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コラム:英離脱に過剰反応、ドル90円台定着は来年

佐々木融JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長

東京 25日]
23日に英国で行われた欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票は、51.9%対48.1%で離脱派が勝利した。投票率は72.2%と比較的高く、英国民は43年間続いた欧州における共同体メンバーというステータスを捨てることを決断した。この結果を受け、キャメロン首相は10月までに辞任する意向を示した。

歴史的な出来事を目の当たりにして、24日の市場は大荒れとなった。

為替市場における最も大きな動きは、離脱派勝利の可能性が急速に高まった日本時間のお昼前後に発生し、その後の欧米市場では比較的穏やかな動きにとどまった。主要通貨(エマージング通貨含む)では、英ポンドが独歩安、円が独歩高となった。

ポンドドル相場は一時、1985年以来約30年ぶりとなる1.32ドル台まで急落。ポンド円相場の下落率は当初15%を上回り、2012年12月以来約3年半ぶりとなる133円台までポンド安円高が進んだが、その後やや値を戻し、24日一日を通じた下落率は11%となった。ユーロ円相場も同様に、12年12月以来となる109円台まで、いったんユーロ安円高方向に急激に動いた後、小反発した。

円の次に強い通貨は米ドルだったが、ドル円相場の下落率も一時7%に達し(13年11月以来約2年半ぶりとなる99円ちょうどまでドル安円高が進行)、一日を通じても3.7%の下落となった。

株式市場では日経平均株価が7.9%急落、年初来安値を更新した(一時14年10月以来の安値を記録)。ハンセン(2.9%下落)や上海総合(1.3%下落)に比べて弱さが目立ち、当事国である英国のFTSE100(3.2%下落)や、独DAX(6.8%下落)よりも下落幅が大きくなっている。

もっとも、欧州主要国の株価の中では、週末に総選挙を控えていたスペインのIBEX35指数(12.4%下落)とイタリアのFTSE・MIB指数(12.5%下落)の弱さが目立っている。ちなみに、米S&P500指数は3.6%の下落にとどまった。

主要各国の長期金利も大きく低下した。日本の30年国債利回りは過去最低となる0.13%まで一時低下。英国とドイツの10年国債利回りもそれぞれ過去最低となる1.01%とマイナス0.16%まで一時大きく低下した。周辺国国債の対独スプレッドは拡大し、特にドイツとスペインの10年国債利回り差は167ベーシスポイント(bp)と14年5月以来約2年ぶりの水準まで拡大している。

米10年国債利回りは一時12年7月以来約4年ぶりとなる1.40%近辺まで急落。金曜日のニューヨーク(NY)引けベースで見ても1.56%と、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和第三弾(QE3)を開始する直前の12年8月以来の水準まで低下している。これで、フェデラルファンド(FF)金利先物がFRBによる1回の利上げを100%織り込んでいるのは18年7月となってしまった。

<目先の取引レンジは1ドル100円から105円か>

当社は、英国のEU残留を予測していたが、仮に離脱派が勝利した場合、ドル円は101円程度まで下落すると予想していた。したがって、99円ちょうどまでの下落は予想を上回るものだった。

しかし、過去1カ月ほど相関を強めている日米金利差から見ると、2年金利差、10年金利差のいずれとも整合的なドル円の水準は102―103円程度である。100円を割り込んだ後、すぐに103円台に戻し、結局102円台前半でNYの取引を終えたのは順当な動きだったことを示唆している。

また、今後2年間利上げを織り込んでいないことに鑑みると、米金利の低下も過剰反応の感があり、この点からも、ドル円が短期的にさらに下げ足を強める可能性は低そうに見える。

今回の結果は、経済的にも政治的にも、英国および他の欧州諸国に多大なショックを与えることになるだろう。ただ、このショックは基本的に欧州に限定されたものであり、世界全体を巻き込むことはないと見ている。

もちろん、長期的には欧州域外に対する影響も無視できないかもしれないが、今後1年間の日本や米国経済に対する影響は極めて限定的と言えそうだ。08年のリーマンショックのように、これをきっかけに金融危機に至るような性質のものでもないと考えられる。

筆者は、来年に向けてドル円は90円台へ下落していくと予想しているが、現段階では99円への円高は過剰反応であり、さらなる円高進行の可能性は高くないと見ている。ただ、英国経済・政治に関する不透明感が払しょくされるまでは投資家のリスク回避姿勢が強まりやすく、また米国の早期利上げが難しくなったと見られることから、105円を超えて上昇するのも難しいだろう。したがって、目先数カ月程度は100円から105円のレンジ内で推移する可能性が高いだろう。

また、日経平均株価の急落も、ドル円の急落に対する過剰反応だと捉えている。年初からのドル円と日経平均株価の相関関係は必ずしも高くはないが、それでも1ドル=103円台と整合的な日経平均株価は1万5500円前後となる。欧州へのエクスポージャーが大きい企業の収益に対する懸念が高まることは否めないが、日本企業の収益全体に大きな影響を与えるといった結果にはならないだろう。

当社は、ポンドドル相場はEU離脱の際には1.32ドルまで下落すると予想していた。したがって、ポンドはすでにターゲットに達している。しかし、英国のEU離脱シナリオが現実化したことに伴う大規模なヘッジのポンド売りを招来する可能性があることから、短期的にポンドが一段と下落する可能性は排除できない。

目先、ポンドの動きに影響を及ぼす可能性がある要因としては、1)新政権の動向、2)他のEU諸国の反応、3)スコットランド要因、すなわち独立を問う住民投票再実施の可能性、4)英中銀の反応、5)ポンド買い介入の有無、などが挙げられる。

ちなみに、当社は、EU離脱を受けて英中銀は7月と8月に25bpずつの利下げを実施すると予想を変更した。また、英中銀は通貨安の金融緩和効果をむしろ歓迎すると見ており、ポンド買い介入の可能性は低いと考えている。

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焦点:英EU離脱に市場大混乱、「リーマン」と異なる波及経路に警戒

東京 24日 ロイター]
英国の国民投票で、欧州連合(EU)離脱派が勝利し、市場は大きく動揺している。警戒されているのは「リーマン・ショック」とは異なる経路で金融危機に発展する可能性だ。

EU離脱の他国への波及や金融機関の信用不安など、どういった「連鎖ルート」をとるか読みにくいだけに、市場では安全志向のリスクオフの動きがしばらく続くとみられている。

<国民投票は「究極の不透明要因」に>

国民投票を予想する難しさを今回、市場関係者は改めて痛感することになった。23日に行われた英国のEU離脱に関する国民投票では離脱派が勝利。直前の世論調査やブックメーカーの賭け率とは異なる結果に、残留を織り込んでいた市場は大混乱に陥った。

日経平均.N225は一時1300円以上急落、ドル/円は一時99円ちょうどまで7円を超す円高となった。10年債利回りはマイナス0.215%と過去最低を更新するなど「安全資産」への逃避が進んでいる。

この「究極の不透明要因」とも言える国民投票が今後、相次いで行われる可能性が高まっている。イタリアは10月に憲法改正案を国民投票で問う見通し。フィンランドやオランダでも行われるとの見方もある。英国のEU離脱派の勝利で、スコットランドでも再び独立に関する国民投票を求める動きが強まりかねない。

双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦氏は、政治家への信頼感が低くなっていることが国民投票が増える背景と指摘する。「米国でのトランプ旋風もそうだが、雇用や賃金への中低所得者層の不満が、国民投票を求める声に結び付いている」という。

国論が二分するような重要な判断でこそ、国民投票が行われるのだが、現状への不満が背景にある中では、今回の英国のように、現体制の否定につながるおそれが強まる。金融市場では「政治リスクがあるうちは、積極的な投資は難しい」(JPモルガン・アセット・マネジメントのストラテジスト、重見吉徳氏)との見方が台頭している。

<警戒すべきは「広がり」>

金融システムへの波及も、2008年に起きた「リーマン・ショック」とは異なるルートで起こる可能性がある。

「リーマン・ショック」の原因はサブプライム・ローンという特定の金融商品だった。今回は1つの国の問題であり、何か特定の金融商品がバブル崩壊的な値崩れを起こしたわけではない。企業や家計のバランスシートも当時と比べて、少なくとも表面上は健全だ。

しかし、グローバルマーケットの中心である英国の問題は1国の問題とかたずけられない。金融市場の「ハブ」を新たに探さなければならないということだけではなく、世界中のマネーの仲介役となっていた英国の銀行に懸念が及ぶためだ。

英国債が格下げされれば、英銀行の格付けも引き下げられる。英国の銀行格付け(S&P)は大手でAからBBBと大半が低い。英国の銀行が発行している債券は約70兆円と推計されているが、日本を含む世界中の投資家が投資しており、債券価格が下落すれば影響はグローバルに拡散する。

マネックス証券チーフ・アナリストの大槻奈那氏は、今回警戒すべきは、その「広がり」だという。「リーマン・ショックはサブプライムという1つの商品の問題の深化の過程で起きた。今回は、英銀行からグローバル市場に、EU離脱が英国から他国に、広がりかねないだけでなく、ギリシャ問題も再燃しかねない」と話す。

<期待薄の政策対応効果>

もちろん世界の政府や金融当局も手をこまねいているわけではない。主要7カ国(G7)は、市場の鎮静化に向けた緊急声明を出す方向だ。日銀など中央銀行も、中央銀行間のスワップ取り決めを活用し、流動性供給に万全を期する。

しかし、こうした従来の対応が効果を発揮できるかは不透明だ。サブプライム問題発生時にも、世界的な流動性供給が行われたが、金融危機は起きてしまった。当時は、中国の4兆元投資が救いになったが、同国は過剰設備という後遺症を今も引きずっている。

金融緩和や財政出動には期待できないとの声も多い。シティグループ証券チーフエコノミストの村嶋帰一氏は「景気減速を止める手段を日銀はもはや持ち合わせていない。財政出動の効果が出るにはタイムラグがある。金融市場が実体経済に与える影響次第では日本経済は大きく減速する可能性がある」と話す。

ある米大手ファンドの運用担当者は、英国民投票に向けて特にポジションを傾けていなかったと明かす。「影響がどう出るのかこれから見極めたうえで投資を行っていく」という。市場には「ブレグジット・ショック」とも言える衝撃が広がっているが、「何十年に1度」(村嶋氏)という影響の大きさを考えるならば、短期間で終息しない可能性は大きい。

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英EU離脱がもたらす為替と株の「新しい水準」

日本経済新聞 編集委員 田村正之

英国の欧州連合(EU)離脱(Brexit)が為替と株式市場を揺らしている。市場から聞こえてくるのは、為替と株価の水準がBrexit前とは切り替わったとの指摘だ。不透明な市場環境の中での「新たな適正水準」はいくらなのか。

英ポンドの歴史が示す為替水準は

「今年の円高は、大規模金融緩和などで人為的に円安になっていたドル円相場が、経済実態に見合った水準に戻る過程だった。Brexitはそれを加速させた」と話すのはJPモルガン・アセット・マネジメントの重見吉徳チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト。

重見氏が振り返るのは1992年の英国のポンド危機だ。英国は当時、欧州の為替相場メカニズム(ERM)の中でポンドをドイツマルクに実質的に連動させていた。英国は不況下にありポンドは過大評価されていた。投資家のジョージ・ソロス氏はそこに目をつけて空売りを仕掛けポンドは急落、英国はERMから離脱した。

「日本の大規模緩和であれ、ポンド危機を招いた市場の力であれ、経済実態から離れた価格はやがて押し戻される。ポンド危機でポンドは最大21%下落した。円が大規模緩和後の安値から21%上昇すると98円。通貨の長期的なモノサシである購買力平価ではドル円相場の妥当値は98円前後で、Brexit後の円高はそれに近づいている」

もともと95~105円前後をドル円相場の適正水準とみる向きは多かった。HSBC証券が購買力平価・長期金利差・累積経常黒字などから総合的に試算した妥当値はやはり98円だ。

為替相場はいったんトレンドが変わると、数年は続くことが多い。しかもグラフでわかるように往々にしてオーバーシュートする。妥当水準とされる98円程度より大きく円高方向に動くリスクも考えておいたほうがよさそうだ。

「Brexitにより米国の利上げの可能性がほぼ消えた。円安方向に動く要因がなくなってしまった」と話すのは唐鎌大輔・みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト。唐鎌氏は1ドル=98円と見ていた年末の為替予想を「95円くらいに修正するつもり」だ。

■短期的には円安への揺り戻しも

多国間の政策協調などがあれば、短期的には足元ではいったん円安方向への揺り戻しが起きる可能性もある。グラフでわかるようにドル円相場は52週移動平均とのかい離率が上下15%程度に近づくと、過熱感から逆方向に揺り戻される傾向にある。

先週末は円高方向へのかい離率が12%程度とかなり大きくなっている。国内外の当局の政策発動などをきっかけに一時的に円安に揺り戻される局面もありそうだ。

しかし為替の「新しい水準」が100円前後にシフトしたというストーリーを信じる場合は、短期的に円安に動く場面があればいったんそこで売るという戦略も重要になりそうだ。

為替相場の水準訂正は当然ながら株価にも影響する。表は大和証券が9日に作成した為替シナリオごとの日経平均株価の想定。9日時点では大和は標準シナリオを1ドル=110円と見ていた。

しかし高橋和宏・投資戦略部担当部長は「Brexitで変えざるを得ない。1ドル=100円、予想株価収益率(PER)13倍だと1万5400円だが、来年度の業績悪化まで考えると1万4800円程度の水準も意識しなくては」と話す。もちろん一時的にはこの水準を割り込み、1万4000円に近づく可能性もあり得る。

ゴールドマン・サックス証券もBrexitを受けてコメントを発表、「日本企業の17年3月期業績に関し従来は115円を前提に7.9%の経常増益とみていたが、仮に100円とすれば減益となる。収益予想の見直しを検討中」とした。

■1万4000~1万6500円での乱高下も

為替と同じように株価も様々なテクニカル指標は「売られすぎ」を示していて、短期的なリバウンドも見られるかもしれない。しかしいったん大きく崩れた相場は、短期のリバウンドの後に二番底をつけに行くことも多い。

金融市場全体とりまく不確実性が高まったなかで、どこが株価の新しいフェアバリューなのか。Brexitの影響がどこまで広がるかで変わってくる。これについては見方も分かれる。

一つは混乱が他の国にも飛び火するという見方だ。「イタリア、フィンランドなどEU所属に不満を持つ国民を多く抱えている他の国もある。Brexitは、拡大を続けていた欧州という枠組みが、逆行を迫られる端緒になる可能性がある」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長)。

一方「今は隕石(いんせき)が落ちた直後のように粉じんが舞い視界が悪い。しかし英国の景気悪化があっても世界経済に大きな影響を与えるほどではない」(JPモルガン・チェース銀行チーフFXストラテジストの棚瀬順哉氏)という見方もある。「やがて粉じんが消えれば、別に世界が変わっていなかったことがわかるのではないか」

Brexitが世界経済にどんな影響を与えるかはまだ不透明だ。株価はそんな中で新しいフェアバリューを探り始めている。「1万4000円から1万6500円くらいの新しい値幅帯の中で、値動きの激しい展開が続く可能性がある」(JPモルガン・アセットの重見氏)との声が聞かれた。

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英離脱でポンドは1.25─1.30ドルに下落へ、ドルは90円に=モルガンS

ロンドン 24日 ロイター]
英国の欧州連合(EU)離脱の可能性が国民投票で濃厚となったことを受け、米銀大手モルガン・スタンレーは24日の顧客向けのリポートで、ポンドが対ドルで1.25─1.30ドルに下落し、円やスイスフランが大幅上昇すると予想した。欧州株については15─20%下がるとみている。

モルガン・スタンレーは、新たにドル/円のターゲットを90円、ユーロ/スイスフランは1.02フランに設定。

豪ドル/円は70円をターゲットとし、豪ドル売り/円買いを推奨した。

新興国通貨では、ポーランドズロチを売り推奨した。

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今週のドル/円はリスク回避再燃への警戒で戻り鈍い、英EU離脱消化

東京 27日 ロイター]
今週の外為市場は、英国の欧州連合(EU)離脱決定を消化するまでボラタイルな展開が予想される。週末にかけて落ち着きを取り戻しそうだが、金融市場の混乱で米国の利上げの可能性が大きく後退。リスク回避が再燃することへの警戒もあり、ドル/円の戻りは鈍いとみられている。

予想レンジはドル/円が98.00─104.00円、ユーロ/ドルが1.0800─1.1200ドル。

英国民投票は事前の世論調査でEU残留派が多かったことから、離脱派勝利がもたらした衝撃は大きかった。東京時間でドルは7.5円超、ユーロは12円超、英ポンドにいたっては27円近い大幅な下げとなった。

今週初めはボラティリティが高く、ドル/円は1日に上下3円程度の値幅が出る可能性もあるという。「98円近くまで下げればさすがに政府・日銀が躍起になって円高を止めにきそうだ」(国内金融機関)として、日銀の臨時会合などでの政策対応が期待される。

急落の反動で修正が入る可能性もあるが、米長期金利が低下しており、ドル買い機運は盛り上がりそうにない。戻りは鈍いとみられ、戻ったとしても103円台で上値が重くなりそうだという。

さらに「米国は7月の利上げの芽が完全に摘まれたうえ、年内実施の可能性も著しく低下した」(みずほ銀行のチーフマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏)。同氏は、ドル向こう1カ月程度をかけて95円方向を試す展開を予想している。

<ポンド安の流れ収まるか>

ユーロは英国のEU離脱に伴う欧州経済への影響が意識されるため、ユーロ売り/ドル買いになりやすい。1.10ドルを割り込んだことでやや下げ余地が出たとみられているが、「1.08ドル付近ではショートカバーが入りそう」(外為アナリスト)との声が出ていた。

ポンドについては「離脱が決まったとはいえ、手続き時間などの関係で急激に英国経済が悪化するとは思わない。悲観的になりすぎた反動でポンド安の流れがいったん収まる可能性がある」(同)との指摘もあった。

経済指標では、28日に米1─3月期国内総生産(GDP)確定値、米6月CB消費者信頼感指数、29日に米5月個人所得・個人支出、30日に日本5月鉱工業生産、7月1日に日本5月全国消費者物価指数(CPI)、中国6月製造業購買担当者景気指数(PMI)、米6月ISM製造業景気指数などが発表予定。

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コラム:英国EU残留でもドル安円高基調は不変

内田稔三菱東京UFJ銀行 チーフアナリスト

[東京 21日]
英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票が目前に迫ってきた。複数の世論調査によると残留派が盛り返しており、市場では安心感が広がっている。ただし、選挙は水ものであり、ふたを開けるまで予断を許さないだろう。

投資家の気が緩んでいるだけに、仮に離脱が決定的ともなれば、市場が混乱する可能性は高い。その場合、為替市場では、リスク回避の円買いと有事のドル買いに、ポンドやユーロといった欧州通貨の下落が合わさり、クロス円での円高に要注意だろう。特にポンドは、対ドルで1.35ドルを下回ると、1980年代半ばの1.05ドル台までこれといった下値目処を見出しにくい状況だ。

ただ、ポンドが急落する場面では、主要7カ国(G7)によるポンドを買い支えるための協調為替介入の可能性が浮上しよう。例えば、ユーロ安(ドル高)が進んだ2000年9月、G7はユーロを買い支える協調介入を実施。また、最近の例で言えば、東日本大震災後の円急騰の場面で行なわれた協調円売り介入が記憶に新しい。

このほか、結果的に未遂に終わったが、2008年4月のワシントンG7でも、史上最安値圏に沈んでいたドルを買い支える協調介入実施の合意が形成された節がある。このG7以降、ポールソン米財務長官(当時)らが、相次いでドル安阻止に向けた為替介入も辞さない姿勢を前面に打ち出していたからだ。

このように表向きでは、自由な変動相場制を志向するG7も、市場の屋台骨が揺らぎかねない場面ではその限りではない。いわゆるグローバルな金融危機(リーマンショック)や欧州債務危機などの教訓から、G7の危機対応能力は格段に高まったはずだ。

今回の英国民投票は、あらかじめ日程も決まっており、離脱が決まった場合であっても、市場の混乱を最小限に抑えることもできるのではないか。このため、残留決定ならもちろん、離脱となった場合も、当初の混乱を乗り切れば、市場では不確定要素が1つ取り除かれたことを好感し、緊張も和らごう。にわかにリスクオンともなれば、ドル円はいったん沈んだ後、多少の反発をみせるだろう。

<日米金融政策の格差縮小で年内100円割れも>

ただ、それでもドル円の下落トレンドは変わらないとみている。なぜなら、ドル安円高の本質は、こうしたリスク回避の円買いの他にも存在するからだ。このことは、今週に入り、世界的に株式相場が堅調に推移している中、依然として上値が重いドル円相場の動向をみても明らかだ。

かねて指摘している通り、こうしたドル安円高の原動力は、主に日本側に起因する「円高」とみている。金融緩和と円高是正によるデフレ脱却シナリオが大きく揺らいでおり、予想実質金利の高止まりが円高を招いてきた。ここに、経常収支の黒字も加わって、年初来の対ドル変化率をみると、円が突出して上昇している。

加えて、ここからは「ドル安」への警戒も一段と必要になりつつある。米国の利上げシナリオが、大きく揺らぎ始めているからだ。

5月分の米雇用統計は、低水準で推移する新規失業保険申請件数などに照らせば、さすがに一時的な落ち込みである可能性が高いが、非農業部門雇用者数を移動平均でみてもやはり低下傾向をたどっている。また、労働市場情勢指数(LMCI)も、年初来5カ月続けてマイナスが続いており、労働市場の改善ペースは鈍化しているとみた方がいいだろう。

特にLMCIは、景気との相関が高く、米経済の回復が変調をきたしていることに警戒が必要だ。連邦公開市場委員会(FOMC)は、最短で9月の利上げを狙っていくのだろうが、時間の経過とともに、利上げの環境が整うというより、やりにくさを増していく公算が大きい。もともと連続利上げは非現実的とみてきたが、次の利上げの行方すら、不確実性が高まったと言えよう。

むろん、米国の名目金利は今でも低いため、仮に利上げシナリオが揺らぐ場合も、金融緩和を織り込みにでもいかない限り、低下余地は限られる。ドル高こそ期待できなくなっても、ドル安までは心配しなくていいとの指摘はあるだろう。

ただし、ドルは、金融政策や金利水準での相対的な優位性を失うだけで、下げ圧力を受けやすいことを忘れてはならない。それは、ドルが経常収支赤字国通貨であるためだ。

これを確認するには、2004年から2006年にかけてのドルの名目実効相場の動きをみるといいだろう。2005年だけドル高となっているが、これは米企業による本国への送金に対する税負担軽減を図った時限立法、「本国投資法」を受けた一時的なレパトリによるものであって、金融政策に起因したドル高ではない。その時期を除くと、17回連続の利上げを実施していたにもかかわらず、ドルは全面安の様相を呈している。

当時、BRICSという造語が誕生した通り、世界経済は好況に沸き、多くの国が利上げを実施していた。つまり、米国の金融政策が、他国と比べて、特に際立っていたわけではないということだ。

翻って足もとの状況をみると、当面の間、欧州中央銀行(ECB)や日銀は緩和的なスタンスを維持しよう。ただ、FRBも利上げが難しいとなれば、金融政策の相対格差は格段に狭まる。そうなれば、円の実質金利の高止まりや日米間の経常収支の格差が、ドル円にずしりと重くのしかかるというわけだ。

この通り、今後のドル円相場を展望する上では、従来の円高要因に加え、ドル安の側面も一段と考慮する必要性が高まってきたと言える。これまでドル円の100円割れは来年以降と予想していたが、今ではそれが前倒しとなり、年内100円割れの可能性が高まったとみている。

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アングル:ミセスワタナベがポンド逆張り、英離脱ならドル/円下落加速も

東京 17日 ロイター]
日本の個人投資家「ミセスワタナベ」が、ポンド/円を買い増している。英国の欧州連合(EU)残留を見込んだ得意の逆張りだ。しかし、予想に反し離脱となれば、流動性が乏しい同通貨ペアは急落しかねない。FX(外国為替証拠金)の強制ロスカットが生じれば、ドル/円の下落を加速させる可能性があると警戒されている。

<15倍の買い建て>

東京金融取引所のFX「くりっく365」。個人投資家のポンド/円のポジションは、6月16日時点で売り建て1万8234枚に対し、買い建ては約15倍の27万5209枚に達する。

ブレグジット(英国のEU離脱)懸念の高まりを背景に、ポンド/円は年初から17%下落し、約3年ぶりの安値水準だ。それにもかかわらず買い建てるのは、ミセスワタナベが得意とする逆張り戦略とみられている。「残留するに違いないと、ヤマを張る投資家がいる」(FX会社)という。

金利の相対的な高さに着目し、スワップポイント(通貨間の金利差)を期待して買いが膨らみやすいとの事情もある。ただ、「ポンドが歴史的安値圏にあるというだけの理由で買っている個人投資家が、かなり多い印象だ」(別のFX会社)との指摘も多い。

国内FX取引高における「くりっく365」のシェアは1%に満たないが、残高ベースでは3割程度を占める。市場では「日本の個人投資家のポジションを、おおむね反映している」(同)とみられており、他のFX会社でも、ポンド/円の買い建ては売り建ての比率に差はあっても、同じ逆張り傾向だ。東京市場で個人投資家の取引は3割程度を占めると推計されている。

<ランド/円急落の悪夢>

ドル/円やユーロ/円と違い、流動性が乏しいポンド/円など他の通貨ペアは、ミセスワタナベの売買動向が相場に大きく影響を与えることがある。

実際、その影響力の大きさを示したケースが今年1月にあった。年初からの荒れ相場の中で、リスク回避の円高の流れを引きずって迎えた11日早朝、南ア・ランド/円が急落した。節目だった7.0円に向けてジリジリと最安値を更新する中でストップロスを巻き込んで下げが強まり、日本の個人投資家にFXの強制ロスカットが発動され、大量の手じまい売りが出たと見られている。

ランド/円の取引は通常でも商いが薄いが、11日は日本が休日。早朝(東京時間)の取引では、大量のランド売り注文に対し、買い注文は極端に少なく、提示レートが安値でも売り手が奪い合う事態となり、ランド/円は30分足らずの間に約6%下落。ドル/円にも波及し、短時間で約0.4%下押しされた。

新興国通貨は対円での流動性が低いことから、ドルを介して取引されることが多い。ランド/円であれば、強制ロスカットは「ランド売り・ドル買い」と「ドル売り・円買い」の組み合わせとなり、ドル/円相場にも影響を及ぼす。

<警戒水準はポンドの10円下落>

「くりっく365」のデータで、1月8日時点の南ア・ランド/円の買い建ては売り建ての約13倍となっていた。英国民投票を前にした足元の個人投資家のポンド/円での買い建ての売り建てに対する比率は15倍と、南ア・ランドを上回っている。ポンド/円も流動性は低い。

ニッセイ基礎研究所・シニアエコノミスト、上野剛志氏は、英国のEU離脱が決まれば「個人投資家の自発的な売りや強制ロスカットが、売り圧力増幅に働き得る。市場のリスク回避度合いを強めてしまいかねず、ドル/円の下押しにも働くだろう」との見方を示す。

強制ロスカットはFX会社ごとに基準が異なるほか、レバレッジの大きさによって「のりしろ」の幅も左右される。ヤマを張ってポンド/円を買う向きは、レバレッジを抑える傾向があるという。

保守的な投資家の多い同FX会社の関係者は「足元の150円付近から、5─10円ぐらいの下落なら強制ロスカットが大きく膨らむことはなさそうだ。ただ、10円を超える下げになると、話は変わってくる」とみている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券・チーフ為替ストラテジスト、植野大作氏は、残留ならポンド高方向、離脱ならポンド安方向をみており、「英国民投票の結果判明の直前を発射台とすれば、ポンド/円は5─10円、ドル/円は2─4円程度変動するだろう」と話している。

英国民投票の結果は、東京時間で24日午前から昼ごろに判明する見込みだ。「取引時間中の発表のため、プライスがつかない事態は考えにくい。ただ、離脱決定というニュースが出た瞬間は、一気に数円飛んでしまう可能性も否定できない」(国内金融機関)との警戒感が強まっている。

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避難先通貨「円」に上昇圧力、英国民投票控え=今週の外為市場

東京 20日 ロイター]
今週の外為市場では、23日の英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票に向かって、避難先通貨の円やスイスフランが上昇圧力にさらされ、ドル/円の下値リスクが意識されやすい展開となりそうだ。

一方、英国のEU離脱(ブレグジット)が回避されたとしても、ドル/円の反発は106円付近までとの見方が多い。

英国民投票をめぐっては、最近の英ポンドの乱高下や円とスイスフランの急騰で傷を負った内外投資家や短期筋が多いとみられ、為替市場のリスクテーク能力は著しく低下している。

予想レンジはドル/円が101.00―106.00円、ユーロ/ドルが1.1100―1.1500ドル。

<下値目途>

16日の取引でドルは103.56円まで下落し、1年10カ月ぶり安値を付けた。英ポンド/円 は同日145.37円まで下落し、3年2カ月ぶり安値を付けた。

ブレグジットが具現化した場合、チャート上の下値目途は2014年2月4日の安値100.76円。また、過去最安値の75.32円と昨年6月の高値125.86円の半値である100.59円が次の下値めどとなる。

ただ、18日に公表された英サンデー・タイムズ紙向けの調査会社ユーカブの世論調査によると、英国のEU残留を指示する英国民の割合が44%となり、離脱を指示する割合の43%を上回った。

直近の調査結果を受けて、英ポンドやユーロは買戻しの動きが活発化し、20日早朝の東京市場では、英ポンド/円が151.66円、ユーロ/円が118.61円まで急反発した。

複数の市場参加者は、ブレグジット後に、100円に向けた円高加速時には、日銀が臨時会合を開き、追加緩和に踏み切る可能性が高いとみている。 また、100円割れをのぞむ局面では、日本単独でのドル買い/円売り介入を予想する向きも少なくない。

内閣府によると輸出企業の平均採算レートは103.20円。これを下回るドル安/円高は、企業業績の悪化、株価下落を通じて景況感の悪化をもたらすほか、輸入物価の下落を通じたデフレ圧力を再燃させ、参院選の結果にも影響をもたらす可能性がある。

<英国民投票の後>

英国民投票の結果がEU残留となったとしても、7月10日に日本の参院選、7月26―27日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が控え、リスクセンチメントが大幅に好転する余地は限られそうだ。

「前者は与党が数字を取れないリスク、後者は利上げ断念という不確定要素がある」と指摘するのは、三井住友銀行、チーフストラテジストの宇野大介氏。同氏は「こうした状況で、英国民投票が終わったからといって、市場のリスク回避の流れがそう簡単に収束するとも思えない」と言う。

野村証券チーフ為替ストラテジスト、池田雄之輔氏も「注意したいのは(6月)15日のFOMCでイエレン議長がかなり慎重で、年内1回の利上げしか想定していない可能性が高まったことだ。英国民投票後もドルの戻り売り圧力は相当強いと思われる」と話している。

米セントルイス地区連銀のブラード総裁は17日、2018年末までの利上げは1回のとどめるのが適切との見解を示した。

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アメリカ経済は楽観できない! ITバブルの崩壊も予見したデータから、変化の兆しを読む 「フィンテック」もピークアウト?

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48865

6月利上げの可能性は遠のいた

先週金曜日の米国雇用統計では、ヘッドラインの非農業部門の雇用者数が3万8千人増と市場の事前予想を大きく下回る結果となったことから、6月14日、15日開催予定のFOMC(連邦公開市場委員会)で利上げが実施される可能性は大きく低下した。

雇用統計発表後の記者会見で、イエレンFRB議長は落胆の色を隠そうとしなかった。よって、6月利上げの可能性は遠のいたと言ってよいだろう。

一方、イエレン議長の落胆ぶりから推測すると、FRBは6月利上げに向けて準備を進めていたのかもしれない。雇用統計で米国の雇用環境の良好さを確認したうえで2度目の利上げを実施する腹づもりだったのだろう。

だが、雇用統計の内容自体は、決して米国景気の先行きを悲観するような内容ではなかったと考えられる。

5月の非農業部門の雇用者増加数は、4月の12万3千人から8万5千人減少した計算になるが、これには、通信業の雇用者数が3万7千人、企業向けサービス業の派遣社員(「Temporary Help Service」)が2万6千人それぞれ減少したことが大きく寄与した(両業種で6万3千人なので、両業種の雇用者数減で5月の雇用統計の悪さの約75%を説明できる)。

このうち、通信業は、米大手通信社ベライゾン社のストライキによるものであり、ストライキで仕事をしなかった労働組合に所属している社員の属性が「雇用者」から「非労働力人口」に変わったというテクニカルな要因が雇用者の増加数を減らした。

だが、ベライゾン社のストライキは、ベライゾン社が賃上げに応じたことから終息しているので、6月の雇用統計では再び「雇用者増分」としてカウントされることになる(さらにいえば、この要因は5月の完全失業率を4月の5.0%から4.7%へ大きく低下させた)。また、企業向けサービス業の派遣社員の減少も契約が1回切れるという再雇用契約のタイミングの問題に過ぎないと思われる。

したがって、5月の雇用統計の悪化は、「特殊要因」によるものであって、米国の景気の先行きに急激に暗雲が立ち込めた訳ではないだろう。それどころか、6月の雇用統計は、その反動で急増する可能性もあり、これが逆に7月の利上げを後押しするかもしれない。

フィリップス曲線の左下方シフトが意味するもの

5月の雇用統計が発表されるまでの米国経済指標は全般的に持ち直しの動きが強かった。例えば、5月のISM製造業景況観指数は、51.3ptとなり、3ヵ月連続で景気判断の分かれ目となる50ptを超えた。

ドルの名目実効為替レートは1月から反落(ドル安方向に転換)しており、これが製造業の景況観を改善させた可能性がある。さらに、金利の低下が続いていることもあり、ローン環境と密接に関わっている新築・中古住宅販売件数や自動車販売台数も依然として底堅く推移している。

このように考えると、米国は、景気がそこそこ強いのだから株価はもっと上昇してもよいのではないかと考えたくなる。また、7月に利上げが実施されたとしても、それは「米国が先進国で最も早く経済の正常化に成功した」象徴として、株価上昇要因になりうるという希望的観測を抱きたくなる。

個人投資家も含め、有望な投資先がない中、米国株に唯一の光明を見出したくなる気持ちもわからないわけではない。

だが、筆者は米国株についてそれほど楽観的ではない。以下、この点を米国のマクロ経済との関連性、特に今回は、「サプライサイド」に分類される要因から考えてみよう。

筆者は、個人的には、米国のフィリップス曲線(縦軸にインフレ率、横軸に失業率をプロットしたもの)の動きに注目している。米国のフィリップス曲線をみると、2015年8月以降は、景気拡大局面特有の左上方へのシフトを続けていることがわかる。

リーマンショック以降の米国のフィリップス曲線は、特に2012年3月以降、左下方へのシフトを強めてきた。

フィリップス曲線の左下方へのシフトを現象面からみれば、雇用環境の改善が景気過熱や賃金上昇圧力を伴わない形で進んでいることを意味しているが、これは、企業サイドからみれば、何らかの要因が生産性の上昇をもたらし、雇用環境改善による賃金上昇圧力を相殺して余りある状況を作りだしていたことを意味する。

確かにこれは、労働者サイドからみれば、低賃金労働者の増加による所得格差の拡大という負の側面があることも否定できない。

だが、これは、米企業の資本分配率の上昇(裏返せば労働分配率の低下)による株価の回復を演出し、米国経済のリーマンショックからの回復を後押しした点で、マクロ経済的にはプラス要因であったと考えられる。

ITブームの盛衰も予見していた

同様の現象が、S&L危機という金融危機からITブームへ移行する90年代前半にもみられた。当時、米国のフィリップス曲線の左下方へのシフトは1992年7月より始まった(実際のITブームは1995年から顕在化した)。

しかも、非常に興味深いのは、フィリップス曲線が左下方にシフトする前のトレンドからの乖離率の動きが、米国のハイテク株の動きに約半年先行していた点である。すなわち、フィリップス曲線の左下方へのシフトは、その後のITブームを予見したことになる。

さらにいえば、米国の「ITバブル」は2000年初めに崩壊過程が始まったが、フィリップス曲線の左下方へのシフトはITブームの最中、人々が米国経済、及び米国株式市場の先行きに対し、楽観的であった1999年半ばにすでに止まっていた。つまり、ITブームの崩壊をも予見していた。

リーマンショック後の米国の株式市場では、当初は、「シェール革命」をはやして、資源関連株の上昇が全体を牽引していたが、それとともに株価の上昇が顕著だったのは「フィンテック」に代表される「ハイテク株(特にソフトウェア関連)」であった。

そこで、ITブーム期、2011年から2012年にかけての2年間のフィリップス曲線との乖離率を計算し、その推移をみると、ITブーム期ほど鮮明ではないが、ハイテク関連株に6ヵ月先行して動いていることがわかった。

昨年8月以降、フィリップス曲線の左下方へのシフトは止まりつつあるが、アップルやインテルの株価をみればわかるように、ここにきて米国のハイテク株の動きもさえなくなってきている。

米国株はこれから調整局面を迎える

今回は、ハイテク株自体がITブームほどのバブル的な急騰を演じている訳ではないため、暴落の可能性は低いものの、フィリップス曲線の動きから推測すると、これまで米国株式市場を牽引してきたハイテク株にピークアウトの兆しがみえてきたのではなかろうか。

すなわち、株式市場における「フィンテックブーム」も終焉を迎えた可能性がある。そうすると、牽引役を失った米国株市場全体の上昇も見込みにくくなっているのかもしれない。

また、米国の労働分配率の推移をみると、2015年以降、上昇が顕著になってきている。ここまでの議論の流れから考えると、フィリップス曲線の左下方へのシフトで示すことができる生産性の改善が止まり、フィリップス曲線が左上方にシフトし始めた局面で労働分配率が急上昇し始めていることがわかる(例えば、1999年半ば、及び2015年半ば)。

また、労働分配率が上昇する局面では、企業の利益マージンが低下するため、企業業績は鈍化し、株式市場も調整局面を迎えることが多い。

以上より、企業サイド(サプライサイド)から今後の米国株式市場の動向を考えた場合、生産性の悪化による利益率の低下から株価は調整局面を迎える段階に入りつつあると考える。

なお、この米国株式市場の動きを、米国のマネタリーベースの動きからみた場合にも、同様の結論が導き出される。すなわち、最近のマネタリーベースは再び減少トレンドに移行しつつある。

過去、マネタリーベースの減少は株価の調整に波及することが多かった。FRBが次の利上げを実施する場合には、マネタリーベースがさらに減少することに注意しておく必要がある。

いずれにせよ、米国の株価は、他の主要国の株価とも連動する部分が多いので、これは当然、日本株の先行きにも警戒すべきであることを示唆していると考える。

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<円相場>円高どうなる、市場の見方は

毎日新聞

日銀の追加緩和策の見送りと米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利上げ観測の後退を受け、東京外国為替市場は16日、円相場が1年10カ月ぶりに1ドル=103円台の円高・ドル安水準に突入した。23日の英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票までは、リスク回避の流れから相対的に安全な資産とされる円が買われる傾向が続くとみられる。市場はその後も円高が進むのか警戒感を強めている。

15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、年内に利上げが1回しかないと見込む委員が大幅に増えた。三井住友アセットマネジメントの石山仁チーフストラテジストは「FOMCが米景気の先行きに慎重な見方をしていることが明らかになり、市場の追加利上げ観測が後退した」と指摘する。さらに日銀が追加緩和を見送ったことで、日米の金利差が広がらないとの見方から、ドルで運用するメリットが薄れ、円を買う動きが拡大。16日の東京市場の円相場は2014年8月以来となる1ドル=103円台まで円高・ドル安が進んだ。

この日の円急伸の引き金はFOMCと日銀だったが、底流にあるのは英国のEU離脱を問う国民投票への警戒感だ。市場では、23日の国民投票までは、世界的なリスク回避の流れから円高が継続するとの見方が多い。SMBC日興証券の野地慎為替・外債ストラテジストは「英国の国民投票まではじわじわと円高が続くが、103円台が限界ではないか。それ以上の円高が進むと為替介入への警戒から円を買いづらくなる」と分析する。

一方、みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは「心理的な節目だった105円を超えて円高が進んだことで、次の節目は100~101円になる」と指摘。「英国がEUにとどまれば円を売る動きが広がるが、離脱が決まれば一気に100円を突破する」と警戒する。

株価への影響も深刻だ。内閣府が2月に発表した調査結果では、輸出企業が採算を確保できる円相場の平均は1ドル=103円20銭。円相場が採算ラインに迫ったことで市場に動揺が広がり、東京株式市場の日経平均株価の下げ幅は一時、前日終値比500円超に達した。石山氏は「急激な円高と英国のEU離脱不安で、株価に割安感があっても手を出せない」と指摘する。市場では当面、英国国民投票の結末をにらみながら、円高・株安の傾向が続くと見られる。

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