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日銀が追加緩和、ETF増額:識者はこうみる  アングル:日銀会合は円高イベント、米利上げ観測が急騰防止に

東京 29日 ロイター] - 日銀は29日まで開いた金融政策決定会合で、英国の欧州連合(EU)離脱問題などで国際金融市場で不安定な動きが続いているのを受け、予防的に追加緩和を決定した。市場関係者のコメントは以下の通り。

<ニッセイ基礎研究所 シニアエコノミスト 上野剛志氏>

会見では「総括的な検証」への関心の高さがうかがえたが、総裁の発言による相場に対するヒントには乏しい内容だった。

市場は追加緩和の思惑を読み取っており、目先のドル/円相場でも下支えになりそうだ。先行きの金融市場の不確実性が高いなかで、総裁は否定したものの、結果的に日銀は時間的な猶予を得た。今回の追加緩和策としては、上場投資信託(ETF)買い入れ額の増額のみの「小出し」となった。最小限の玉で時間を買ったといえそうだ。

今後、9月にかけて市場が崩れたとしても、相場を支える追加緩和の余地を残した。市場が落ち着き、米国の利上げの思惑が強まってドル高になるなら、追加緩和も必要なくなる。

<いちよしアセットマネジメント 執行役員 秋野充成氏>

ポイントは日銀が次回の金融政策決定会合でこれまでの政策の効果について検証を行うことだ。検証を受けて、これ以上の緩和に意味がなく出口戦略に向かうのか、またはより強力な追加緩和に踏み込むかの2つに分かれるだろうが、黒田総裁の会見を聞く限り、一段の追加緩和を行うための検証だと判断せざるを得ない。その場合、より強力な政策となればヘリコプターマネーしかない。黒田総裁は会見でヘリマネを否定していたが、日銀が緩和政策を進めている時に、政府が追加的な財政出動を行うのはポリシーミックスで、より効果があると言及した。これは実質的なヘリマネと捉えられ、株式市場では引き続き政策期待が支える構図が続くだろう。

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

日銀の追加緩和の内容については小出し。ETFと成長支援ドル供給枠の増額に留まった。また、今後の追加緩和への期待感も同時に消失した。

市場では、失望感から円買いと株売りが進んだ。

目先のドルの下値目途は100―105円のレンジの中心である102.50円付近とみている。同水準を割り込んでドル安が進行した場合には、次の下値目途は100円ちょうどとなる。

日銀がきょう公表した「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)では、17年度、18年度の物価見通しの変更がなく、日銀自身が金融政策の効果に重きを置いていないと判断することができる。

<SMBCフレンド証券 チーフマーケットエコノミスト 岩下真理氏>

日銀の追加緩和策は3次元で実施されるか、もしくは実施されない可能性も考えていたが、ETF(上場投資信託)買い入れの増額のみというのは、なぜなのかという説明が難しいという印象を受けた。

マイナス金利には副作用があり、量にはある程度限界があることを踏まえて3次元の緩和策を実施しなかったという意味合いでは間違ってはいないが、経済・物価見通しと合わせても、なぜETFだけなのかという納得のいく説明を総裁会見では期待したいところだ。

マーケットでは、ETFだけという選択肢を考えていた市場参加者はいなかったのではないか。

<大和証券・日本株上席ストラテジスト 高橋卓也氏>  

少なくとも日銀側の回答に満足して、日本株が大きく上がっているということではない。マイナス金利の深掘りをやらなかったという意味ではプラスであるにせよ、事前には国債買い入れ増額への期待感があった。

政府の経済対策と協調する形で量的緩和を行うことで、疑似的な「ヘリコプター・マネー」をやるイメージも市場にはあった。結局そういうわけではなく、金融政策の限界を感じさせている印象がある。

為替は円高方向に進んでいるが、株式市場の受け止めは比較的マイルドだ。ETF(上場投信)の買い入れ増額は、日本株にとっては下支え効果はある。悪い話ではないが、円高のままなら日本株が大きく上昇することは見込みにくい。

また、次回の会合において、これまでの金融政策の効果を検証する方針を示している。そのタイミングで、マイナス金利の拡大という方向性が再び意識されれば、日本株にとってはネガティブだ。

<第一生命経済研究所主任エコノミスト 藤代宏一氏>

日銀の追加緩和策に国債買い入れ増額やマイナス金利幅拡大が盛り込まれなかったことで、市場は金融政策の限界を意識したようだが、実際にはそれほど違和感がない。むしろ現状に即したタイムリーな政策だとみている。

追加緩和がETF(上場投資信託)買い入れ増額にとどまったのは、日銀が金利の下押しに効果がないという考えに変わったことを意味している可能性がある。少なくとも株式市場にとっては、金融株を中心にポジティブな内容だ。為替はいったん円高に振れているが、株価が落ち着いてくれば、先行きリスクオンの円安を招くことも予想される。今後の緩和策としては新興国を含めた外債購入なども考えられるとみている。

<みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

「限りなく現状維持に近い追加緩和」という印象。現行の金融緩和パッケージを強化するとして、技術的に「量」は難しく、金融システム的に「マイナス金利」も難しい。

ただ、政治的に無回答とするのは困難ゆえに「質」を取りに行かざるを得なかった、ということだろう。金融政策の限界を露呈したという意味では、現状維持だった時よりも失望という見方もできる。

ドル/円は、引き続き米国の通貨政策に沿って動く局面が続くだろう。新しい大統領が、クリントン氏、トランプ氏のどちらになろうとも、ドル高を容認してくれそうもないことは明らかであり、いずれ米連邦準備理事会(FRB)の金融政策もそれに収れんされると予想する。

そもそも景気拡大局面が史上4番目の長さに差し掛かる中で、効果発現にタイムラグがある利上げを(FRBが)連発することは危う過ぎる。世界経済の停滞が懸念される状況で、世界の資本コストを規定する米金利の引き上げが、ポジティブな影響をもたらすはずがない。

今後1年も過去1年と同様、基軸通貨の意向に沿ってドル安・円高相場が展開されると思われ、遠くない将来に90円台定着となるだろう。

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト 植野大作氏>

ゼロ回答以上・満額回答未満だったことで、心配していたほど円高にならなかったが、期待していたほど円安にもならなかった。市場は軽く失望したものの、ホッとした部分もありそうだ。ゼロ回答だったら、悲惨な展開も懸念されていただけに、この程度の円高にとどまったということで安心した人もいるだろう。

黒田東彦総裁の会見を待つ必要があるが、総括的な点検を指示するなど、打ち止め感が出にくい配慮もなされている。米大統領選挙の討論会は秋口のため、市場が本格的に織り込んでいくにはまだ距離がある。来月は日米で中銀会合の予定がない。市場は腰を落ち着けて米経済のファンダメンタルズを見極めようとする地合いになりやすい。

ひとまず100円割れは避けられた。ただ、トレンドとしてのドル安/円高は続いている。年末年始ごろにかけて、あらためて100円を試す展開はありえる。今回の緩和策で、強烈な円安も期待できそうにない。上方向では国内輸出企業のドル売り/円買いも想定され、じわじわと下方圧力が出てくる展開が予想される。

<SBI証券・チーフ債券ストラテジスト 道家映二氏>

日銀は、追加緩和策を打ち出し、ETF買い入れの増額を決定した。保有残高の年間増加ベースを約6兆円と、現行の約3.3兆円からほぼ倍増にした。先進国を見わたしても、中央銀行が株式の買い入れを実施しているのは日銀だけ。株価の相場操縦と受け取られるリスクがある。

一方で、国債買い入れ増とマイナス金利の深堀りを見送った。緩和に向けた準備時間が足りなかったかもしれないが、次回の会合で、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の包括的な検証を議長が指示したとされる。「量」と「金利」を軸にした現行の緩和政策の限界を意識せざるを得ない。

日銀の決定を受けて、債券は急落し、株価も下落した。来週以降の金融市場は、中央銀行の信認低下リスクを念頭に置きながら、相場のボラティリティが高まる可能性も否定できない。



アングル:日銀会合は円高イベント、米利上げ観測が急騰防止に

[東京 27日 ロイター] - 28─29日開催の日銀金融政策決定会合が、円高イベントになるとの観測が市場でくすぶっている。事前報道で期待が高まっているため、追加緩和が決定しても、材料出尽くし感や政策の手詰まり感が意識されやすい。

ただ、急速な円高進行を軽減する外的環境もある。年内の米利上げ観測再浮上だ。27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明次第では、29日に円高とドル高の「潮流」がぶつかり合う展開もあり得る。

<日銀緩和、「あってもなくても円高」の声>

エコノミストやアナリストの多くが、追加緩和決定とみている日銀会合。中央銀行が金融緩和を行った場合、通常は通貨安の材料になるが、今回の会合については、追加緩和を決めても決めなくても円高材料になるとの見方が、外為市場で広がっている。

一つは市場の織り込み度合いだ。8日に100円を割ったドル/円JPY=EBSは、21日までに107円半ばまで上昇した。ヘリコプター・マネー政策への思惑はいくぶん後退したが、日銀が今回の決定会合で追加緩和に踏み切るとの見方は、市場に根強く存在している。

黒田東彦日銀総裁が会見で、先行きの緩和期待を維持させるような発言をするのかどうか注目されているが、市場の失望を誘うような形で現状維持となれば、ドル/円は「3─5円幅で円高方向に動く」(邦銀)との見方がある。

もう一つの要素は、追加緩和があった場合、材料出尽くし感や手詰まり感が出やすいとみられている点だ。

予想される追加緩和の手段で、長期国債の買い入れ増額は限界に近づきつつあると見なされやすく、マイナス金利の深掘りも金融セクターへの悪影響が懸念される。ETF(上場投信)の買い入れ増額も、そのこと自体が直接的に円安効果を生むとはみられていない。

みずほ証券・チーフ為替ストラテジスト、山本雅文氏は「将来の手詰まり感がさらに強まり、円高となるリスクが大きい」と述べる。

<もう一つの円安ドライバー>

ただ、足元の円安は、日銀の追加緩和期待だけがそのドライバーではない。一時は消えかけていた米国の利上げ期待が、もう一つの材料となっている。

英国の欧州連合(EU)離脱決定で、米国の年内利上げは難しいとの見方が広がったが、7月に入って発表されたISM製造業景気指数、雇用統計、小売売上高など米国では、市場予想を上回る経済指標が相次いでいる。

CMEグループの算定プログラム「フェドウォッチ」によると、市場が織り込む9月の利上げ確率は25日時点で26%と、前週末22日の20%から上昇。12月の確率も48%から56%に高まった。

ソシエテ・ジェネラル銀行・為替資金営業部長の鈴木恭輔氏は「5月のコアPCEデフレーターは前年同月比1.6%上昇とそれほど悪くはなかった。6、7月分を見なければならないが、1.5─1.7%の上昇なら、今の利上げ期待の後退は行き過ぎのように感じる」と話す。

米国では、8月2日に6月分のコアPCEデフレーターが公表される。日銀会合が現状維持となって円高方向に振れても、米国の年内利上げ期待が織り込まれていけば、ドルは9月末にかけて102円─108円台のレンジを形成するとの見方もある。

さらに注目されているのは、27日に発表されるFOMC声明文だ。9月利上げを米連邦準備理事会(FRB)が視野に入れているなら、米景気の判断や世界経済のリスクに関する判断を修正し、市場に利上げを織り込ませるのではないかとの観測が、市場の一部で浮上している。

ある国内銀の関係者は「FOMC声明に強気の景気判断が盛り込まれると、米長期金利が上がり、ドル/円は円安方向に動くだろう」とみている。

とはいえ、米国の利上げ期待が高まれば、史上最高値圏まで上昇している米株価が反落するおそれもある。弱含みとなっている原油価格と合わせ、リスクオフムードが広がらないことが円高抑制の条件になる。

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米FOMC、年内利上げに含み:識者はこうみる

[27日 ロイター]
米連邦準備理事会(FRB)は27日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決めた。だが米経済見通しに対する目先のリスクは後退したとの認識を示し、年内の引き締め再開への道を残した。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●タカ派的に寄ったイメージ

<JPモルガン証券のチーフ債券ストラテジスト、山脇貴史氏>

声明はほぼ想定通りだった。英国の欧州連合(EU)離脱決定と雇用統計が回復したという両面が前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)から今回にかけて起きた大きなことだったが、雇用統計の方を重視していてタカ派的には見えた。

これまでハト派的と受け止められた面があったが、タカ派的に寄ったというイメージだ。もう1回仕切り直しの中で、利上げタイミングを探っていくという話と受け止めている。マーケットは利上げに関して、年内1回、もしくは実施がないことを織り込んでいるので、違和感はない。

●事前想定よりトーンは弱め、利上げ時期は12月

<岡三証券のシニアストラテジスト、小川佳紀氏>

事前には年内の利上げを示唆するタカ派的な内容が出てくるとの見方が一部にあったが、そこと比べると声明文のトーンは若干弱かったのだろう。そのため、為替市場はドル安/円高に振れた。直近の雇用統計の回復が「経済見通しに対する目先のリスクは後退した」などの文言につながっているのだろうが、前日に発表された6月の耐久財受注は市場予想を下回るなどすべての経済指標が強いわけではなく、まだ慎重姿勢でも良い。来週末に発表される7月の雇用統計の内容次第では利上げ観測が高まりそうだが、大統領選挙前に金融政策は変更しづらいとみている。大統領選挙が終わり、経済指標が堅調であれば、12月に利上げに踏み切るだろう。

日本株はあすの日銀金融政策決定会合の結果次第だが、為替市場でドル高が進まない流れは変わらず、日本株には重しとなる。IMFが円に対して今年の上昇で適正水準に接近したとの見方を示しており、1ドル110円以上のドル高/円安は考えにくい。先行きに関しては政府・日銀の協調的な姿勢が示せるかがポイントだが、政策をかなり織り込んでいる面もあり、日本株が出尽くしとなるリスクも大きい。

●声明にサプライズなし、引き続き経済指標注視

<IG証券 シニアFXストラテジスト 石川順一氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)は予想通り政策金利が据え置かれ、声明文にも特段サプライズはなかった。これらは米国の株高要因として捉えることができるが、昨日の米株はまちまちだった。背景には、国際商品市況の軟調地合いがある。

英国や欧州の金融緩和スタンスによってドル高リスクが強まれば、国際商品市況はさらに圧迫され、米株安に拍車をかける可能性がある。新たなリスク回避トレンドの発生には注意が必要だ。

米国の金融政策をめぐっては、引き続き米経済指標が焦点になる。雇用関連やインフレ関連の指標が総じて市場予想を上回ってくれば、8月下旬のジャクソンホール経済シンポジウムで、イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が9月の利上げのシグナルを出してくる可能性は高い。

●想定ほどタカ派色強まらず

<チャールズ・シュワブのトレーディング・デリバティブ部門マネジングディレクター、ランディー・フレデリック氏>

かなり穏やかな内容だ。タカ派的なコメントが何らか盛り込まれると予想していたが、事前の想定ほど、タカ派色が強まらなかった。

目先のリスク後退や経済は緩やかに拡大しているといった指摘は、これまでわれわれが目にしたものと整合する。米カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁が反対票を投じたことに意外感はない。

市場の反応から見る限り、サプライズは何もない。

●9月利上げあり得るが決定打欠く

<ウエストパック銀行のシニア為替ストラテジスト、リチャード・フラヌロビッチ氏>

目先のリスクが後退したと明言するなど、前向きな景気判断が示された。追加利上げに近づいており、直後にドルが反射的に値上がりしたことは理解できる。

だが2度、3度と読み返すと、前向きだが、利上げを示唆する決定打に欠けている。9月利上げの可能性は残るが、利上げに踏み切るとのシグナルは投資家が望むほど強くない。昨年は利上げに踏み切る12月会合の直前に、極めて明確な意思表示があった。今回はこれが欠けている。

●トーンは前向き、市場は9月利上げ織り込み

<チャールズ・シュワブ(ニューヨーク)の首席債券ストラテジスト、キャシー・ジョーンズ氏>

連邦公開市場委員会(FOMC)は今後、行動を起こすことを示唆している。利回り曲線がフラット化したことは、早ければ9月にも利上げが実施されるとの見方が市場で織り込まれ始めていることを示している可能性がある。

前回のFOMC声明から大きな変化はなかったものの、トーンは前向きだったと感じた。

●9月利上げ示唆されず、年末の公算

<フランクリン・テンプルトン(ニューヨーク)のシニア・バイスプレジデント、マイク・マテラソ氏>

FOMC声明は経済について建設的な見方を示しており、9月の利上げを示唆するものはなかった。年内1回の利上げは正当化されるが、年末になる公算が大きい。それも世界情勢に問題がなかった場合に限られる。

●「見通しの短期リスク低減」はタカ派的サプライズ

<RBCキャピタル・マーケッツの首席米国エコノミスト、トム・ポーチェリ氏>

今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)は「経済見通しに対する目先のリスク低減」との一文につきるだろう。極めてタカ派的なサプライズだ。

ダドリー・ニューヨーク連銀総裁やパウエル理事らFRB当局者はここ数週間、英国の欧州連合(EU)離脱決定に伴う影響に懸念を表明していたため、このような見解が示されることは予想されていなかった。

これによって、9月の利上げ観測が再燃することはFRBも承知しているだろう。9月の利上げ観測が高まらなければ、それはむしろ驚きと言える。

●海外情勢注視の姿勢維持、大きくタカ派に転じず

<グリーンウッド・キャピタル(サウスカロライナ州)の最高投資責任者(CIO)、ウォルター・トッド氏>

これまでよりややタカ派的だったと言えるが、大きくタカ派的になったわけではない。

リスクは縮小したと非常に明確な記述があったが、例えば世界的な経済、財政情勢を注視するなどといった文言は維持されており、FRBが海外情勢になお神経を尖らせていることがうかがえる。市場の見方が変わるような意味のある文言の変更はなく、「ノンイベント」と言えるだろう。

このところの経済指標を受け、FRBがよりタカ派になることを市場はリスクとして見ていたのではないか。FRBは見通しの改善を徐々に進めてはいるが、今回のFOMC声明で何かが大きく変わったわけではない。

●リスク後退への言及は9月利上げへの布石

<サヴィルズ・スタッドリー(ニューヨーク)の首席エコノミスト、ヘイディ・ラーナー氏>

伸びが大幅鈍化した5月の雇用統計の後、6月の雇用統計に関して言及し、労働市場の力強さが増したと指摘したことは興味深い。今回の声明では、経済活動は緩やかに拡大した(expanding at a moderate rate)としており、経済活動は「持ち直したもよう(appears to have picked up) 」としていた6月声明から明らかに景気判断を上方修正した。

総じてより前向きな内容だと思う。とりわけ英国が欧州連合(EU)からの離脱を決め、かつ国際通貨基金(IMF)が世界経済の成長見通しを下方修正した後のタイミングで、FRBが経済見通しに対する目先のリスクは後退したとの認識を示していることは極めて重要だ。

議論の詳細は議事要旨の公表を待つ必要があるが、目先のリスク後退への言及は、9月利上げに向けた地ならしと理解していいだろう。

●利上げ時期手掛かり与えず、日銀政策決定会合に注目

<ウエスタン・ユニオン・ビジネス・ソルーションズ(ワシントン)のシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏>

経済に関してこれまでよりも前向きな見方が示されたものの、FRBは利上げの時期についてはなおコミットメントを示さなかった。声明は経済の一部に進展が見られたとしているが、実際に利上げに踏み切る前に一段の改善を見たいとの姿勢を維持している。

こうしたFOMC声明を受け、市場の注目は(週内の)日銀金融政策決定会合に集まっている。

●海外情勢リスクに言及せず、9月利上げのシグナルもなし

<コモンウエルス・ファイナンシャルの最高投資責任者、ブラッド・マクミラン氏>

声明は経済に対する明るい見方を示し、概ね前向きな内容だった。英国の欧州連合(EU)離脱決定後にも関わらず、海外情勢をめぐるリスクに関する言及がなかったことは注目に値する。

一方で、9月利上げに関する手がかりはなく、シグナルも示されなかった。そのため、市場の視点からみると「ゴルディロックス声明」といったところだろう。

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米FOMC始まる、インフレ加速の兆候見極め 9月利上げ示唆も

サンフランシスコ 26日 ロイター]
米連邦公開市場委員会(FOMC)が27日まで2日間の日程で始まった。今回の会合では金利を据え置き、インフレ加速の兆候が確認できるまで、9月または12月まで利上げを見送ると見込まれている。

米連邦準備理事会(FRB)は27日米東部時間午後2時(日本時間28日午前3時)にFOMC声明を発表する。

今回の注目点は、力強い伸びとなった6月の雇用統計に代表される堅調な米指標と、英国の欧州連合(EU)離脱決定や世界経済の減速など、インフレ軌道を脅かす逆風との間でどうバランスを取るかだ。

米サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は、必要なのはインフレ率が目標の2%に向かっているとの一段の確信、と指摘している。

FRBが注目するインフレ指標は現時点で1.6%だ。

だが月間の雇用者数が失業率上昇を阻むのに必要な水準以上に伸びていることに加え、生産性が向上する兆しが見えない状況を踏まえると、一部のFRB当局者は、インフレ高進を回避するため早期利上げを主張する公算が大きい。

プリンストン大学教授で、元FRB副議長のアラン ブラインダー氏は「タカ派は利上げを主張するだろう、これは危険だ」とし、「7月会合では、9月利上げの可能性を示唆するとの予感がする」と話す。

一方で、米ニューヨーク連銀のダドリー総裁らは、利上げ前にインフレ加速の確かな兆候を見極めたいとの立場だ。ただ、市場への衝撃や米経済のトレンド反転といった状況にない中、ダドリー総裁などハト派とされる当局者でさえ、金融正常化を慎重に進めることで少なくとも年内1度の利上げが可能との考えを示唆している。

7月の会合後、年内のFOMC日程は9月、11月、12月の計3回。このうち11月は米大統領選の直前のタイミングで、利上げ決定は可能性が低いとの見方が支配的となっている。

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ドル一時103円台に下落、日本の経済対策期待が後退

ニューヨーク 26日 ロイター]
終盤のニューヨーク外為市場では、日本の経済対策規模をめぐる期待がやや後退したため、ドルが対円で下落した。欧州時間には103円台まで円高に振れる場面があった。

日本政府が近くまとめる経済対策は、総事業費が最大20兆円になるとの見方が出ているが、国と地方の財政支出(真水)はずっと小さい額になる可能性がある。一部報道では真水部分は向こう数年間で6兆円程度となりそうだ。

シティグループの外国為替グローバル責任者、スティーブン・イングランダー氏は、市場が日本の財政・金融政策について非常に明るい見通しで臨んだところで、積極的な対応に乗り出すとの期待に水を差すようないくつかの報道があったと指摘した。

麻生太郎財務相が26日、金融政策の具体的な手法は「日銀に委ねるべきものだ」と発言し、政府の日銀に対する緩和圧力は市場で考えられていたほど大きくないと受け止められたことも、円の上昇につながった。

このためドル/円JPY=は一時103.995円と今月14日以来の安値になった。

ただ、ニューヨーク市場に入ると、26─27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)をにらんだポジション調整や値ごろ感などからのドル買いが入り、終盤のドル/円は1.08%安の104.64円と下げ幅を幾分縮小した。

クレディ・アグリコルのFXストラテジスト、バシリ・セレブリアコフ氏は「ドル/円は引き続き押し目は買われやすい」と述べた。

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ドル、日米中銀会合控え対円で下落=NY市場

[ニューヨーク 25日 ロイター]
終盤のニューヨーク外為市場では、日米中銀の政策会合を控えてドルが対円で下落した。米連邦準備理事会(FRB)は26─27日に連邦公開市場委員会(FOMC)を、日銀は28─29日に金融政策決定会合をそれぞれ開催する。

このところドルは主要通貨に対して上昇してきた。米経済指標が予想以上に好調でFRBが年内に利上げするとの観測が復活するとともに、日銀や欧州中央銀行(ECB)が追加緩和に踏み切るとの見方が広がったためだ。

しかしアナリストによると、日銀は手持ちの緩和手段が少なくなりつつあり、今週の会合で投資家の期待を裏切るかもしれない。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨戦略グローバル責任者、マーク・チャンドラー氏は「市場が日銀に何らかの形で失望するリスクがある。期待が強い分、日銀が何もしなければ円高になる」と指摘した。

終盤のドル/円は0.24%安の105.81円だった。

今回のFOMCでは政策変更はなさそうだが、投資家は今後の利上げの可能性がより高まるかどうかに関する手掛かりを探るだろう。

25日のフェデラルファンド(FF)金利先物が織り込む12月の利上げ確率は56%で、前週末の48%から上昇した。

一方、利上げ時期がもっと早まる兆しが出てくれば、市場が動揺する恐れもある。チャンドラー氏は「FRBは9月利上げの扉を閉ざさないだろう。なぜなら利上げはデータ次第であり、足元までのデータは想定より強い。こうした状況が市場のボラティリティーを高めかねない」と述べた。

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NZ中銀が経済報告発表、追加利下げに含み NZドル下落

[ウェリントン 21日 ロイター] - ニュージーランド準備銀行(中央銀行)は21日、最新の経済報告を発表した。緩和的な金融政策を継続すると再度表明し、追加利下げに含みを残した。中銀の発表を受け、次回8月11日の金融政策会合で利下げがあるとの観測が高まり、NZドルNZD=D4は米ドルに対して約1%下落した。

中銀は「将来の平均インフレ率が中銀目標レンジの中央付近で確実に安定するには、追加の金融緩和が必要になる可能性が高いと現時点でみられる」と指摘した。

中銀のインフレ目標は1─3%。現在のインフレ率は0.4%。

中銀はまた、NZドル高はインフレ目標達成を難しくするとの見方をあらためて示した。

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コラム:売られ過ぎた豪ドルに投資妙味

植野大作 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト

東京 19日] - 豪ドル円の乱高下が著しい。6月23日の英国民投票で欧州連合(EU)離脱が決定したことを受けて、24日の東京市場では一時72.53円と2011年10月以来の安値圏へ差し込む場面があった。

ただ、その後は一気に切り返し、7月15日には一時81円台に復帰して英国民投票前の水準を回復するなど、目まぐるしい展開が続いている。

良くも悪くも「派手な値動き」は豪ドル円の持ち味だと言えるが、その点を考慮しても、わずか3週間で上下9円(最大値幅)を超える往復劇は、さすがに強烈だ。豪ドルは本邦の個人投資家層による人気が高く、外国為替保証金(FX)取引での売買金額が巨額であるほか、外貨系投資信託、外貨建て貯蓄保険、デリバ系の金融商品などを通じた投資残高もかなり積み上がっている。

その意味で、英国民投票後に誘発された上下9円を超える「往って来い」は、本邦の為替市場関係者にとって、相当にショッキングな出来事だった。根強いファンやアンチ・ファンが多い通貨ペアであるだけに、足元80円前後に復帰してきた豪ドル円は売りなのか買いなのか、十人十色の市場解釈が渦を巻いている。果たして今後、豪ドル弱気派、強気派のどちらに軍配が上がるのだろうか。以下、筆者の見解を示しておきたい。

<秋以降に一段の失地回復が期待できる根拠>

短期的な結論から先に述べると、当面の豪ドル円は上値が重く、下値不安にさらされやすい状態が続きそうだ。豪州の2年国債利回りを見ると、現在1.6%台で取引されており、政策金利の1.75%を下回る水準で推移している。4月下旬に発表された1―3月期の消費者物価上昇率が豪州準備銀行(RBA)の目標である前年比プラス2.0%を大幅に下回っていたことを背景に、市場が追加利下げ観測を抱いていることがわかる。

市場が注目している4―6月期の消費者物価上昇率は今月27日に公表される予定だが、原油価格の底入れなどを背景に、ある程度の反発が見込まれている。だが、「RBA版の基調インフレ率」で1―3月期に前年比プラス1.6%だった数字が、一気に政策目標である2―3%のレンジまで戻るかどうかは微妙だ。多少切り返しても政策目標圏までハッキリと戻り切らなかった場合は、7―9月期の消費者物価指数が発表される10月下旬までは追加利下げ観測が明滅、豪ドル円相場の上値を抑えることになるだろう。

一般に、豪ドルなどの高金利通貨は、利下げ観測が発生してしまうと、それまで海外投資家の買い意欲を刺激していた「金利の高さ」が「利下げ余地の大きさ」に読み換えられるため、逃げ足の速い短期資金が低金利国に逆流、「高金利通貨であるがゆえに売られやすくなる」という「逆金利差相場」の餌食になりがちだ。RBAの利下げに打ち止め感が広がらない限り、豪ドル円の反発力には限界があり、すぐに「上値探査モード全開」にはなり難いだろう。

ただし、筆者はこの先一方的に豪ドル円が軟化し続ける展開は想定していない。時期の特定は難しいが、恐らく今秋以降には豪ドル円は徐々に底堅さを取り戻し、80円台半ばを目指して一段の失地回復に向かうのではなかろうか。そのように考える理由として、以下4点を挙げておきたい。

第1に、豪州の消費者物価上昇率は今年1―3月期がボトムだった可能性が高い。当時観測された消費者物価上昇率の大幅な下振れは、当該期間中に進んだ原油安の影響を強く受けていたとみられるが、当時20ドル台半ばまで下げた北米産の原油先物はその後40―50ドル台に持ち直している。4―6月期のインフレ率がRBAの政策目標圏まで復帰できるかどうかは微妙だが、7―9月期には「元の鞘(さや)」に収まるだろう。

第2に、豪州国内の経済情勢を見ると、雇用情勢はシッカリとした改善軌道を歩んでいる。14日に発表された6月の雇用統計では正規雇用の大幅な伸びが好感され、豪ドル円反発の一助となった。同時に発表された失業率は5.8%と前月の5.7%から小幅悪化したものの、正規雇用の改善に伴う前向きな離職や職探し再開による一時的現象だと受け止められており、失業率のトレンドは昨年7月の6.3%をピークに改善中だ。

第3に、今月から始まった新しい会計年度に合わせ、豪州では大型の個人向け及び法人向けの減税策が稼働している。昨年9月に発足したターンブル政権が7月2日に実施された総選挙での集票効果をにらんで採用した施策だ。既往の金利引き下げと通貨安の効果で豪州景気が持ち直しつつある中、大型減税による消費と投資の刺激効果も加われば、夏場以降にはしっかりとした景気浮揚が確認され、利下げ打ち止め感が台頭してくるだろう。

先述のように、豪ドルなどの高金利通貨は、良くも悪くも値動きが派手という特徴があり、政策金利に先安観がある間は「利下げ余地の大きさ」がアダになって売られやすくなるものの、利下げに打ち止め感さえ出れば低金利国の投資家による値頃感が蠢動(しゅんどう)し始め、底値圏からの切り返しも意外なほど早く進みやすい。

<80円割れ水準は「買い下がり」戦略がお勧め>

第4に、筆者が作成して常々監視している豪ドル円のトラッキング・モデルによると、ここもと観察された豪ドル円の急激な下落は、やや行き過ぎだった感が否めない。市場のリスク許容度が緩和する局面で買われる通貨の代表格である豪ドルと、委縮する場面で買われる通貨の典型例と見なされている日本円の交換レートになる「豪ドル円」という通貨ペアは、国際商品市況や世界的な株価動向をにらんで派手な上下動を繰り返す、という特徴を有している。

このため、近年の豪ドル円の値動きを解析すると、円換算のJOC商品価格指数との相関が約8割5分、世界総合株価指数との相関が約7割と非常に高い。両者を使った豪ドル円のトラッキング・モデルによれば、足元の適正水準は1豪ドル=80円台半ばとなっており、一時75円割れ水準にまで差し込んだ英国EU離脱決定後の水準には「売られ過ぎ」のシグナルが点灯していた。

以上の諸点を総合的に加味した上で、1豪ドル=80円前後までの豪ドル円の切り返しは、筆者の目には自然な現象として映っている。今後、世界景気に腰折れ懸念が台頭して国際商品市況や株価が暴落すると考えるならば、豪ドル円は「決して買ってはいけない通貨ペア」になるが、最近の主要国の経済指標を見る限り、そのような兆候は表れていない。

豪州における物価上昇率の下げ止まりや雇用情勢の改善などを背景に、利下げ打ち止め感が台頭してくる秋頃にかけては、一段の失地回復の余地が広がるだろう。この先の世界経済の行方について過度の楽観論は抱いていないため、1豪ドル=85円超の水準での上値追いは慎みたいが、80円割れ水準への差し込みが再びあった場合は、値動きの派手さも考慮しつつ、断続的かつ地味な買い下がりで臨みたいと考えている。

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ドル上昇、一時107円台 米利上げ観測が再燃=NY市場

[ニューヨーク 20日 ロイター]
終盤のニューヨーク外為市場ではドルが対円で上昇した。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測再燃や日銀の追加緩和期待が背景で、一時107円台を付けた。米国では雇用や物価など最近の経済指標の内容が堅調で、FRBが年内に利上げに動くとの見方が強まった。

フェデラルファンド(FF)金利先物が織り込む12月の連邦公開市場委員会(FOMC)までの利上げの確率は20日、6月23日の英国民投票で欧州連合(EU)離脱派が勝利して以降、初めて50%を上回った。

みずほコーポレート銀行通貨セールス担当バイスプレジデント、ファビアン・エリアソン氏は「ブレグジット(英のEU離脱)が過去の出来事になって、FRBが利上げを再び模索する姿勢に変わったと市場参加者が結論付けているとしても驚かない」と述べた。

日銀が来週の金融政策決定会合で追加緩和に踏み切るとの予想が広がったこともあり、ドル/円JPY=は午後に入って6月13日以来の高値となる107.01円をつけた。

主要6通貨に対するドル指数.DXYは欧州時間に3月10日以来約4カ月ぶり高値の97.323に上昇したが、終盤はほぼ横ばいの97.073だった。

ユーロ/ドルEUR=も前日比で変わらず。市場の注目は21日の欧州中央銀行(ECB)理事会に集まった。今回の政策変更は予想されていないものの、将来の緩和を示唆する可能性があるとみられている。

ポンド/ドルGBP=D4は0.8%高の1.3216ドルと堅調だった。イングランド銀行(英中央銀行、BOE)が国民投票後の経済活動が弱まっている明白な兆しは見えないとする調査結果を公表したほか、フォーブス金融政策委員が利下げを待つ余裕が持てるのではないかとの考えを示した。

リラは対ドルで最安値を更新。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がトルコの格付け見通しを引き下げたことを受けた。

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コラム:バーナンキ氏が説く黒田日銀の選択肢

木野内栄治 大和証券 チーフテクニカルアナリスト兼シニアストラテジスト

東京 13日]
バーナンキ前米連邦準備理事会(FRB)議長の来日が一部で話題となっている。バーナンキ氏は2003年5月にも来日し、「日本の金融政策に関する見解」(日本金融学会)と題する講演を行った。当時、すでにFRB理事の立場にあった同氏が他国の金融政策に対して見解を述べることは、金融政策における内政干渉のようなインパクトがあった。

その講演では、物価目標の導入や銀行資本の充実、日銀のバランスシートを利用した政策などが提案された。そしてご存じの通り、結果的には日銀や日本の銀行は事実上バーナンキ氏の提案を実際に採用することになった(物価目標に関する当時の提案は水準目標だった)。

今回の来日中に、この碩学は日本の金融・財政政策に対してどういった処方箋を示すのだろうか。

<「ヘリマネ」提案の可能性>

2003年の講演では、日銀による信用創造によってファイナンスされた財政支出政策も提案されている。いわゆるヘリコプターマネーだ。

中央銀行が財政支出をファイナンスするなら、将来の借金返済不安がない。よって、人々が不安に感じて貯蓄性向を高めてしまうなどのリカード=バローの等価定理を心配する必要はない。

また、財政政策は資源の最適な配分を歪めるので、潜在成長率を引き下げてしまうなどの広義の非ケインズ効果も心配される。しかし、そもそも現状では経済資源を有効には使っておらず、財政政策は産業のリストラを容易にするための支援プログラムにも使えるなどの反論を試みている。

最近でも、今年4月のブログでバーナンキ氏は同様の議論を展開し、「欧州と日本にあって、中央銀行資金によってファイナンスされた財政行動は、多くの注目を集めるだろう」としている。こうして見ると、今回の来日においてもバーナンキ氏は、ヘリコプターマネーを提案したに違いない。今回も日本は同氏の提案を導入することになるのだろうか。

<バーナンキ氏が提案する「ヘリマネ」の手順>

すでにかなりの旧聞に属するが、3月から4月にかけてのバーナンキ前FRB議長のブログを確認しておきたい。「Fedにどのような手法が残されているか」とのタイトルで、非伝統的な金融政策について議論を行った。

ブログは、マイナス金利政策、長期金利の釘付け政策、ヘリコプターマネーの3回に分かれているが、その中にはフォワードガイダンスや量的緩和など、すでに実施された非伝統的金融政策の議論も含まれている。そして、こうした政策について、細かなオペレーションの議論を尽くしている点が特徴だ。

例えば、2年金利を釘付けにするなら、2年後に満期が来る債券についての釘付けしたいレートを示し、それ以上に利回りが上昇したらすべて当該債券を買い上げる用意があることを表明する。FRBが全ての当該債券を購入することになったとしても、2年後には全て償還され、プログラムは自動的に終了するとした。「日銀はケチャップだろうが何だろうが買えばいい」としたかつての舌鋒はかなり現実的になっている。

ヘリコプターマネーについては、FRBに専用の財務省の会計口座をつくる。米連邦公開市場委員会(FOMC)だけに、その口座への貸し付けを決定する法的な権限を与えておき、同時にその資金は将来にわたって返済を求めないことを約束しておく。

次に、FOMCは雇用最大化とインフレ目標を達成するため必要と判断した金額をその口座に貸し付ける。その資金を政府がどう使うかは通常の財源と同様に議会の予算処置に委ねるというものだ。

これによって中央銀行の独立を危険にさらさず、財政ファイナンスが無拘束・無秩序になることを防止できるとしている。やはり、かなり現実的な議論だ。

<緩和手法のリストアップ自体に効果>

こうした手法を米国で導入することが見込めるのだろうか。バーナンキ氏のブログのエッセンスは、多種多様な非伝統的金融政策の手法を詳細な現実のオペレーションと共に議論しておく姿勢自体である。この姿勢によって金融政策に限界はないと証明することになり、期待に働きかけることが容易になるとのメカニズムだ。

米国では、イエレンFRB議長も6月のFOMC後の記者会見で、ヘリコプターマネーも場合によっては検討すべき手法であると明確に発言した。こうした発言を現役のFRB議長が行うことも驚きだが、それが大きなニュースにならないことも驚きだ。米国では議論することの期待に働きかける効果の理解が進んでいると認識すべきだ。

日本でも、4月の金融政策決定会合前に、「貸出支援基金による貸出金利をマイナスにすることを検討する可能性がある」と報じられ、株高・円安の金融緩和効果が見られた。やれることが残っていると分かれば、金融緩和効果があることは証明されていると思う。

さて、こうした大変刺激的な金融政策を日本は受け入れることになるのだろうか。少なくとも黒田日銀総裁はその議論する姿勢を導入することには積極的と見られる。

黒田総裁は6月20日の講演で、「金融政策の有効性を確保していくためには、民間部門が予想していないショックを与えることではなく」とこれまでのサプライズ戦略をまずは否定した。そして、「平時から、ゼロ金利制約に直面するような極めて大きな外的ショックへの政策対応のオプションを示しておくことが、金融政策の有効性を高めていくうえで重要と考えられる」と、バーナンキ氏のブログで指摘された中央銀行の能力を示すことの重要性を認めた。

近い将来にヘリコプターマネーが日本で導入されるか否かは定かではない。確かに、リニア中央新幹線を前倒しで建設するなどの際に活用が期待される財投債ならば、国の負債ではないことから日銀が引き受けるのも筋が悪くない。ただし、筆者は、長期金利の釘付け政策の方が株価や為替レートに働きかける効果が高いし、黒田総裁任期以降のフォワードガイダンスを再強化することの方が先だとは思う。

それでも、そうした議論を進めることは有効だ。非伝統的な緩和手法をリストアップして議論すること自体にまずは大きな金融緩和効果が期待できる。また、マイナス金利政策で困っている金融機関も含め、日本中で建設的な議論が期待できるだろう。

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ドル/円は政策期待が支え、株高なら上値模索=今週の外為市場

東京 19日 ロイター]
今週の外為市場で、ドル/円は政策期待を支えに株価にらみの展開となりそうだ。米株が史上最高値圏に上昇し、日本株も戻り基調にある。株価が引き続き堅調ならドル/円は英国の欧州連合(EU)離脱決定前の高値106円後半を上抜ける可能性もある。

ただ、そこから積極的に買い上げていく材料はなく、107円付近では上値が重くなるとの見方も出ている。

予想レンジはドル/円が102.50―107.00円、ユーロ/ドルが1.100―1.1300ドル。

今週は米6月住宅着工件数、独7月ZEW景況感指数、米6月中古住宅販売件数、米6月CB景気先行総合指数などの発表があるが、指標としては、やや小粒感がある。21日の欧州中央銀行(ECB)理事会とドラギ総裁の会見に注目が集まりそうだ。

ECB理事会では金融政策の現状維持が見込まれており、ドラギ総裁が英EU離脱についてどのような認識を示すか注目される。仮に欧州経済に悲観的な見方を示せば、緩和強化への思惑が広がりユーロ売りで反応する可能性がある。ユーロ/ドルはこのところサポートとなっている1.10ドルを試す展開もありえるという。

イングランド銀行(BOE)は14日、市場の予想に反して政策金利の据え置きを決めたが、議事録では8月の緩和が示唆された。「ECBとBOEが金融緩和に動けば、株式市場や国際商品市況の押し上げ要因となる。株高や、対新興国通貨での円売りがドル/円相場の円安のけん引役になる可能性もある」(IG証券のシニアマーケット・アナリスト、石川順一氏)との声が出ている。

<「ヘリマネ」政策への思惑>

ドル/円は前週、急速な円安が進んだ。7月8日の米雇用統計後、99.99円まで弱含んだが、15日にかけて一時106円前半まで上昇した。株価の持ち直しや良好な中国経済指標もあるが、参院選の与党勝利で政府・日銀に対する政策期待が高まったことも大きい。

バーナンキ元米連邦準備理事会(FRB)議長が来日し、安倍晋三首相と会談したことでヘリコプターマネー(ヘリマネ)政策への思惑も強まった。

ただ、日本の当局者は、ヘリマネ政策の導入を明確に否定している。市場では「積み上がった投機筋の円ロングを巻き戻す口実に使われた。このネタに乗じた円売りは次第になくなっていく」(みずほ銀行のチーフマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏)との指摘もある。

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