は、すでに後退している。約半年で一方的に20%も進んだ円高に対する過熱感もある。また何より、ここまでFRBが12月の利上げ実施に意欲を示せば、市場はこれを意識せざるを得ず、基本的には今後のドル相場の下支え要因となるだろう。よって、年末にかけて105円から110円程度に反発するとのドル円のメインシナリオを筆者は引き続き堅持したい。

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コラム:米大統領選とドル円、最も警戒すべき展開

山田修輔 バンクオブアメリカ・メリルリンチ チーフ日本FX株式ストラテジスト

[東京 26日]
筆者はかねてより、秋に円高の最終局面が訪れ、その後、円安トレンドに回帰すると予想しているが、その1つのカギとなるのが米国の大統領選挙と連邦議会選挙だ。

11月の米大統領選と議会選の結果は、金融市場に大きな影響を及ぼし得る。主要世論調査とアイオワ電子市場(様々な事象を予想して取引を行うオンライン市場)によれば、現在のところ、大統領選は民主党のヒラリー・クリントン候補が共和党のドナルド・トランプ候補に勝利。議会選は共和党が下院、民主党が上院で、それぞれ過半を占める「ねじれ議会」となるシナリオが最有力視されている。

市場もこのシナリオを織り込んでおり、2010年中間選挙の下院選で民主党が敗れて以降の「決められない政治」とハト派的な米金融政策が続くとの見通しから、低金利・ドル安・株高となっている。だが、共和党、民主党のいずれかが大統領選・議会選とも完勝するシナリオに対しては、市場は脆弱になっていると言える。

以下、共和党完勝、民主党完勝、そして「民主党大統領または共和党大統領+ねじれ議会」の3つのシナリオ別に、ドル円相場の行方を占いたい。

●共和党完勝シナリオ:景気刺激的、短期ドル安、中期ドル高

トランプ氏、クリントン氏とも景気刺激的な財政政策を志向している。積極的な財政刺激策が期待できるのは、一党が大統領選と議会選で完勝する展開だ。

共和党が完勝すれば、より大規模な減税や米国への資金還流に対する税負担優遇を含む法人税改革、インフラ投資などが予想される。財政に対する長期的な影響を中立に保つため、そうした施策は長い時間軸で見るとオバマケアなど他の支出の削減によって相殺される公算が大きいが、中期的な政策ミックスとしては景気刺激的となろう。

なかでも、海外から米国に還流した資金に10%の税金を1回限り課すというトランプ氏の提案は、為替市場に大きな影響を及ぼし得る。全米経済研究所(NBER)のワーキングペーパーによれば、海外利益の本国送金促進を目的に2004年に成立した米本国投資法(HIA、Homeland Investment Act)は2005年に3000億ドルの資金還流をもたらし、同年のドル指数が13%近く上昇する一因となった。

海外からの資金還流が経済成長を促す効果を持つとすれば、後述する「政策の乖(かい)離」というテーマを補強する形で、ドル高を後押しするかもしれない。

米国の非金融法人企業は国外で1.7兆ドル程度の現金を保有している。当社の2015年企業リスク・マネジメント調査によれば、海外子会社の機能通貨は、回答企業の62%で現地通貨、13%で親会社のファンディング通貨、25%で現地通貨と親会社ファンディング通貨のミックスとなっている。単純計算では、米国の非金融法人企業には最大で1兆ドルの潜在的な還流資金が存在するということだ。

むろん、すべての企業が「HIA」に参加しているわけではないので、1兆ドルは言い過ぎかもしれない。ただ、当社の2011年企業リスク・マネジメント調査では、当時議論されていた「HIA第2弾」に参加すると回答した企業は44.3%に達した。仮にこの比率を当てはめれば、資金還流額は4400億ドルと推計され、これは月間360億ドル程度のドル買いを意味する。2005年のケースと同じように、こうした資金の流れは、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利の正常化を続ける中で、より広範なドル高を後押しする要因になるとみられる。

短期的には、トランプ氏が大統領選で勝利した場合、政策をめぐる不透明感の高まりから、当初はリスクオフに伴い長期金利が低下すると考えられる。英国民投票前後のように、米FRBも様子見姿勢を強めるだろう。

また、トランプ氏が輸出競争力の回復を目指したドル安政策を前面に打ち出すとの警戒感が高まれば、短期的にドル安に拍車がかかり、この点は確かに中期的リスク要因でもある。一時的なリスクオフとFRBの見通し修正が特に円とユーロに対してドル安を誘発し、短期的には円高が進行する可能性がある。

しかし、共和党が上下両院でも勝利する場合、成長を促進する政策や規制緩和、資金還流政策が2017年初めに打ち出され、このトレンドは反転し、中期的に金利上昇、ドル高相場が予想される。トランプ大統領がドル安ではなくドル高要因となる可能性は低くない。

●民主党完勝シナリオ:景気刺激的、短期ドル高、中期ややドル高

一方、民主党が大統領選と議会選を制した場合はどうか。包括的な財政刺激策が打ち出されるだろうが、中身は高所得者や一部企業に対する課税を財源とするインフラ投資に軸足を置いた措置となる公算が大きい。

民主党は大規模な税制改革に消極的で、より局所的な支出政策を志向しており、共和党ほど野心的な財政刺激策は出てこないとみられる。米シンクタンク「責任ある連邦予算委員会」の推計によれば、クリントン氏の提案は概して財政中立的である。

短期的には、クリントン氏が大統領選を制した場合、選挙をめぐる「不確実性プレミアム」の剥落がまず起きるだろう。このシナリオでは、市場が想定する将来の利上げ確率が上昇し、長期金利がまず上昇すると思われる。民主党による上下両院制覇が加わった場合、一段の規制強化のリスクがあるが、景気の見通しを大きく悪化させるようなものにはなるまい。

民主党完勝シナリオでは、政策をめぐる不透明感の後退から、全体的なドル高となる中で(特に円やユーロといった安全通貨に対して買われる見込み)、中期的には共和党完勝シナリオと比べてドル高は進まない可能性がある。

●「ねじれ」シナリオ:財政刺激は限定的、低金利、ドル上値重い

政府が「ねじれ」状態に陥るシナリオでは、財政刺激は限定的となる見通しであり、財政政策が若干緩和される程度となろう。

当社の試算では、「クリントン大統領またはトランプ大統領+ねじれ議会」という組み合わせとなった場合、財政刺激策が来年の米国内総生産(GDP)成長率に与える影響は非常に小さくなる。

米国政治が割れた状況が選挙後も続けば、来年3月に復活する連邦債務上限をめぐり、政局が繰り広げられるリスクが高まる。低金利、ドルの上値が重たい展開が想定される。

<金融政策の不透明性は共和党政権なら増幅>

最後に、11月の米大統領選・議会選は、金融規制と金融政策にどのような影響を及ぼすのか、考えてみたい。金融規制の変更としては、銀行監督および住宅金融の見直しや、海外からの資金還流を促す施策などが想定し得る。金融規制改革には法整備が必要だが、一党が完勝すれば実現しやすい。

一方、FRB議長の交代は上院が大統領に協力すれば実現する。直接的な影響が最も顕著となるのは、共和党が完勝するシナリオである。同党は金融規制の再評価を行うことを公約しており、リーマンショック後の2010年に成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)を修正する可能性もある。ドッド・フランク法の範囲が縮小された場合には、金利上昇、ドル高が予想される。

民主党が完勝するシナリオでは、金融規制に変更が加えられるとすれば、規制強化の方向となろうが、同党の政治資本に対するリターンは限られるため、大掛かりなものとはならないだろう。

FRBの議長、副議長、空席となっている2つの理事ポストへの影響はどうだろうか。イエレン議長の任期は2018年2月までで、フィッシャー副議長の任期は同年6月までだ。クリントン氏が議長交代を求める可能性は低いが、トランプ氏は議長再任の考えはないと表明している。共和党が大統領選と上院選を制した場合、議長と副議長が交代するリスクが高まる。この点は、共和党が大統領選で勝利した場合の政策をめぐる不透明感を増幅させる。

共和党の政策綱領は、FRBおよびその金融政策決定プロセスを監査する法律の制定も求めている。共和党政権が指名・承認するFRB新議長がこうした見方に理解を示すことも考えられる。政策決定への監査を支持する新議長のもとで金融政策の予測可能性が低下するとは限らないが、政策決定プロセスに対する政治の介入を制限するために、ルールに基づく硬直的なアプローチへの依存が高まるリスクもあろう。

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FRB利上げ減速 日米金融政策読みづらく

日本経済新聞 ワシントン 河浪武史

米国と日本の金融政策を巡る不確実性が、金融市場の先行きに影を落としている。米連邦準備理事会(FRB)は21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で再び利上げを見送り、先行きの引き締めペースも一段と引き下げた。日銀が長期戦をにらみ導入を決めた金融緩和の新たな枠組みを巡っても市場の解釈が割れ、市場動向次第ではマイナス金利の深掘りなどに踏み切るとの観測も出ている。

米追加利上げの見送りで22日の円相場は一時1ドル=100円10銭と、約1カ月ぶりの円高水準を付けた。米政策金利が据え置かれる一方、日銀の枠組み見直しで日本の長期金利はやや上昇するとの観測が浮上。

この結果、日米の金利差が縮小して「ドル売り・円買いがじりじり進む」(国内銀行)との見方が広がった。

「利上げの条件は整ってきたと判断している。雇用と物価がさらに前進する確証を得るため待つことにした」

21日の記者会見でイエレンFRB議長は歯切れの悪さが目立った。0.25%の利上げを求めるカンザスシティー連銀、クリーブランド連銀、ボストン連銀の3地区総裁が利上げ見送り方針に強硬に反対。メンバーの深い亀裂を露呈した。

昨年12月に利上げに踏み切った際、FRBは低成長などを「金融危機の余波」と見ていたようだ。同時点で16年に4回もの追加利上げを見込んだ楽観論の根拠もそれだ。

だが、米経済は7年を超す景気拡大局面が続くのに実質成長率は2%と戦後の回復局面で最も低い。雇用拡大でも物価上昇率は高まってこない。

イエレン氏らは現在の低成長・低インフレを通常の景気循環とは異質な中期的な傾向ととらえつつあり、ニューノーマル(新たな定常状態)とまで呼び始めた。「日本のような慢性的な低インフレのリスクは小さい」と過度な悲観をいさめつつも、低成長からの脱却には「金融政策だけでできる範囲を超えている」と不安を隠さなくなっている。

もっともFRBとしては雇用が底堅いうちにできれば利上げで政策余地を広げておきたいのも本音だ。イエレン氏も利上げの旗を降ろしたわけではなく、「多くのメンバーは年1回の利上げが適切だと考えている」と述べた。11月、12月の年内2回のいずれかの会合で利上げする可能性を改めて示唆したもので、金融市場は現時点で12月利上げを有力視する。

日銀の金融政策も今後のFRBのかじ取りに大きく左右されうる。雇用、物価改善で米が年内利上げに動く可能性が高まればドル買い・円売り圧力が膨らみ、それだけで日本の株式市場や景気には追い風が吹く可能性はある。

一方で米景気のさらなる減速や雇用不振などでFRBの利上げ観測が後退したり、日銀が導入する新たな緩和枠組みの実効性に対する懐疑論が強まったりすれば、円が急騰しないとも限らない。

日銀の枠組み修正について市場では「追加緩和とはいえず、持続的な円安要因になっていない」(あおぞら銀行の諸我晃市場商品部部長)との指摘もある。

政府・日銀はとても臨戦態勢を解ける状況にはなく、為替や株式の相場動向次第ではマイナス金利深掘りなどの追加策を迫られそうだ。

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ドル/円下落、日銀総裁発言が影響=NY市場

[ニューヨーク 26日 ロイター]
終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが対円で下落。日銀の黒田東彦総裁の講演・会見における発言で、円を大きく押し下げる措置は今後も打ち出されないとの見方が強まった。

黒田総裁は2%の物価目標達成に向けて利用可能なあらゆる手段を行使する姿勢を示す一方、当面は国債買い入れ規模が大幅に増減することはないと述べた。

こうした発言を受け、結果的に円高をもたらしている現在の日銀の緩和政策が維持されると市場は解釈した。日銀がマイナス金利導入を決定した1月以降、円はドルに対して17%強上昇している。

BMOキャピタル・マーケッツのFX戦略グローバル責任者グレッグ・アンダーソン氏は「黒田総裁が『量』の拡大が必要だとはっきり認めなかったため、円が値上がりした」と指摘した。

終盤のドル/円は0.7%安の100.29円だった。

米大統領選候補者の第1回討論会をめぐる不透明感が、ドル売りにつながった面もあった。

TJMブローカレッジの外国為替共同責任者リチャード・スカローン氏は「ほとんどの市場参加者は、討論会の結果を見極めて取引の手掛かりにしようとしている」と述べた。

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FOMC利上げ見送り:識者はこうみる

[21日 ロイター]
米連邦準備理事会(FRB)は21日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定した。ただ、労働市場が一段と改善するなか、年内に一回の利上げを行う可能性を示唆した。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●7対3の決定は異例、12月利上げの公算大きい

<アリアンツの首席経済アドバイザー、モハメド・エラリアン氏>

米連邦準備理事会(FRB)は金利据え置きを決めたが、7対3での決定となったことは非常に異例で、FRBが政策をめぐりジレンマを抱えていることを示している。これにより12月利上げの公算が大きくなった。

●安全最優先の決定、次回会合の利上げ尚早か

<UFXドット・コムのマネジングディレクター、デニス・デ・ジョング氏>

米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は最近、手の内を見せずにいる。本日金利据え置きを決定したが、市場にショックが起こることはないだろう。大統領選まで7週間を切り、データも強弱入り混じった状況を示す中、FRBは明らかに安全第一のアプローチを採用した。

再利上げはなお検討課題とみられ、選挙1週間前の次回連邦公開市場委員会(FOMC)会合は、行動を起こすのに時期尚早となる可能性もあるが、12月の公算が最も大きいようだ。

●リスク概ね均衡との見方カギに

<ケンブリッジ・グローバル・ペイメンツ(トロント)のFX調査戦略部ディレクター、カール・シャモッタ氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)は現状維持を決定したが、大方の予想通りの結果となった。また米連邦準備理事会(FRB)は年内利上げに踏み切ることをかなり明確に示唆した。イエレンFRB議長が指摘する「リスクは概ね均衡している」との見方が重要なカギになるとおもう。つまりこれは、下振れリスクと同じくらい上振れリスクが存在することを意味している。

●11月利上げ可能性低い、指標に注目

<UBSのポートフォリオ・マネジャー、アラン・リヒシャフェン 氏>

大きな驚きとは受け取られなかっただろう。欧州中央銀行(ECB)が新たな政策を打ち出してこなかったこともあり、米連邦準備理事会(FRB)が何らかの措置をひそかに用意しており、それが利上げの可能性があるとの見方を誘っていたかもしれないが、イエレン議長とフィッシャー副議長はスタンスを変更していないというのが現実だ。

日銀の打ち出した新たな政策に加え、世界的な緩和政策がどのようにFRBの政策にどのように影響するかが世界的に注目されているが、最終的には「米経済情勢が改善しているか」どうかが焦点となる。雇用など、一部の分野では状況は改善しているが、好調だった指標でさえ幾分軟調となっており、それが今回の金利据え置き決定につながった。11月については、米大統領選の数日前にFRBが行動することは考えがたく、今後は経済指標の動向が注目される。

●反対3票に注目、大統領選など12月利上げ阻む要因も

<アバディーン・アセットマネジメント(ロンドン)の投資マネジャー、ルーク・バーソロミュー氏>

今回の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の変更はないことは以前から予想されていた。今回の会合の焦点は12月利上げに向けた地ならし、およびその後の見通しだったが、反対票が3票あったことは興味深かった。

FRBが12月の利上げを視野に入れていることはドットチャートからかなり明確に見てとれる。12月のFOMCまでには大統領選挙が控えており、これが市場の波乱要因になる可能性がある。12月に利上げがあるとの観測そのもので市場で大幅な売りが出る可能性もあり、それによりFRBが利上げを棚上げする公算もある。

●FRB、年内利上げの決意固めている

<TD証券(ニューヨーク)の金利ストラテジスト、ゲンナディ・ゴールドバーグ氏>

反対票は3票だったこと、見通しに対するリスクは現在はおおむね均衡していること、利上げの論拠が強まっているなかでも今回は据え置きを決めたこと。こうしたことはすべて、連邦準備理事会(FRB)が年内の利上げに向け決意を固めていることを示している。

●状況悪化しなければ12月利上げの意向

<米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)の首席エコノミスト、ダグ・ダンカン氏>

決定に際し反対する向きが目立ったことで、金利の方向性をめぐり激しい議論がやりとりされたと想像する。米連邦準備理事会(FRB)は状況が悪化しないかぎり12月に利上げする意向を持っていることは確実だ。金融政策の正常化への対応でかなりの議論があったと思われる。FRBは経済見通しや金利の道筋で明確に下方修正している。

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日銀、政策枠組みを大幅修正 マイナス金利・長期金利が操作対象

[東京 21日 ロイター]
日銀は、20─21日の金融政策決定会合で、金融市場調節目標をこれまでのマネタリーベースから利回り曲線(イールドカーブ)に変更する金融政策の枠組みの大幅な修正を決定した。短期金利の操作対象となるマイナス金利幅は現行の0.1%を今回は維持する一方、新たに長期金利(10年国債金利)がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買い入れを行う。長期国債の買い入れは、保有額が年間80兆円程度増加する現行ペースをめどとする。

<マイナス金利0.1%維持、長期金利はゼロ%程度に誘導>

金融政策運営の枠組みの量から金利への変更に伴い、これまでのマネタリーベースを年間80兆円増加させる目標を撤回した。もっとも、目標とする物価が実績として2%を超えるまで「マネタリーベースの拡大方針を継続する」との新たなコミットメントを導入。「あと1年強でマネタリーベースの対名目GDP(国内総生産)比率は100%(約500兆円)を超える見込み」と明記した。

新たな枠組みは「長短金利操作付き量的・質的金融緩和(QQE)」で、金融市場調節目標は短期金利と長期金利が対象になる。短期金利については、今回はマイナス金利幅を現行の0.1%に維持したが、長期金利は「10年物国債金利がおおむね現状程度(ゼロ%程度)で推移するよう、長期国債の買い入れを行う」。

国債買い入れ額は保有額が年間約80兆円増加する現行ペースをめどとするが、長期金利をゼロ%程度に維持する方針の下、買い入れ額は変動する可能性がある。今後、必要な場合は、マイナス金利のさらなる深掘りとともに、長期金利の操作目標を引き下げる追加緩和手段が軸になる。従来の資産買い入れやマネタリーベースの拡大も追加緩和手段として排除していない。

超短期金利を操作するため、新たな金融調節手段(オペレーション)の導入も決めた。具体的には、日銀が指定する利回りで国債を買い入れる指値オペのほか、固定金利による資金供給オペの期間を現行の1年から10年に大幅に拡大する。

<イールドカーブの過度なフラット化、金融機能持続に不安感もたらす>

こうした枠組みの修正は、今回の会合で行った黒田東彦総裁の下で導入された金融緩和策の「総括的な検証」に基づくもの。

検証では、大規模な金融緩和の導入から3年半が経過したにもかかわらず、物価が目標とする2%に達していない要因や、これまでのマイナス金利付きQQEの効果や影響などがまとめられた。

この中で、マイナス金利と長期国債買い入れの組み合わせによりイールドカーブ引き下げの効果と影響について、国債や貸出などの金利低下によって「金融環境は一段と緩和的になっている」と評価した。

もっとも、イールドカーブ引き下げによる経済・物価への効果や金融面への影響に関して「経済への影響は中短期ゾーンの効果が相対的に大きい」とする一方、イールドカーブの過度なフラット化は金融機能の持続性に対する不安感をもたらし、「マインド面などを通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性がある」と副作用にも言及した。

物価2%を達成する上で不可欠な予想物価上昇率は、実際の物価上昇率に影響される要素が大きいとし、「時間がかかる可能性に留意が必要」と指摘。それだけに「フォワードルッキングな期待形成の役割が重要」と位置づけた。

量と期待の関係では、マネタリーベースの拡大が「予想物価上昇率の押し上げに寄与した」としながら、マネタリーベースと予想物価上昇率の関係は「長期的」として、「長期的な増加へのコミットメントが重要」と分析している。


日銀、金融政策の枠組み変更決定:識者はこうみる

[東京 21日 ロイター]
日銀は20─21日の金融政策決定会合で、金融政策の総括的検証を踏まえ、当座預金の一部に付与している0.1%のマイナス金利を据え置く一方で、国債買い入れでイールドカーブ(利回り曲線)の形状を意識した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入する。

市場関係者のコメントは以下の通り。

利回り曲線操作、持続的な円安につながらず

<三菱東京UFJ銀行 グローバルマーケットリサーチ・チーフアナリスト 内田稔氏>

今回は金融政策の呼称を「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に変更した。単に金利を下げるのではなく、長期金利を上げるという。マイナス金利導入から、わずか半年での方針の大転換とも言えよう。

ひとまず初期反応は円安方向だが、これは長期金利がやや上がったことによって銀行株も上昇するなど、これまでのマイナス金利の副作用が和ぐことへの期待だろう。

ただ、マイナス金利はどこまでも深掘りできるわけではなく、青天井の緩和拡大余地は期待できない。加えて、国債は10年金利がゼロ%になるよう買い入れ額を減らすことになる上、平均残存期間も年限基準が撤廃され短縮化することから、緩和姿勢の後退と受け止められなくもない。こうして見ると、持続的な円安につながる話ではないだろう。

目先1カ月のドル/円は98─104円のレンジで見ている。米国の利上げの先行き次第の面があるが、経済指標で米景気の強さを確認していく必要があるし、大統領選挙も近い。年内利上げに向けた盛り上がりは出にくい。日米金融政策に材料出尽くし感が生じることで、バイアスは下方向だろう。

一時的なリスクオン、日経平均1万7000円トライも

<三井住友アセットマネジメント シニアストラテジスト 市川雅浩氏>

マイナス金利の深掘りが見送られた。また今回取り入れられたイールドカーブ・コントロールは、利回りの傾きをスティープ化させることを主眼に置いた内容。さらに2%の物価安定目標を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続するとしている。いわばフォワードガイダンスの強化となる。イールドカーブを見ると、ほぼスティープ化したまま上昇シフトしている。これを受け、銀行・保険株が上昇し、全体相場をけん引している。

まずは一時的な反応として、ややリスクオン的なムードにもなっている。だが、今後、日銀のオペレーションが上手く機能するかどうかを含め、イールドカーブを本当にコントロールできるか見極めなければならない。

大きな波乱がなかったのは評価できるが、日本株はレンジの上限にも来ている。またFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げ見送りとなれば、ドル安/円高方向にも振れやすい。もっとも、米国株が崩れなければ、日本株は引き続きしっかりとした動きが見込まれる。日銀のオペレーションに大きな混乱がなければ、日経平均は1万7000円を再度試しに行く可能性もある。

米利上げ見送りならドル100.50―103.50円レンジに

<FXプライムbyGMO 常務取締役 上田眞理人氏>

日銀決定会合の結果を受けて、ドル/円は102円半ばまで買い進まれた。

具体的に短期筋が何をはやしてここまでドル/円を買い上げたのか不明だが、タイミング的には、今回は追加緩和を見送る一方で、一拍ためて、今後の追加緩和に期待を残したことが奏功し、ドル買い/円売りになったのかもしれない。

きょう米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げを見送ったと仮定して、今後しばらくのドル/円のレンジは100.50―103.50円とみている。103円台はかなり上値が重い印象だ。

オペの状況が流動的に

<岡三証券 債券シニアストラテジスト 鈴木誠氏>

2%の物価目標の達成に向けて、しばらくは金利を低位に抑えつける政策を続けることになるだろう。ただ、マイナス金利幅の深掘りがなかった分だけ、目先は金利が下がりづらくなっているようだ。

国債買い入れオペの状況が流動的になってくると思われる。日銀の意図が入ってくることで、長いゾーンの金利もコントロールしていくことが可能か注目される。

現状のイールドカーブの水準をできるだけ長期的に固定させて、金利を上昇させない作業をする一方で、極端には下げないことも行っていくのだろう。

「10年金利がゼロ%になるよう国債買い入れを行う」ということで、プラス水準を売る必要はない感じがする。10年金利はゼロ%近辺からマイナスゾーン中心で推移するのではないか。となれば、超長期ゾーンの金利は基本的に0.4%─0.5%程度になると思われるため、現状のイールドカーブの水準からなるべく上振れさせないようにするということだろう。

年内緩和の思惑残りドル/円上昇

<みずほ証券 チーフFXストラテジスト 鈴木健吾氏>

ドル/円の初期反応はドル売り/円買いとなった。10年金利がゼロ%になるよう国債を買い入れる方針などが示されたが、為替にとっては緩和とはとらえにくいと受け止めた向きが反応し、瞬間的に売られたのだろう。

ただ、そのほかにも、いろいろな工夫をこらす姿勢がにじんでいる。マイナス金利は温存され、展望リポートと同じタイミングで追加緩和が打ち出される可能性が残ったことなどがあらためて評価され、ドル買い/円安方向に反発したのだろう。

目先1カ月のレンジは100─105円とみている。これまで一方的な円買いが目立ったが、年内緩和の可能性が残ったことで、ポジション調整の円売りが誘発される可能性も出てきた。

実効性が問われる政策メニュー

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

今回の決定会合では、一定の効果があると検証したマネタリーベースの拡大でインフレ目標2%を出来るだけ早期に実現することがポイントだと考えられる。ただし、具体的な方法は明示されていない。

ドル/円相場は、今回の決定を緩和強化と受け止め、102円台への円安が進行したが、上昇幅は相対的に小幅に留まっている。日経平均は前日比で一時300円を超える上げ幅となった。ただ、明日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、基本的に利上げ見送りを想定しているため、足元の円安・株高の動きを弱めるものと考えられる。

JGBについては、イールドカーブ・コントロールを新たな枠組みの中心に据えた。しかし、人為的な金利形成には限界があり、スティープ化したカーブを見て、市場参加者や国民がインフレ期待を醸成させるかどうかは定かではない。

金融政策と金融市場の関係については、短期的な反応はともかく、金融市場が立脚する経済の構造的な変化を考慮すべきだろう。不安定さを増す市場の背景には、リーマンショック以降に日米欧が導入した量的緩和(QE)バブルが崩壊し始めたことがある。

このような環境の下で、市場が、政策の意図する方向に安定的に動くことは担保さ

れないうえ、金融政策にできることには限界があるとの認識は、市場のみならずG20等でも共有されている。

明日のFOMCの決定については、利上げであれば株売り、利上げ見送りでも実体経済の弱さが着目され、株売りとなる公算が大きい。

世界の金利形成の基準となる米国長期金利、そして世界経済のパイの縮小を反映して価格形成される原油相場は、再び低下、下落基調となることが見込まれる。

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黒田サプライズはないのか? 日銀会合「総括的検証」を総括的に予想する

9月20~21日に行われる日銀金融政策決定会合は、「総括的検証」が公表されます。政策変更、マイナス金利の深堀の可能性、結果を受けての市場の反応などについて、第一生命経済研究所の藤代宏一さんがQ&A方式で総括的に予想をします。

21日の会合で「マイナス金利の深堀」の可能性はあるのか?

Q:9月21日の会合で予想される政策変更は?

A:デュレーション(国債の年限ごとの利回り)調整のみ。現行の7~12年を3~12年へと事実上の短期化。現行のデュレーションは昨年12月の「補完的措置」で決定されたものだが、当時、黒田総裁は「追加緩和ではない」としていた。デュレーション短期化のハードルは高くはない。

Q:なぜ、デュレーション短期化なのか?

A:国債購入の「量」を減額することなく、イールドカーブをスティープ化(≒長短金利差が拡大方向へ)させる唯一の方法。イールドカーブのスティープ化によって金融機関への打撃が和らげば、政策効果が高まるという理解に基づく。

Q:マイナス金利深掘りの可能性は?

A:筆者は少なくとも9月会合では深掘りがないと予想。日銀以外にマイナス金利の支持者が少ない状況下、相当強い自信がない限りマイナス金利深掘りを断行できない。銀行株を中心に日本株が下落したり、リスクオフの円高が進めば、さらに批判的な論調が強まる。1月29日のマイナス金利導入時のように“黒田バズーカ逆噴射”との酷評は避けたいところだろう。またイールドカーブが再びフラット化する可能性があり、本末転倒となるリスクがある。

Q:デュレーション調整のみの実質ゼロ回答となった場合、市場の反応は?

A:米国時間21日、日本時間では22日の午前3時に連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表、同日午前3時30分からイエレン議長の記者会見が予定されていることもあって市場の反応を読むのは難しい。もっとも、会合結果が事実上のゼロ回答となっても、さほど失望は大きくないかもしれない。当初、筆者は日銀会合の結果が失望を招き円高・株安に繋がる可能性が高いとしていたが、8日の欧州中央銀行(ECB)理事会の反応をみて考え方をやや修正した。理事会後のドラギ総裁の会見では、追加緩和に前向きな姿勢が修正されたにもかかわらず、市場の反応は限定的だった。日銀と同様、金融政策の限界が意識されているECBに対する市場の期待が低かったことが主背景だろう。皮肉なことに「金融政策の限界」が奏功する可能性がある。

物価目標達成「2年」を放棄するのか?

Q:「量」・「質」・「金利」という3次元に加えて「4次元」が発動される可能性は?

A:外債購入が「4次元」として考えられるが、周知のとおりそのハードルは高く、今回のタイミングでは極めて考えにくい。ちなみに「4次元」には該当しないが、社債購入が拡大されるとの観測報道があり、それ自体はあっても全く不思議ではない。ただし、日本は米国と比較して社債市場の規模が小さいほか、低格付け企業が発行するハイ・イールド債市場が未発達なこともあり、社債発行は財務健全性に優れた企業、すなわち、元から低金利での資金調達が容易な企業が中心になっている。そのため効果は小さい。

Q:「2年」の目標が放棄されるとの観測があるが。

A: そもそも日銀が物価目標達成のターゲットとしているのは、あくまで「できるだけ早期」。「2年で2%」というフレーズをよく聞くが、「2年程度の期間を念頭に置いて」という文言は2013年4月の声明文に一度だけ登場したのみで、それ以降は触れられていない。量的・質的金融緩和の導入からすでに3年半が経過しているので、いまさら「2年」が意味のある数字とは思えない。ただし、これまで物価目標達成時期は(その時々の予想時点を起点に)概ね2年以内が示されてきたので、人々は2年が目標であると理解しているし、そう理解するのが極めて自然。「総括的検証」では、原油価格の不透明感を主因に、2年以内の物価目標達成が難しいとの認識が示される可能性がある。その場合、「2年を放棄」と解釈されるだろう。

Q:「サプライズ型」から「予告型」への変更は?

A:大いに考えられる。黒田総裁がこの6月に「政策の予見性可能性」を重視する構えを見せたことから明らかなとおり、すでに「サプライズ型」の情報発信を修正し始めている。「総括的検証」ではサプライズ型の政策変更が、将来の金融政策の不透明感を高めたとの反省が盛り込まれる可能性がある。今後は、ECBドラギ総裁が用いている戦術、すなわち総裁会見で次回会合の政策変更を強く示唆するという手法が採用されるのではないか。なお、こうした視点は筆者が9月会合で追加緩和がないと予想する有力な根拠の一つである。14日付の日経新聞朝刊が1面で報じたよう、先々のマイナス金利深掘りの可能性があるのは事実だが、その場合、事前に何らかのシグナルが発せられる可能性が高いだろう。

Q:「総括的検証」で根本的な金融政策の変更がある可能性は?

A:あるとすれば、日銀法の改正も視野にデュアルマンデート(2つの目標)の採用が議論される可能性。現在、日銀の目標は「物価安定」のみだが、連邦準備制度理事会(FRB)のように「雇用最大化」も同時に担う方が金融政策の自由度が増すという理解に基づく。20年近く続いた物価下落の下で消費者の「物価上昇に対する抵抗感」が強まっているほか、年金生活者の生活防衛意識がインフレ目標達成の阻害要因になっているため、「物価安定(≒上昇)」というシングルマンデートだと、人々が金融緩和策に理解を示さなくなる。この点は、黒田総裁が5日の講演で触れたようにマイナス金利政策の「心理面への悪影響」とも関係する。雇用最大化(≒賃金上昇)を政策目標に追加すれば、「賃上げのための黒田バズーカ」といった具合に金融緩和に対する理解も得易くなるのではないか。べき論でいえば、日銀は「物価と賃金は理論的にも実証的にも概ねパラレルに動くものだ」との説明をもっと繰り返すべきだ。大部分の国民が物価上昇を歓迎していない現実を自らの調査で突き付けられているのだから、日銀はもっとそれを認識すべき。

物価目標2%は継続していくつもりなのか?

Q:2%目標の引き下げは?

A:「消費者物価の前年比上昇率2%」という目標が変わることはない。また、2%±0.5%というような柔軟化も見込まれない。

Q:それでは、このまま2%の物価目標を追い続けるのか?

A: 筆者が従前から指摘しているのは、日銀が別の尺度を重視する路線に舵を切ること。今回の「総括的検証」がターニングポイントになる可能性がある。すでに日銀は原油価格下落に対応して、日銀版コア消費者物価指数(CPI、生鮮食品・エネルギーを除いたベース)を重視しているが、2015年10月の展望レポートで「公共料金や一部のサービス価格、家賃などの価格硬直性が想定以上に強い場合には、CPIの上昇率の高まりを抑制する要因になる」と指摘していることが注目される。こうした経緯を踏まえ、公共料金と家賃の“クセ”を加味した物価指標を重視する可能性があるとみている。「総括的検証」で家賃と公共料金の低位粘着性について議論された場合、エネルギーの他に帰属家賃など下方硬直性の強い品目を除いた“日銀版コアコア物価”が登場するかもしれない。ちなみに、日銀(関係者)が問題視している「持ち家の帰属家賃」を除いたベースの物価は2%程度に到達した実績があるので、この尺度を重視すれば出口は随分と近くなる。今回の総括的検証において「公共料金」や「家賃」が主役級の存在感を示すかもしれない。また、この場合「出口」が一気に近づくのは言うまでもない。「2%は無理」、「まだまだ金融緩和は続く」といった市場参加者のコンセンサスが突如として修正を迫れられる可能性に注意したい。

※日銀(正確には執筆担当者の見解として)は2016年7月に「わが国の公共料金の特徴」というレポートを発表。そこで「(公営事業について)収益に対する補助金投入が常態化し、営業費用や投資の減価償却費が、料金に十分に反映されていない可能性が挙げられる」として、公共料金の価格設定を問題視している。個人的な意見だが、このように公共料金の引き上げを正当化するような議論は、上述の「物価上昇に対する抵抗感」という観点から、国民の反感に繋がるため得策ではないと思われる。補助金分を調整した公共料金の試算値を示す程度に留めておくべきだろう。同レポート内の試算によると、補助金がなかった場合の公共料金は前年比+1.5%になるという(2010-14年度平均は+0.9%)。

(第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一)

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日銀緩和ならドル104円方向か、持続性には疑問=今週の外為市場

[東京 20日 ロイター]
今週の外為市場は、20─21日の日銀決定会合が最大の関心事。総括検証の結果を踏まえ、追加緩和を決定するかが焦点となっている。市場の見方は割れており、緩和ならドルは104円方向に向かいそうだが、円売りの持続性には疑問も残る。

同時期に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利上げが見送られる公算が大きい。

予想レンジは、ドル/円が99.50─104.50円、ユーロ/ドルが1.100─1.1400ドル。

決定会合が近づく中で事前報道が飛び交い、市場からは、緩和の方向に「かなり煮詰まっている印象」(国内金融機関)との声が出ている。

「追加緩和したときのドルの発射台が102円近辺なら、104円付近までの上昇はありそう。ただ、事前に報道された内容とほぼ同じであれば、材料出尽くし感から円に買い戻しが入りそうだ」(外為アナリスト)との指摘もある。

一方、日銀は7月に上場投資信託(ETF)の買い入れ増額を決めたばかりで、急いで緩和する理由が見いだしづらいとの指摘もある。将来的な円高に備え少ないカードを温存するべきとの声もあり、9月は検証結果を示すにとどめ、実際のアクションは10月以降に見送るとみる向きもある。

追加緩和を見送った場合、ドルは一時的に100円割れとなる可能性もあるが、「今年に入ってから99円台では底堅い。介入警戒感から一気に下値を攻略できず、また持ち直すイメージ」(同)との声も出ている。

日銀会合後に結果が発表されるFOMCでは、利上げが見送られる公算が大きい。イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長やフィッシャー副議長の発言でにわかに9月利上げの織り込みが進んだが、経済指標の内容がともなわなかった。ブレイナードFRB理事の講演での発言で、9月利上げ観測は大きく後退している。

日米金融政策イベントが同日に行われるだけに「21日だけでドルは3、4円は動く可能性がある。一週間のレンジのほとんどがこの日に費やされそうだ」(国内金融機関)とみられている。イベントでサプライズがあった場合は、21日だけでは消化できず、22日に余波が出てくることもあり得る。

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焦点:広がる長短金利差、市場に警戒感 緩和見送りで反動も

[東京 14日 ロイター]
日本の国債市場で長短金利差の拡大が止まらない。日銀がマイナス金利を深掘りする一方、金融機関の収益に配慮して超長期国債の買い入れ減額に動くとの思惑が一段と強まっているためだ。

ただ、総括的検証が公表される21日の日銀金融政策決定会合で、追加緩和はないとの見方も浮上、超長期ゾーン金利の急上昇は行き過ぎとの指摘も出ている。

<内外で長短スプレッド拡大、起点は日本>

円債市場で長短金利の方向性が真っ二つに分かれている。2年債から5年債程度までの中短期国債の利回りが低下する一方、10年から40年債までの長期・超長期国債利回りは上昇が止まらない。

14日の市場では、2年債利回り<JP2YTN=JBTC>が一時前営業日比3.5bp低いマイナス0.280%と7月29日以来の水準に低下。20年債利回り<JP20YTN=JBTC>は一時同5.5bp高い0.495%と3月14日以来の高水準を付けた。

2年債と20年債利回りの差(スプレッド)は77.5bpに拡大。ほぼ半年ぶりの水準を付けた。9月1日のスプレッドは49.5bpであり、10営業日で28bpの拡大とスピードが速い。

海外市場でも長期・超長期金利が主導する形で長短金利差が広がっているが、市場では、「起点は日本」(アムンディ・ジャパン市場経済調査部長の濱崎優氏)との見方が多い。

日銀の黒田総裁、中曽副総裁が9月初旬の講演でいずれも大規模緩和策のコスト(副作用)に言及。マイナス金利が金融機関の収益を圧迫しているとの認識を示した。またロイターは9日、日銀が利回り曲線(イールドカーブ)のフラット化の修正策を検討すると報じた。

市場では、日銀がマイナス金利の幅を拡大させる一方、年間80兆円ペースで国債を買い上げる現行の金融緩和の枠組みを柔軟化する方向で見直せば、長短金利差は拡大し、大規模緩和のコストは抑えられるとの見方が浮上。円債市場のイールドカーブはスティープニング化の動きを強めている。

<追加緩和なしの見方も>

ただ、市場では、日銀の総括的検証が公表される21日の金融政策決定会合で同時に追加緩和の実施はないとの見方も出ている。

大和証券チーフエコノミストの永井靖敏氏は「7月の日銀会合から一段とリスクが高まっている状況ではなく、今回の会合で追加緩和を実施するかは疑問。日銀は2%の物価目標を達成できる力があり、そのために政策で対応しているという結論になるだろう」との見方を示す。

超長期ゾーンの国債買い入れ柔軟化に関しても「日銀の公式見解では、長い金利の低下を促す政策は効果があるとしてきた。金融機関への副作用は分かっていた話で急に手を打つことはないのではないか」と永井氏はみている。ただ、将来的にコストが大きくなった場合、変化することもあり得るとして転換の手掛かりを示すことは考えられるという。

21日の日銀会合で追加緩和が見送られた場合、緩和期待が残る見通しとはいえ、いったんフラット化への反動が起きる可能性がある。

<超長期金利上昇に行き過ぎ感、日銀の目線はもう少し下か>

実際、市場では、足元の超長期ゾーン金利の急上昇は行き過ぎとの見方が増えている。

JPモルガン証券・チーフ債券ストラテジストの山脇貴史氏は、超長期金利の水準感に関して「日銀は現行水準より下を見ている感じがする。マイナス金利の深掘りもあわせて考えていくと20年債利回りが0.5%を超えて、さらにスティープ化させていくことを日銀は目指しているとは思えない」との見方を示す。

追加緩和に関しても「超長期国債買い入れの減額が前提ではなく、日銀は超長期金利が過剰に上昇したり、過剰に低下したりすることを回避するオペを目指すのではないか」と山脇氏はみている。

ある生保の運用担当者は「運用難に配慮するとの報道は素直に受け入れたいが、実際に超長期ゾーンの国債買い入れを減額することで、どこまで金利が上昇するのか予測ができない。現状は超長期債利回りの水準感が持てず、買い場を慎重に模索する段階にある」と、円債運用に依然として慎重な姿勢を示す。

日銀による総括的検証の内容が明らかになるまでは思惑が交錯することで、ボラティリティが一段と高まる可能性は高い。ただ、長短金利のスプレッドに関しては、今後拡大があったとしても、拡大ペースは緩やかになりそうだ。

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