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日銀、マイナス金利導入を決定

東京 29日 ロイター]
日銀は29日の金融政策決定会合で、当座預金に0.1%のマイナス金利を適用する追加緩和を決めた。年間80兆円の国債買い入れを柱とする従来の資産買い入れを継続しつつ、当座預金を3つに分け、それぞれプラス金利、ゼロ金利、マイナス金利を適用する。

マイナス金利導入には、白井さゆり、石田浩二、佐藤健裕、木内登英の4委員が反対した。

同時に公表した展望リポートで2016年度の物価見通しを従来の前年比プラス1.4%からプラス0.8%に大幅に下方修正した。2%の物価目標達成時期を従来の2016年度後半から17年度前半に先延ばしした。


日銀、マイナス金利導入を決定:識者はこうみる

[東京 29日 ロイター]
日銀は29日の金融政策決定会合で、当座預金に0.1%のマイナス金利を適用する追加緩和を決めた。年間80兆円の国債買い入れを柱とする従来の資産買い入れを継続しつつ、当座預金を3つに分け、それぞれプラス金利、ゼロ金利、マイナス金利を適用する。市場関係者のコメントは以下の通り。

<三井住友アセットマネジメント シニアストラテジスト 市川雅浩氏>

そこまではないだろうと思っていた。賛成5で反対4と、決定は際どいところであった。必ずしも日銀のボードメンバーに前向きに採用されている感じでもない。まずはサプライズで日本株は買われたが、その後日経平均の上げ幅は縮小した。マイナス金利の中身や効果を評価しあぐねている感じだ。夕方に黒田総裁の記者会見が控えている。経済全体への影響を含め、市場による検証が今後進んでいくとみている。

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

日銀のマイナス金利導入に対して、為替市場はショック的な円売りで反応した。

日銀は量的な金融緩和のテクニカルな限界を、金利の世界に転換することで乗り越える苦策を講じたと言えるだろう。ただ、マイナス金利導入については、審議委員のうち5委員の賛成に対して4委員が反対しており、日銀内でも効果に懐疑的な見方があるようだ。

先行してマイナス金利を導入した欧州中央銀行(ECB)に対しては、既にマイナス金利限界説も浮上しており、マイナス金利が実体経済に実効的かつ中長期的な効果を及ぼすか否かは不確実だ。

市場の反応も時間の経過とともに剥げ落ちる可能性が高い。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト 植野大作氏>

日銀の黒田東彦総裁が付利に消極的だっただけにサプライズとなった。それだけに相場への影響が大きく出た。この後、ロンドン、ニューヨークの各市場でドル買い/円売りの蒸し返しもありそうだ。インパクトの見極めには、地球を一周する必要がある。

もう一つのサプライズが、一部で予想されていた国債購入などの「量」のカードを切らなかった点だ。先行きは、原油価格や中国株の動向を警戒する必要はあるが、量的緩和のカードが温存されているので、3月会合にも期待がつながる。

ドル/円の下値は固くなった印象だ。これまでレジスタンスとなっていた120円は割りにくくなってくる。121─122円にレンジが切り上がる可能性がある。

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コラム:FRBがこだわる「フィリップス曲線」の信頼度

James Saft

[27日 ロイター]
米連邦準備理事会(FRB)は27日に終わった今回の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置いた。世界的な金融市場の混乱に配慮したわけだが、同時に雇用増加が物価を押し上げるとの確信もさらに強めている。

市場はこの姿勢に好意を示さず、株価は下落した。恐らく株式市場は、FRBがいずれ自身が表明している利上げペースを緩めるとの見方を変えていない。

バークレイズのエコノミスト、マイケル・ギャペン氏は顧客向けノートに「FOMC声明における一番の驚きは、冒頭で労働市場の勢いの強さに言及があった後で、経済成長鈍化を指摘した点だ。通常の場合、声明ではまず経済成長の認識が示されてから、労働市場の評価に移る。今回最初に労働市場のしっかりした勢いが取り上げられたのは、経済活動の鈍化が特にわれわれの予想通りに一時的要因によるものであるとすれば、FOMCは労働市場から発せられるシグナルをより信頼していることを表している」と記した。

エネルギー価格下落に起因する悪影響が一時的だという考え方の根幹をなすのは、マクロ経済において失業率と物価上昇率が歴史的にかなり安定した相関関係にあることを示すフィリップス曲線の存在だ。

昨年、何人かのFRB当局者は失業率と物価上昇率の相関度が低下している可能性があるとして、フィリップス曲線の妥当性に疑問を投じた。

しかしこうした意見は、FRBのイエレン議長のこれまでの発言だけでなく、今回のFOMC声明の論理展開でも強く否定されることとなった。

声明は「インフレ率は短期的に低いままで推移すると見込まれるが、エネルギーや輸入価格の下落による一時的な影響が消え、労働市場がさらに力強さを増せば、中期的に2%に向かって上昇すると予想される」としている。

これはフィリップス曲線が機能しているというFRBの想定がいかに揺るぎないかを如実に物語っている。雇用によるインフレ醸成の力が、エネルギー安による一時的な物価押し下げ効果を圧倒するというのがその主張だ。

FRBはこうした見方とバランスを取る形で、「世界経済と金融動向を注意深く監視する」との認識も声明に盛り込んだ。もちろんこれによって、中国経済や金融市場の動揺が新興国とコモディティ、ひいては米国経済に打撃をもたらす可能性にFRBが留意していることを意味する。つまり世界経済の情勢が悪化した場合は、闇雲(やみくも)に利上げはしないと投資家に対して請け合う意図があったのだろうが、これだけでは投資家が期待していたほどの安心感はもたらさなかった。

<路線堅持>

今後の利上げペースについて、年内に4回というFRBの示唆する見通しと、市場の織り込むシナリオには依然としてはっきりした違いがある。

CMEグループのフェデラルファンド(FF)先物は現在、3月の利上げ見送り確率を70%と見込んでおり、26日とほぼ同水準だ。より長期でも、12月でも政策金利の誘導目標が今の0.25─0.50%にとどまる確率は約33%と、声明発表前からほとんど変化していない。

前国際通貨基金(IMF)チーフエコノミストのオリビエ・ブランシャール氏は、最近ピーターソン国際経済研究所への寄稿文の中で「米国のフィリップス曲線は生きている。(わたしはできることなら『なお活発に機能している』と言いたいが、それは誇張になる。失業率と物価上昇率の関係が決して非常に緊密というわけではない)」と記した。(こちら)

これはつまり、失業率低下は引き続き物価を押し上げるが、そのペースは弱まっているということだ。ブランシャール氏はまた、消費者の予想物価上昇率は長期的に安定度が強まっているとも論じた。それが正しければ、物価が急加速して自己永続的なインフレが起きる可能性は小さくなるので、FRBにとっては束の間の景気過熱を許容するコストも低くなるだろう。

物価が逆に下振れるかどうかとなると不透明感は増すように思われる。ただ市場の各種相場水準からすれば、少なくともFRBが長期的に2%の物価上昇率目標を達成できると、投資家が想定していないと見受けられる。

一歩引いて眺めてみると、今回のFOMC声明にはリスク資産にとって好ましい材料は乏しい。FRBは雇用が物価を押し上げるので予定通り利上げするという考え方を維持しただけでなく、12月の利上げ開始以降で「経済成長が鈍化した」と認めてしまった。

次の焦点は2月10日に予定されるイエレン議長の議会証言になるだろう。そのころまでにはFRBの姿勢が幾分変化しているかもしれない。

しかし当面、FRBの今の立ち位置から金利正常化プランの後退までの距離はまだそれほど短くはないように見える。

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米FOMC金利据え置き、「世界経済を注視」:識者はこうみる

[27日 ロイター]
米連邦準備理事会(FRB)は、27日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定した。世界の経済・金融動向を注視する姿勢を示す一方、米経済については前向きな判断を維持した。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●過度にハト派でない、利上げサイクル完全に否定されず

<RBCキャピタルマーケッツ(ニューヨーク)の首席エコノミスト、トム・ポーチェリ氏>

今回は大きな変更がなかった点で、連邦準備理事会(FRB)は正しい態度を示したと考えている。

もし過度にハト派的な声明を発表していたら、3月利上げの可能性を完全に排除してしまうことになる。

過度にハト派的だった場合、3月利上げの可能性が排除されるだけでなく、今回の利上げサイクル全体の可能性が否定されてしまうことにもなりかねない。こうしたリスクはとる価値はない。

●ドル高・原油安の影響一時的との判断重要

<コモンウエルス・フォーリン・エクスチェンジ(ワシントン)の首席市場アナリスト、オメル・エシナー氏>

米連邦準備理事会(FRB)は今回、見通しへのリスクが均衡しているとの従来の見解をあらため、経済へのリスクバランスを判断するべく、世界経済と金融動向を注視する姿勢を表明した。

ドル高と原油安の影響が「一時的」になるとFRBが判断したことは重要だ。インフレ見通しなどは多少弱まったものの、雇用の伸びは「力強い」とした。

FRBは世界の金融市場や経済の不安定性に対し、明白に焦点を当てているわけではないが、海外動向が米国内の成長やインフレに及ぼす影響を注視していると言及したことは、マクロ要因がFRBの判断に影響していることを物語っている。FRBが12月に示した今年4回の利上げ予想は、次回3月会合において修正を余儀なくされるだろう。

●年内利上げ回数少なくなるとの見方後押し

<ウェスタンユニオンビジネス・ソリューションズのシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏>

連邦準備理事会(FRB)のレーダー上に、世界リスクが再び点滅し始めた。こうしたトーンは市場予想と一致するものだった。

今回のFOMC声明は若干ではあるが、ハト派的だった。FRBが現時点で過度に懸念しているとは考えていない。FRBは世界情勢による圧力を前に冷静な態度を保ったと見ている。

世界情勢が今後どのように進展していくのか、見守る必要がある。市場では年内の利上げの回数は多くなるよりも少なくなるとの見方が出ているが、今回の結果はこうした見方を後押しするものとなった。

●年内2度の利上げ想定

<D.A.デービッドソンの債券ストラテジスト、シャロン・スターク氏>

米連邦準備理事会(FRB)に「利上げペースを緩める必要がある」と表明する用意はまだない。その点は想定通りだ。次の動きが明確になるまで、FRBは一段のデータを見極めなければならない。

市場は12月の利上げは間違いだったとFRBが認めることを期待していたため失望しているが、FRBにはまだその必要はない。今後の成長、インフレ指標が重要になる。

年内利上げは1、2度の公算が大きい。私の予想では6月と年末の2度だ。経済がどのように反応するか、FRBは動向を注意深く監視するだろう。

●4月もしくは6月まで利上げない

<ウェルズ・ファーゴ・ファンズ・マネジメントの首席ポートフォリオ・ストラテジスト、ブライアン・ジェイコブソン氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの一角はタカ派とみられるが、今回の声明は極めてハト派的な内容となった。次回利上げは早くても4月、もしくは6月になると考える。利上げは国際情勢に関する文言が削除された後となるだろう。

●年内利上げはない可能性

<SVBアセットマネジメント(サンフランシスコ)のポートフォリオ・マネジメント部門責任者、ニン・チュン氏>

世界的な金融情勢によるインフレへの影響については、今回の声明のトーンは前年9月の声明を踏襲したものとなった。

世界情勢が反転すれば、4回の利上げが実施される可能性はまだある。ただ現在の流れを踏まえると、連邦準備理事会(FRB)は年内は利上げは実施できない公算が大きい。

世界情勢をめぐるFRBの見方が行きつ戻りつするなか、FRBが今後どの程度の期間にわたりインフレ目標を達成できるとの自信を持ち続けることができるのかは不明だ。

●世界経済著しく減速、利上げは無理

<サーハン・キャピタルの最高経営責任者(CEO)、アダム・サーハン氏>

世界の市場は、米連邦準備理事会(FRB)が昨年12月に利上げに踏み切ったことが賢明な判断だとは考えていない。その後、相場は世界的に急落した。

また世界経済は劇的に減速しており、リセッション(景気後退)に向かっている。利上げの用意は整っていない。

●米経済が外的要因にぜい弱との見方示唆

<アリアンツの首席経済アドバイザー、モハメド・エラリアン氏>

FOMC声明は、米経済が「離陸」できない状態にあるなか、米経済が外的な経済要因や金融市場の不安定性に対し引き続きぜい弱であるとの見方を示している。

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日本株下落を漫然と眺めていてはいけない! 脱中国、原油輸入戦略、円高転換に舵を切れ!

http://diamond.jp/articles/-/84571

昨年8月の「中国ショック」再来か!? 株価や為替も当時の水準に接近している

日経平均が戦後最悪となる大発会から6営業日連続下落を記録しました。1月14日現在の株価は1万7178円で、昨年9月29日の安値1万6930円に接近しています。

昨年9月の安値と言えば、8月18日の「中国ショック」から始まり1カ月以上も続いた大幅下落の底でした。この時も中国はサーキットブレーカーを発動させて株式市場の取引を何度も停止させました。原油価格の暴落や円高も伴い、現在と非常によく似た状況です。

その上海市場はと言うと、やはり昨年8月26日の安値に接近しています。一方、原油株価は今回はサウジアラビアとイランの衝突もあって一時1バレル=30ドル割れ(1月14日現在)と昨年8月の安値37ドル台をも大きく下回っています。

円相場は1月8日付本連載(「2016年は円安終了」を予想する3つの理由、1ドル=118円の「トリガーポイント」を突破!)でも詳しく解説したように円高が進み、1月11日に一時1ドル=116.68円まで上昇しました。こちらも昨年8月24日の1ドル=116.18円に急接近しています。

要するに、日経平均は「上海市場の急落」「原油価格の急落」「円高」の3つの材料で急落し、同じように3つの材料が揃っていた昨年8~9月の安値に急接近していることになります。

日経平均や円相場(そしてたぶん原油価格も)はテクニカル的にいったんリバウンドする水準に来ていますが、市場関係者の見通しは見渡す限りの総悲観といった状況です。こういう時こそ冷静に状況を見極め、考える必要があります。

ここを耐えても中国経済は復活しないが原油安と円高はチャンスに変えられる!

確かに、上海株式の急落は中国経済の悪化を反映したものであり、日本経済や企業業績への影響も大きいはずです。残念ながら中国経済が本格的に回復する可能性は、ほとんどありません。

そもそも中国経済の「真の姿」は大きく改竄されている可能性が大です。この問題は「我慢して耐えていればそのうち良くなる」という類のものではありません。中国に依存している企業は「このままでは大変なことになる」とハッキリ認識しなければなりません。多少の犠牲や一時的な株価下落は覚悟して「脱中国」を目指すべきです。

一方で原油価格の急落は、産油国の運用資産の取り崩しで日本株への売り圧力になる可能性こそあるものの、日本経済全体への影響は間違いなく大きなプラスであり「国家的チャンス」と考えるべきものです。

幸か不幸か日本は消費する原油のほとんどを輸入に頼っています。石油はこれから買い手市場になるので世界のパワーバランスでは「原油をたくさん輸入すること」が武器になるはずです。

最後に円高についてですが、米利上げ決定後の動きは急ではあるものの、まだ2014年10月の日銀追加量的緩和直前の1ドル=105円台に比べればはるかに円安です。

現在のように世界経済が低迷している時期は、仮に円安になっても輸出拡大などで日本経済にプラスとなる部分は少なく、逆に輸入物価を上昇させてしまいます。また何よりも日本経済や日本の資産が縮んでしまうことになり、「円安政策」は日本経済の体力を奪うことになります。

いつまでも「円高になると株価が下落する」と恐れているのではなく、ここははっきりと「円高政策」に転じる時期に来ていると考えます。この世界的なデフレの中で、2%の物価上昇という「超アナクロ」な目標のためにやっている「異次元の」量的緩和など、サッサと縮小してしまうべきです。

年間2~3%でも円高になると世界が認識したなら、利回りがゼロの日本国債を含めて日本への投資魅力が大幅に増すため、まだ世界に溢れかえっている投資資金を日本に集中させることができ、フローではなくストック面から日本経済を活性化できるでしょう。

株式市場に一時的なショックは出ると思いますが「脱中国(中国依存を軽減する)」「原油輸入を国家戦略に」「円高転換」に取り組む時期に来ていると考えます。年初来の株価下落を「漫然と眺めている」のではなく、ここは発想を転換して日本が大きく変わるチャンスであると前向きに考えるべきです。

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今週はドル下値リスクに注意、日銀決定会合めぐる思惑が交錯

東京 25日 ロイター]
今週は、米連邦公開市場委員会(FOMC)、日銀金融政策決定会合、米国の第4・四半期実質国内総生産(GDP)の発表など、主要イベントが目白押しとなる。外為市場では、ドルの下値リスクに警戒が必要だとみられている。

予想レンジは、ドル/円が115.50─119.50円、ユーロ/ドルが1.0750―1.0950ドル。

26―27日開催の米FOMCでは、イエレン議長の会見の予定がない。これまで底堅かった米経済指標の予想比下振れが相次ぐなか「声明がタカ派的なものであっても、早々に利上げ期待は高まらないだろう。一方、ハト派的なニュアンスが強ければ、直ちにドル売りを誘発する可能性がある」とみずほ証券、金融市場調査部、チーフ為替ストラテジストの山本雅文氏は警鐘をならす。

29日発表予定の2015年第4・四半期の米GDPの市場予想は前期比0.7%増。アトランタ連銀のGDPナウが1月20日に推計した最新予想値も前期比0.7%増だった。

予想程度もしくはそれを下回る増加幅では、年率換算するとゼロ近傍か、あるいはマイナスに落ち込む可能性もあり、金融市場の失望感を招き、くすぶり始めた「米経済のリセッション(景気後退)入り」との見方を強めかねないとの指摘が聞かれた。

金融市場では、昨年末の利上げ開始が時期尚早な政策転換であり、米国が利上げ後に景気後退に陥り、事実上ゼロ金利の状況がさらに長期化するとの見方も出ている。

日銀決定会合については、さまざまな思惑が出ている。

野村証券チーフ為替ストラテジストの池田雄之輔氏は「今回日銀が行動を起こさなければ、ドルは115円を割り込むリスクがあり、機関投資家や輸出企業などの相場観に不可逆的なダメージを与える危険がある」とし、ETF購入額の倍増、国債購入額を100兆円に増額、地方債購入を開始などの追加緩和措置を予想する。

一方、市場のリスク回避の原因である中国の景気減速や原油安は「日銀の追加緩和で解決できるものではない」(邦銀)と、追加的措置を予想しない声もある。

日銀の黒田総裁は23日、スイスで開かれている世界経済フォーラム年次総会で記者団に対し、28、29日の決定会合について、「具体的に何をやるかどうかは言えない。様々なことが当然議論される」と述べるにとどめた。

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投機筋が明かす円急騰のカラクリ 「負債」から「資産」へ

日本経済新聞 編集委員 清水功哉

日銀が追加緩和に踏み切るのは、円高がどこまで進んだときか。2016年に入り円相場が急上昇、20日には一時1ドル=115円台後半まで上がったことを受け、そんな議論が盛り上がっている。

市場で有力なのは115円程度が重要だとの見方。確かに円が昨年の高値(115円85銭)を抜け、115円程度まで上昇するなら、経営者のデフレマインドが一段と強まり、日銀が重視する賃上げを妨げかねない。追加緩和で対抗する可能性が出てきそうだ。

ただし、追加緩和の有無を左右するのは、相場水準という「定量的な要素」だけではない。どんなメカニズムで円高が進んでいるかという「定性的な要素」にも日銀は注意を払っている。この点に関連して、米系ヘッジファンドに近い関係者から興味深い話を聞いた。「円のアセット資産)化」という言葉が使われるようになっているというのだ。どういうことか。

■買い戻しだけでは説明できない

一般に、円のような超低金利通貨は投機筋の間で資産より負債として使われやすい。それは以下のような理由による。まず投資家がリスクをとることに積極的になる局面では、円を借りて金利が相対的に高い通貨を買い、金利差による利益と為替変動による利益の両方を狙う取引(キャリー取引)が活発になる。逆に人々がリスク回避的になると、この取引を手じまう動きが増えて円が買い戻される。つまり投資家がリスク選好的になると円建ての負債が膨らみ、円安が進行。リスク回避的になると円建ての負債が縮小し、円高が進むというパターンだ。

実際、人民元安と原油安を背景とする年初来のリスク回避局面で円が上がった。ただし問題がある。年初来の動きについては、キャリー取引の巻き戻しだけで説明することが無理になってきた点だ。投機筋のポジションはトータルとしてみると円の買い越しに転じたし、円買いの内訳も、買い戻しでなく新たな買いが主体になってきているからだ。

ヘッジファンドが利用するシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)・通貨先物取引のポジションを見てみよう。昨年12月29日時点で約1万7000枚の売り越しだった投機筋の円ポジション(対ドル)は、今年1月5日時点で約4100枚の買い越しに転じた。買越状態になるのは、日銀が2013年4月に量的・質的緩和(通称、異次元緩和)を開始してから初めて。12日に買越幅は約2万5000枚に拡大した。

12日までの2週間に合計約4万2000枚の円買いがあった計算になるが、重要なのはその買いの内訳だ。データを見ると、円売りポジションが約6万2000枚から約5万3000枚へと約9000枚減少した。売っていた円の買い戻しだ。一方円買いポジションは約4万5000枚から約7万8000枚へと約3万3000枚増加した。新規の円買いだ。後者の方がかなり多い。つまり年初に入ってからは、キャリー取引の巻き戻しより新たな円買いポジションの構築が主体となっている。これが「円の資産化」という言葉の意味である。

円のような超低金利通貨を資産として抱え込むことの意味がどこにあるのか。その点は検証が必要だが、投機筋の間には「リスク回避→円買い」といった条件反射的な取引も多いと言われる。

円高の裏側にあるのが単なる円売りポジションの解消であれば、その解消が終われば円高圧力も後退する。しかし、アセットとして円を積み上げる動きが広がるようなら、そうはいかないだけにやっかいだ。

■日銀、マイナス金利政策も選択肢に?

「円の資産化」がさらに広がるのかは予断を許さない。ただ仮にそうなれば円高圧力が一段と強まりそうなだけに、日銀としても看過しにくい。対抗策は何か。円の資産としての魅力を下げるための方策も選択肢になるかもしれない。日銀が当座預金の超過準備に付けている金利(付利、0.1%)をマイナスに引き下げることだ。

マイナス金利政策について日銀はかねて否定的だ。黒田東彦総裁は18日にも「(プラスの付利は)マネタリーベース(資金供給量)を円滑に供給することに資するもの」と指摘。「(付利引き下げは)検討していない」と述べた。とはいえ、円高がさらに進み、そのメカニズムも従来と異なる点がより明確になるなら、どうだろうか。18日時点では「検討していない」としても、今後判断を変える可能性もゼロではない。

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ドル一時116円割れ、原油安でリスク回避継続=NY市場

[ニューヨーク 20日 ロイター]
終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが対円で下落した。原油価格が約13年ぶりの安値圏に沈み米株式市場も急落、リスク回避の動きが強まるなかでドル/円は1年超ぶりとなる115.96円を付けた。その後は米株価の回復に伴って116円台後半に持ち直した。また原油安で資源国通貨が売られたことで、ドルの主要6通貨に対するドル指数は終盤0.1%高の水準となっている。

ドル/円は終盤の取引で0.6%安の116.94円。

テンパス・コンサルティング(ワシントン)の市場部門ディレクター、ジョン・ドイル氏は「世界株式市場が下落に原油市場が追随するなか、円が買われた」と説明、「米国の株式市場は崩れている。言わば修羅場だ。このため、安全資産とされる円が最大の受益者となっている」と述べた。

またケンブリッジ・グローバル・ペイメンツ(トロント)でFX戦略部門の責任者を務めるカール・シャモッタ氏も、多くの市場参加者は日銀が追加緩和策を打ち出すことはないと予想しており、今年110円近辺までドル安/円高が進む可能性も視野に入っていると指摘した。

そのうえで同氏は、「そうであれば今までとはかなり大きな転換だ。安倍首相が昨年展開したバズーカ砲の玉が切れてきたのは確かだと思う」との見方を示した。

この日発表された12月の米消費者物価指数(CPI)は、市場予想の横ばいに対して前月比0.1%の低下となった。インフレ率の伸びが米連邦準備理事会(FRB)の物価目標に届くには緩やかすぎるかもしれないばかりか、ドルも上昇しないことを示唆しており、これもドル/円の押し下げ要因となった。

原油安は資源国通貨の売りにつながり、豪ドル米ドルとニュージーランドドル/米ドルは、それぞれ0.98%と0.99%下げた。

その他ブラジルレアル、ノルウェークローネ、ロシアルーブルも対ドルで急落した。

一方カナダドルは、カナダ銀行(中央銀行、BOC)が政策金利を0.5%に据え置いたため一時100ポイントほど対ドルで上昇したが、その後は上昇分を相殺。ドル/カナダドルCAD=D4は終盤0.6%安の1.4485カナダドルで、13日間続いた上昇はいったん途切れた。

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15年中国GDPは25年ぶり低水準:識者はこうみる

東京 19日 ロイター]
2015年通年のGDP伸び率は前年比6.9%で、政府目標の7%前後に沿う内容となった。ただ、1990年以来25年ぶりの低水準となった。同時に発表された12月の鉱工業生産や小売売上高も市場予想に届かなかった。市場関係者のコメントは以下の通り。

中国招商証券(深セン)のエコノミスト、ZHANG YIPING氏>

第4・四半期のGDPの伸び鈍化には季節的な要因もあるが、最大の要因は伸びの鈍化がここ数カ月続いている不動産投資だと思う。2015年にとられた不動産に対する支援策の効果はまだ見られていない。

<コメルツ銀行(シンガポール)のアジア新興国市場担当シニアエコノミスト、チョウ・ハオ氏>

ヘッドラインの伸び率は堅調そうだが、内訳を見ると中国経済全体の低迷を示している。

中国経済の2016年成長率については、市場が6.5%前後とみているのに対し、われわれは6.3%と予想している。投資のさらなる鈍化が避けられない一方で、サービス産業に支えられ安定的に伸びている消費は中国経済が直面する「テールリスク」を低減するのに役立つだろう。

全体的には、中国が今後1年で「ガタガタ揺れる着陸(bumpy landing)」を経験するとみている。

レバレッジ解消を促すため、中国の金融政策は引き続き極めて緩和的になるだろう。中国人民銀行(中央銀行)は向こう数カ月以内に預金準備率を引き下げ、追加利下げを行う可能性がある。

<OCBC銀行(シンガポール)のエコノミスト、TOMMY XIE氏>

中国経済には安定化の兆しがやや見られるが、ファンダメンタルズの点では、力強さがまだ十分ではない。中国は過剰設備や高水準の企業債務など異なる種類の問題に直面している。こうした問題は成長見通しの重しとなり続ける可能性が高い。

中国人民銀行(中央銀行)は追加の緩和策を講じるだろう。ただ、追加利下げの余地は引き続き非常に限定的である可能性がある。

私は第1・四半期に利下げが1度あるとみている。商業銀行向けの預金準備率(RRR)については、複数回引き下げられる可能性を見込んでいる。

重要なのは通貨のボラティリティーで、これは中国にとって新たなリスクだ。人民元が下落を続ける場合、ボラティリティーと資金流出は悪い方向に向かい、中国経済が成長する上での課題をもたらす可能性が高い。

<GUODU SECURITIES(北京)のアナリスト、XIAO SHIJUN氏>

第4・四半期と2015年の国内総生産(GDP)の数字は予想と一致していた。そのため、市場はさほど反応しなかった。市場は、2016年も中国経済の減速が続き、成長率は6.5%近辺になると予想している。成長率が6.5%を大幅に割り込まない限り、株式市場にとって大きなマイナス要因にはならない。

<オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)香港のエコノミスト、LIU LI GANG氏>

財政および金融政策ではさらなる追加措置が講じられるだろうが、特に金融政策では大規模な追加策が保証されるとは思わない。

中国が借金状態にある点、デフレが景気減速を招いた点、今後数年は減速が続くという成長トレンドを伝統的な金融および財政政策によって変えるプロセスは非常に難しいことを警告したい。

今年の成長率は6.5%に鈍化し、17年は6.0%に一段と鈍化すると予想している。この間、中国政府は国内企業セクターと地方政府セクターにおける借り入れの問題を解消することで改革を加速させる必要がある。

<オックスフォード・エコノミクス(香港)のアジアエコノミスト、LOUIS KUIJS氏>

少なくとも、株式市場の大混乱時に浮上した実体経済めぐる懸念は行き過ぎだったと思う。

今回発表されたような数字は、実体経済について特に取り立てて言うべきことがないことを示唆している。不動産部門の低迷が経済全体を圧迫し、2016年も成長は鈍化する。

景気が突然減速したり、経済が6週間前に想定していたよりも悪い状況になるという兆候はみられない。

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2016年に忍び寄る「ドル高変曲点」

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/230160/121800008/

2016年を迎え、市場は新たなリスク要因の吟味を始めようとしている。一般論としては、昨年遂に利上げに踏み切った米国がどこまで金利を引き上げるのか、に注目が集まりそうだが、筆者自身はこの点をそれほど警戒していない。FRBが目論むような今年4回の利上げはまず無理筋だ、と思っているからだ。

既に何度か指摘したように、米国のコア・インフレ率や期待インフレ率の足取りは重く、雇用が改善中だからといって、何度も利上げする必要がある状況ではない。米国の金融市場も、せいぜい今年の利上げは2回程度と踏んでいる。筆者も同様に、来る3月に2回目の利上げを行った後、大統領選挙までにもう1回利上げ出来れば御の字だ、と考えている。

勿論、米国にインフレ基調が戻ってくる可能性はゼロではなく、それをリスク・シナリオとして捉えておく必要はあるだろう。そうなれば長期金利は急上昇し、株価は急落し、ドルは一段高となる。だが「インフレの死」を告げる昨今の世界経済構造において、その確率は相当に低いように思われる。むしろ2016年に注目すべき点は、中国の人民元と原油価格のリスク・シナリオだろう。

厄介な存在になりそうな不透明材料

2015年の国際資本市場では、大きなセンチメント変化が三つあった。一つ目は、中国経済の成長モデルの限界が明らかになったことである。上海株の暴落や人民元の急落は、過去何年にもわたって中国に対して指摘されてきた警報が「オオカミ少年の警告」ではなかったことを証明した。今年も成長率鈍化の傾向は変わらず、市場リスクの筆頭に位置することは誰にも異論はないだろう。

二つ目は、原油価格の長期低迷である。昨年初の時点では、年末には70ドル近辺まで相場が戻るとの見方が大勢であったが、実際にはその半分の水準での越年となった。サウジが戦略を大胆に転換しない限り、この低水準が急速に切り上がる可能性は乏しいだろう。

そして三つ目がジャンク債などクレジット市場の心理悪化である。これも昨年前半までは、エネルギー・セクターに限定された売りであったが、それが徐々に他産業へと拡大し、ジャンク債全体の利回りを大幅に押し上げてしまった。そして昨年12月には、幾つかのクレジット・ファンドが清算を余儀なくされている。

市場には、このジャンク債の動揺に2007年の「パリバ・ショック」を思い浮かべる人もいる。当時、サブプライム・ローン関連の証券化商品に投資していたフランス大手銀行のBNPパリバの傘下にあったファンドが、投資家からの解約を凍結すると発表して市場に激震が走り、その後の金融危機の序曲となった事件である。

今回はジャンク債が対象であり、サブプライム・ローンとは異なるが、同じ「クレジット市場」の仲間での現象であり、類似性は確かに高い。金融危機の引き金を引くのは株価の急落ではなくクレジット市場の崩壊である。利上げ時期と重なったこともあり、嫌な雰囲気が醸成されていることは否めない。

但し、前回と違うのは金融システムにおけるレバレッジの水準が低いことである。仮にレバレッジの問題が深刻でなければ、悪影響の波及も限定的である。損失を被る投資家は間違いなく存在するが、ジャンク債市場はいわゆる「リプライシング」という一段の価格調整で収束するのではないかと思っている。

それに比べれば、人民元と原油という二つの不透明材料は、昨年以上に厄介な存在になるかもしれない。ブラジルやロシア、インドネシアなど新興国問題もまだ燻ったままである。それらの材料が、我々にとって気になるドル円や株価動向などに意外な影響を及ぼす可能性は小さくない。

中国経済に関してはほぼ世界中が「景気減速」を織り込んでおり、特に目新しい話題がある訳ではないが、資本流出や人民元の相場動向に関しては不透明感が強い。昨年8月に中国人民銀行が予想外の人民元切り下げを発表したことで世界の市場が動揺し、FRBは9月の利上げ断念に追い込まれたことは記憶に新しいが、今年もそんなサプライズが無いとは言えまい。

為替市場では昨年秋に習主席が「8月と同じような切り下げは二度とやらない」と公言して相場が安定したことで、相場は落ち着きを見せている。だが低迷する中国経済と割高な人民元相場とを並べてみれば、更なる切り下げ以外の答えは出てこない。

中国からの資本流出と人民元のじり安傾向は、依然として継続中だ。後者に関しては、オフショア人民元の下落につられるように、人民銀行が設定する基準値も既に8月の安値を通り越して約4年半ぶりの水準に低下している。中国政府の本音も一段の人民元安にあることは明らかだが、政府や人民銀行がそれを認めれば、収拾のつかない通貨急落を招きかねない。

市場混乱は是非とも避けねばならない。だが割高な通貨を放置する訳にもいかない。各国や市場が認める形で人民元安を進めるにはどうすればよいか、と考えて出てきたのが、ドルではなく通貨バスケットを参照する、という案である。

人民元の二面作戦

市場は通常、人民元を対ドル相場で見ている。昨年8月の人民元急落も、対ドルの実勢相場に基準値を近付けるという作業の中で起きたものだ。だが人民銀行は「ドルではなく通貨バスケットとの対比で通貨の適正価値を判断する」という手法に転換しようとしている。

人民元は対ドルでやや低下しているが、通貨バスケットとの参照においては多少ながら上昇していると言える。従って、適正水準に戻すためには人民元の一層の下落が必要だ、と正当化することが出来るのである。つまり人民銀行は、人民元に切り下げ余地があることを世界にアピールし、通貨切り下げの贖宥状を受けようとしているのだろう。

もっとも、中国が通貨バスケットに言及するのはこれが初めてではない。2005年7月に米ドルとの固定相場制から管理フロートに移行した際、ドルや円、ユーロ、ウォンなどに7通貨を加えた11通貨のバスケットに対して相場水準を設定する方法に切り替える、と発表した。だがその詳細は発表されないまま、今日まで事実上の対ドル管理相場が採用されている。恐らく対外的には通貨バスケットを強調しつつ、対内的には対ドルでの相場が参照され続けるものと推測される。

こうした二面作戦がうまくいくのか、保証はない。いずれにせよ人民銀行と投機筋との駆け引きが続くことになるだろうが、悲願の「SDR採用」を果たした中国が、以前のように派手な介入策を採ることも難しいだろう。従って、人民元が対ドルで7.0超えといった水準にまで急落するリスクは存在する。人民元急落懸念は市場のリスクオフを生み、株価急落や円急上昇といった副次的な作用をもたらす可能性は高い。

一方の原油市場に関しては、ゴールドマン・サックスなどが1バレル20ドル台までの下落を予想するなど、先安観が根強い。昨年末にWTI市場では期近物が34ドル台まで低下、ブレントは7年ぶりに36ドル台にまで下落した。ドバイ原油は11年ぶりとなる33ドル台を付けている。

ブルームバーグに拠れば、メキシコ原油は既に28ドル台で取引されており、イラクのアジア向けバスラ重油は25ドル台という超安値が観測されている、という。もはや世界中で原油生産は採算割れの状況だ。だがサウジやイラクの増産体制だけでなく、今年は制裁解除でイランによる輸出増が見込まれており、供給過剰感は強まるばかりである。

ファンド勢の原油先物市場における空売りポジションは、過去最高水準にまで積み上がっているが、先安観から新たなショート積み上げに向かう投機筋も居るようだ。確かに産油国が価格や需要水準を無視した生産を続ける限り、原油価格下落を止める力はない。

こうした原油市場への警戒感にさほどサプライズは無さそうに見えるが、リスク・シナリオがあるとすれば、何らかの材料で起きる投機筋のパニック的な買い戻しであろう。原油も株価や為替と同様にオーバーシュートした後、どこかで急反転する傾向がある。それが来年中に起きないとは言えない。

因みに原油市場のセンチメントをよりよく示すと言われる長期先物水準を眺めると、ブレント3年先物水準は既に2009年当時を下回っている。世界経済は現在も多々問題は抱えているが、底割れすら懸念された2009年とは比べ物にならない。それは、投機筋の弱気度がやや過剰になっている可能性を示唆しているようにも見える。買い戻しの契機となる一つの可能性があるとすれば、サウジアラビアの戦略転換だろう。

サウジアラビアとロシアに共通する「思い」

IMFに拠れば、サウジアラビアの財政収支が均衡する原油価格の水準は、今年86ドルと推定されている。昨年の財政赤字はGDP比20%に達しており、歳出削減が進めにくい経済構造を考えれば、今年も同程度の赤字が続くことは避けられまい。同国は昨年8年ぶりとなる国債を発行、今年は史上初の外債を発行する予定である。また財政穴埋めのための資産取り崩しも行っており、米国債だけでなく日本株を含む先進国優良株の処分を始めている。

同国の公的債務はGDP比7%程度に過ぎず、長期戦には耐えられるとの計算のようだが、いくら体力に余裕があるとはいえ、40ドル台の水準を長期間放置する訳にもいかない。財政均衡水準が100ドルを超えるリビア、アルジェリア、バーレーンなどからは悲鳴が上がっている。

原油シェア死守を御旗に掲げるサウジも、生産調整に関して関心が無い訳ではない。先月のOPEC総会では生産目標で合意出来なかったが、それはOPEC外の生産増ペースが落ちないために、自分たちだけで調整しても意味がないからだ。OPECは既に価格維持機能を失っているのである。

そこでサウジは水面下でロシアにOPEC参加を促している、とも言われている。中東情勢に関しては、シリアのアサド政権を支持するロシアと、同政権崩壊を願うサウジとは対立中であるが、原油に関しては市場支配力を回復させて価格を採算コストまで早期に戻したい、という共通の思いがある。

ロシアのオレシュキン財務副大臣は「我々は2022年まで1バレル40ドルでの財政計画策定に着手した」と述べて、低価格の長期化にロシアが十分耐え得ることをアピールしている。ルーブル安も救いである。それは減産合意出来ないOPECに対する挑戦状のようにも見えるが、ロシアの財政状況がかなり疲弊していることも明らかである。

ロシアの財政赤字はGDP比4%程度に拡大する見通しで、サウジに比べれば低水準だが、依然として欧米市場での資金調達は困難であり、石油基金も来年末には底を突くとの見方もある。サウジとロシアの消耗戦に、勝者は居ないのかもしれない。となれば両者がどこかで妥協する可能性もゼロではあるまい。

サウジの早期戦略転換は無い、と確信する市場にパニック的な買い戻しが起きれば、原油価格の急反転は世界的金融緩和の終焉を想起させ、市場にはリスクオフの嵐が吹き荒れる。確率は低そうだが、それが原油に関するリスク・シナリオと見て良いだろう。

ドル円急落のリスクも

そんな外部環境を想定しながら日本市場を見渡せば、メイン・シナリオである「日銀による追加緩和政策への期待、円安地合いの継続、日経平均の上昇基調維持」といったムードも、時々水を差されることになるだろう。

日銀は、いずれ衆参ダブル選挙を目指す官邸からの圧力で追加緩和に踏み切る可能性が高そうだが、それが円安・株高基調を維持する力が残っているかどうか、筆者はやや疑問視している。昨年12月の補完措置は、日銀のコミュニケーション力を大きく低下させてしまったようにも見える。

まず米国では、FRBは3月に利上げした後、暫く様子見を強いられる可能性が高い。インフレ期待が上昇しない中、景気のもたつき感が出始める可能性があるからだ。そして大統領選を控えて、何か問題が起きれば政治家は必ず利上げを悪者にして、利上げにブレーキを掛けようとするだろう。

それは、ドルの上昇力を殺ぐことになる。過去のパターンから見てもドルは利上げ開始後3か月程度でピークを打つケースが多い。ドル円も125円程度を天井に、春あたりから徐々に下値を切り下げていくものと思われる。115円近辺までの下落はもはや想定内だろう。

問題は、それ以上のドル円の下落即ち円高が有り得るかどうかであり、上述した人民元と原油のリスク・シナリオがそこに関わってくる。仮に人民元急落といった場面が来れば、リスクオフの嵐にドル円が100円近くまで急落するかもしれない。中国不安は日本売り材料だから円安だとの見方もあろうが、「リスクオフの円買い」という公式はまだ健在だ。人民元安が最終的に中国経済回復への材料となれば、日本買いにも説明が付く。

また原油が急反発すれば、日銀の追加緩和シナリオは霞んでしまう。それは、2012年末以来の円安・株高モードの終焉を意味する。日本経済がそれで腰折れするとは思えないが、永続的な緩和期待で浮ついている市場には冷水が浴びせられるだろう。

誤解しないで頂きたいが、人民元急落も原油急反発も飽くまで「リスク・シナリオ」でしかない。今年こそはメイン・シナリオ通りに平穏に過ごせるかもしれない。だが、コンセンサスが外れ気味の昨今の市場では、こうした材料をひとまず頭の隅に置いておいても損はあるまい。

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コラム:ドル円を動かす「隠れた要因」

山口曜一郎三井住友銀行 ヘッド・オブ・リサーチ

東京 6日]
2016年の為替市場は、ドル円がいきなり120円を割れる波乱のスタートとなった。今年の相場環境を端的に表すと、「変数が多くコンセンサスがない」状況と言える。

米景気と利上げのペース、日欧の緩和姿勢、商品価格、中国経済、テロ、中東情勢、欧州政治など変数が多い中、様々な要因で相場が振れる。また、ドル円でいうと130円の見通しもあれば110円の見通しもあるというように、コンセンサスがないため、相場が動いた場合に一方向に傾く可能性がある。4日のマーケットは上記のうち中国や中東を手がかりとして相場が振れた。

そのような中、筆者は今なお、いったんは再びドル高円安の展開が見られるのではないかと考えている。年前半は堅調な米経済指標の発表を受けて3月の追加利上げ観測が高まり、日米の金利差や金融政策の方向性の違いからドル円は127円レベルまで上昇するだろう。

しかし、年央以降は、米金利上昇とドル高が米経済に与える負の影響、2009年6月から続いてきた循環的米景気拡大の緩やかなピークアウト、新興国経済減速のラグ(時間差)をおいた米国に対する影響から123円程度までドルが売り戻される展開を予想している。

<雇用者報酬と企業利益、株価にポジティブな配分とは>

今回は、これらに加えてもう1つ、マーケットにじわじわと影響を与えそうな「隠れた要因」を取り上げたい。それは、緩やかな成長の中での所得分配というテーマだ。

筆者は、金融市場の見通しを考える際に、様々な経済活動の前提条件やシナリオを考えるが、多種多様なマーケットの声に耳を傾けていると、不思議なことに気付く。それは、米国を中心とした先進国の成長見通しの中で、賃金の伸びが一段と加速するというシナリオと、企業利益が一段と増加するというシナリオが併存しているということだ。

もちろん、高い経済成長率が予想されている環境ならば両立は可能だが、2016年の国内総生産(GDP)成長率予想は、米国が2%台の前半から半ば、世界全体でも3%台の前半から半ば程度だ。そのような緩やかな成長率の中で、賃金上昇が加速し、企業利益が一段と増加するということは望めず、少なくともどちらかのシナリオは実現しない。そのことが明らかとなってくる過程で市場の楽観が後退する展開があると見る。以下、この点を説明するために、簡単なシミュレーションをしてみたい。

経済成長と所得分配が抱える課題は先進国に共通のものだが、米国のデータが速報性と利便性に優れているため、ここでは米国を例に、できるだけ単純化して話を進める。

まず、経済成長率の前提として、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合時に発表された2016年の経済見通しを用いると、実質GDP成長率は前年比プラス2.4%、インフレは前年比プラス1.6%となっており、名目成長率はおおよそ4.0%ということになる。

ここで、議論を分かりやすくするため、GDPの代わりに国民所得を用いて説明したい。国民所得が雇用者報酬と企業所得に分けられるとすると、4%の成長をどう分配するかが論点となる。

そこで、2つのケースを考えてみたい。なお、足元の米国の労働分配率は67%であり、これは国民所得のうち67%を賃金・給与などの雇用者報酬が占めることを意味する。ちなみに、1990年代前半の労働分配率は約73%、2000年代前半は約71%だった。

まずは、賃金上昇率が年3.0%程度あり、雇用者数が同1.5%増加(年210万人増)することで、雇用者報酬が4.5%増加するケースだ。ここ数年の中ではかなり労働者に厚い分配となる半面、企業所得の伸びは3.0%にとどまる。この場合、労働報酬には問題がなくても、企業所得が3%しか伸びないようでは株式市場が失望する公算が大きい。

過去のGDP統計における企業利益の伸び率とS&P500指数の1株当たり利益(EPS)の関係を考えると、EPS伸び率は3.6―4.7%程度にとどまる可能性がある。前年比7%前後の増益を期待しているマーケットは失望するだろう。

一方、賃金上昇率が年2.5%程度で、雇用者数が同0.5%の伸び(年70万人増)にとどまった場合、雇用者報酬の伸び率は3.0%、企業利益の伸びは6.0%となる。こうなれば、S&P500のEPS伸び率は6.6―7.7%が期待でき、株価にはポジティブ要因となるだろう。

ただし、その場合、労働者の取り分が成長対比で少なくなることから、翌年以降の消費・投資需要の下方圧力となる。このことは、ここ最近話題になりがちな、経済がまずまずのスピードで成長しているにもかかわらず、なぜ需要が高まらないのかという疑問への1つの答えとなる。

成長分の多くが企業に分配され、労働者の取り分が少ないと、労働分配率は低下を続け、家計の消費需要やそれに伴う企業の投資需要は高まらず、一方で企業には厚い内部留保が残る。別の言い方をすれば、各企業が増収の中でも人件費を厳しく管理してきた結果、高い増益率を維持できている一方、従業員の給与が抑えられているため消費需要が高まらないという構図である。

もちろん、企業はリスクを取ってリターンを追及しており、投資効率を重視していることから、企業利益の伸びが雇用者報酬の伸びを上回ることは当然だ。もし名目成長率が5%もあれば、労働報酬の伸び率が4.5%かつ企業所得の伸び率が6.5%という、比較的バランスのとれた配分の実現が可能だろう。しかし、4%程度の成長で企業が多くの取り分を要求すると分配に歪みが生じる。世の中の仕組みは企業利益の確保に傾きがちだ。

緩やかな成長の中での所得分配というテーマは、経済指標や金融政策イベントのように即時的なインパクトを市場に与えるものではないが、マーケットの価格形成にじわじわと影響を及ぼすと考える。あちらを立てればこちらが立たずで、労働分配に重きが置かれれば株価は上がらず、企業所得に重きを置き過ぎれば先行きの成長の源泉を損なうだろう。

では、この問題のドル円相場に対するインプリケーションは何か。株価が上がらないようだとリスクオン・モードの後退からドルに下押し圧力がかかる可能性がある。一方、労働分配が抑制されれば消費も投資も伸びず、経済成長への期待が後退することから、やはりドルには下押し圧力がかかるだろう。つまり、どちらが露呈してもドル売り円買いの動きにつながりやすい。

上記で触れた様々な要因から、ドル円相場は年前半に上昇するものの、年央以降は上値が抑えられるだろう。ターニングポイントは年央と見ているが、変動要因の出現が予想よりも早まれば、その分、転換点は早くやって来ることになり、ドル円のピークの水準も低いものにとどまる。

この点については柔軟に構えておく必要がありそうだ。足元の動きを勘案すると、すでにピークはやって来てしまったという見方も出てくるかもしれないが、現時点ではまだドル高円安のトレンドは終わっていないと考える。8日の米雇用統計はドル高回帰に対する試金石となるだろう。

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