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コラム:来年のドル円、米利上げ後の手掛かり

唐鎌大輔みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト

東京 17日]
過去2年以上にわたり相場のテーマだった米初回利上げに決着がつき、2016年のドル円相場見通しを作る上では「新たな手掛かり」が必要な局面に入りつつある。この点、実質実効為替相場(REER)などの長期尺度から現状の立ち位置を見つめ直すことは有益なヒントになる。

15年通年で見た場合のドル円相場は、値幅で言えば変動相場制移行後の最小値幅に収まっており、方向感に欠ける地合いが続いた。だが、ドル相場、円相場をREERから見た場合、ドル高・円安ともに「相応の水準」に至っていることが分かる。

例えば、米連邦準備理事会(FRB)公表のREERで見た場合、足元のドル高相場はFRBによる「孤高の金融正常化」によって運用難となった世界の資金が集中した結果、14年6月以降の約1年半で16%程度上昇している。ラフなイメージだが、1年で10%ポイント程度の上昇ペースであり、過去のドル高局面と比べても性急さを覚える。

かつてルービン米財務長官(任期1995―99年)を擁した米国は、「強いドルは国益」との掛け声の下でドル高政策を志向した。95年から02年の7年間で見れば、ドルのREERは30%程度も上昇した。1年でおおむね4%ポイントの上昇だ。

また、それ以前にはカーター政権のドル防衛策やボルカーFRBの連続利上げに加え、イラン革命や旧ソ連のアフガニスタン侵攻など「有事のドル買い」も重なってドル相場が急騰するという時代もあった。結局、このドル高は85年のプラザ合意で終止符が打たれたが、78―85年の約7年間でREERは約21%上昇した。1年で3%ポイント程度の上昇である。

今回のドル高局面は、この78―85年や95―02年と比較すれば、期間こそまだ短いものの、「上昇の角度」では当時より鋭角的との見方もできる。

<72年以来の円安水準に、米国のドル高許容は続くか>

だが、「強いドルは国益」との掛け声の下、通貨高志向をあらわにし、IT革命の下で生産性改善の恩恵に浴していた95―02年のように、今の米経済がドル高を受容できる態勢にあると言えるだろうか。

例えば米財務省の為替政策報告書における表現は、昨年10月、今年4月、10月と時を追うごとにドル高に対する余裕が明らかに後退している。「強いドルは国益」と言ってのけるほどの余裕は感じられない。

各種計数にもドル高の悪影響がにじみ出ている。6年ぶりの最終減益が予想されている米7―9月期決算、リセッションの真っ只中だった09年6月以来の低水準を記録した米11月ISM製造業景気指数、12年10月以来の低水準を記録した米10月輸出金額(季節調整済み)など、ドル高が米景気の重しとなっている兆候は確かにある。

「9年半ぶりの利上げ」がもたらす副作用も確実に浸透し始めている。だが、足元ではそれを警戒するムードがあまりにも薄い。すでに米景気の拡大局面が歴史的に見ても相当な長期間に及んでいることなども踏まえれば、そろそろ雇用回復が成熟化しても不思議ではない。こうした状況下、実体経済への負担を踏まえ、16年の米通貨政策におけるドル高への懸念は強まることはあっても弱まることはないというのが筆者の想定である。

一方、同様に日銀公表のREERから円相場を評価すると72年並みの水準まで円安が進んでいる。1ドル=300円台の時代と同程度のREERであることが現状で適切かどうかという議論は脇に置くが、少なくともREERが長期平均から乖(かい)離し続けることはないとの前提は理論的には尊重される。

この点、今年6月10日に黒田日銀総裁が「ここからさらに実質実効為替レートが円安に振れるということはなかなかありそうにない」と述べ、当時の実勢相場である125円が黒田ラインなどと呼ばれることになった経緯は記憶に新しい(答弁の動画を見る限り、それが当人の本意だったとは思えないが)。

上述したような過去のドル高局面でも当然円安は進んでいたが、REERがプラザ合意以前までさかのぼるほどの円安水準になることはなかった。現状は史上稀に見る円安水準にあると言っても過言ではない。

このように、REERに代表される、いわゆる物価を加味した長期の尺度に照らすと、ドル高ないし円安に過剰感が生じ始めている印象は強い。その両者の通貨ペアであるドル円相場の続伸を予想するのはかなり勇気がいるように思えてくる。

少なくとも、変動為替相場制を敷く以上、REERが一方向に振れたまま調整しないという状況は持続し難い。転機が16年に訪れるかどうかは議論があるにせよ、「反転のタイミング」は検討して然るべき時期に差し掛かっているのではないだろうか。

なお、REERや購買力平価(PPP)のような物価関連の尺度は長期的な動きを説明するものであって市場予測には有用ではないという声も聞く。確かに一理あるが、「長期的な尺度だから使えない(使わない)」というのであれば、一体いつ使うのか。

むろん行き過ぎかどうかのポイントは事後的にしか正解が分からないが、現在のドルないし円のREERが歴史的に見て、あまりに一方向へ振れているのは事実だ。このような状況を前に節目の到来を警戒すらしないのは分析態度としては適当ではないだろう。

<円安加速あるいは想定以上の円高シフトは起こるか>

もちろん、円高・ドル安方向をメインシナリオに据えるにしても、リスクシナリオはある。

16年も引き続き円安・ドル高となるリスクとしては何が考えられるか。第1に、最も大きなリスクとして米経済が予想外に底堅く、FRBの正常化プロセスも想定以上にうまくいくという展開が考えられる。その場合、順当にドル高相場が続き、ドル円相場も5年連続の円安を目指すことになる(15年がこのまま年初対比で円安・ドル高で引ける、という前提)。

だが、すでに述べたように、ドル高局面は相当長く、しかも速いものになっている。連続的な利上げとそれに応じた堅調な景気回復というセットは今後両立が難しくなると考えるのが無難だろう。

第2に、日銀が追加緩和を行うという可能性は残る。これは、16年7月の参院選を前に株価を下支えしたいという政治的配慮が、家計部門の実質所得を回復させたいという政治的配慮に勝るという展開である。しかし、携帯電話料金や、消費増税に伴う軽減税率導入をめぐる議論などを見る限り、政府・与党が積極的に今以上の円安・物価高を許容する展開は見通しづらい。

一方、メインシナリオで想定する以上に円高・ドル安になるリスクとしては、米経済の好循環が終焉を迎え、金融政策が正常化どころか追加緩和、例えば量的緩和第4弾(QE4)などに向かうような展開が考えられる。この場合、いかなる日本側の政策運営にもかかわらず、円高・ドル安の流れが作られてしまうだろう。

上述したように、REERで見れば行き過ぎた円安となっている疑いは根強く、本格的な調整が訪れた場合の震度はかなり大きくなる可能性もある。

なお、日銀の量的質的緩和が巻き戻される展開なども円高・ドル安の値動きを引き起こすリスクとして注目されるが、消費増税を控えた16年中にそのようなことが起きるとは思えない。

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円安限界論、増益鈍れば2016年株高シナリオに黄信号-還元重要も

(ブルームバーグ):
利上げ秒読みの米国、異次元緩和を続ける日本との金融政策差から為替市場でドル高・円安が進みやすい状況にもかかわらず、ドル・円はことしの円安値を抜け切れない。過去3年余りで50円近く円安が進行、6月に1ドル=125円を付けた際には要人のけん制発言もあり、投資家の間では円安限界論が芽生えつつある。日本企業の増益率が鈍れば、2016年の株高シナリオに黄信号がともる。

日経平均株価構成銘柄で通期業績計画を公表する企業の15年度想定為替レートは1ドル=119.76円、実勢との乖離(かいり)は12年12月の第2次安倍政権誕生後で最小となっている。ブルームバーグがまとめた市場関係者のドル・円予想は、来年4-6月期、10-12月期時点でともに1ドル=125円、17年は123円を見込む。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの三沢淳一チーフファンドマネジャーは、「来期の企業業績をみる上で、為替で下駄を履くことは期待しない方がいい」とし、円安が進んでも、「1ドル=125円くらいまでがいいところ」とみている。

ドル・円は6月に1ドル=125円86銭と、13年ぶりのドル高・円安水準に振れた。安倍政権のデフレ脱却方針と日本銀行の大規模金融緩和を材料に、12年秋の1ドル=77円台から13年末には105円台となり、停滞を経て、日銀が追加緩和を行った昨年10月以降に円安の勢いが加速した。過去3年の円の年間下落率は12年が13%、13年が21%、14年が14%、ことしは2日午後5時時点で2.7%にとどまる。

125円台に乗せた6月、日銀の黒田東彦総裁は国会答弁で「実質実効為替レートでみると、円安になっているのは事実」とし、「ここからさらに円安はありそうにない」と発言した。3年以上にわたる円安は、自動車や電機など輸出セクターを中心に日本企業の収益を押し上げた半面、ドル高は米国グローバル企業の足かせとなっている。米供給管理協会(ISM)による11月の製造業景況指数は、エネルギーや輸出関連業界の減速で09年6月以来の低水準だった。

主要企業15年度は11%増益予想、来期5.6%増に

大和証券によると、主要上場企業(大和210ベース)の15年度経常増益率は11.2%の見通し、16年度は5.6%の予想だ。13年度は38.5%、14年度は4%。今期の為替前提を1ドル=118円とするトヨタ自動車の場合、第2四半期(7-9月期)営業利益は前年同期比17%増の1兆5834億円で、為替変動の効果は3050億円だった。

シティグループ証券の調べでは、為替が1%変動する際の企業の利益変動率は0.54%。7-9月期経常利益は前年同期比13.4%、うち約8ポイントは円安効果だった。原油安の影響も考慮すると、実力ベースの増益率は4-5%程度と分析する。飯塚尚己チーフストラテジストは、「今の為替水準を前提にすると、円安による底上げ効果は10-12月期に4-5%に縮小し、来年1-3月期はほぼゼロになる。1株利益も同じようになるのが自然」と言う。

財務省公表の法人企業統計調査によれば、14年度全産業の経常利益は64.6兆円と5年連続で増え、2年連続で過去最高を更新した。今年度も上期時点で35.5兆円に達し、記録更新の可能性がある。三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる経常増益率の要因分析では、10-12年度は限界利益率の向上、人件費抑制の効果が大きく、13、14年度は売上高の増加が寄与度でトップ。13年度は消費税率引き上げ前の駆け込み需要、円安による輸出増から3年ぶりに増収となった。14年度は円安のほか、建設や卸売業の伸びが増収に寄与する一方、原燃料価格の下落が人件費の増加などを吸収し、限界利益率は3年ぶりに上昇した。

原油安恩恵も減退へ

新興国経済の減速を受けた需要停滞とシェールオイルブームなどによる供給超過への懸念が重なり、ニューヨーク原油先物は1バレル=100ドル台にあった昨年夏以降、大きく下落した。ことし11月は月間ベースでは7月以降で最大の値下がりとなり、1年前との比較では37%値下がりした。一方、供給超過は解消に向かうとの見方から、ブルームバーグがまとめた16年末の市場予想値では1バレル=53.50ドルと想定されている。

来期にかけ原油価格が低位安定するとみるシティG証の飯塚氏は、「来年後半には前年比での押し上げ効果はなくなり、仮に緩やかに上昇すれば、1株利益の伸びをドラッグ(引き下げ)する理由になる」と指摘した。同証では16年3月期の経常増益率を9.9%、17年3月期を4.9%と試算。今期増益率に対する原油安の寄与率は6ポイントとみている。

ファイブスター投信投資顧問の大木昌光運用部長は、今年度の増益見通しは「資源安でコストが安くなるという奇跡的なことが起こったため。一方で資源関連企業の業績は悪く、もろ手を挙げて良いと言える増益ではない」と話す。

ポスト円安・原油安は株主還元か

日経平均は12年に23%上昇、13年は57%上昇し、円安は株高に大きく寄与した。14年の上昇率は7.1%と縮小したが、月別でみると1-4月の下落後に反転しており、4月の消費税率引き上げがマイナスとなった半面、年後半の円安や原油安がプラスに作用した。15年は2日時点で14%上昇、東証1部33業種の年初来の上昇率上位には小売や医薬品、食料品が並ぶ。円安恩恵業種が伸び悩み、訪日観光ブームによるインバウンド消費の恩恵業種が好調だ。

アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの寺尾和之チーフ・インベストメント・オフィサーは、16年の日本株について「全体的に業績は伸びなくなっている中、相対的に株主還元が重要になる。利益率の改善や株主還元をやる会社に物色はシフトしていく」と予想した。三井住友トラストアセットの三沢氏も、「日本企業の利益体質がどこまで改善しているのかが試される。年後半には、株主還元の動きが出てくる」と読む。

11月中旬に欧州の機関投資家を訪問したシティG証の飯塚氏は、「1株利益成長の持続性について多く聞かれた」という。法人実効税率引き下げの可能性やコーポレートガバナンス(企業統治)改革の流れから、来期も日本の1株利益の伸びは主要市場をアウトパフォームするとみているが、半年前との比較では楽観ムードが後退したと受け止めている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の芳賀沼千里チーフストラテジストは、今年度の業績改善は非製造業がけん引し、円安は複数の増益要因の1つに過ぎず、「円安・ドル高が株価上昇の必須条件ではない」と指摘した。円安観測の後退は、為替ロスへの警戒で日本株をアンダーウエートとしていたグローバルファンドが組み入れを高める可能性があり、「2016年は日本株の為替離れの年」とみている。

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1ドル102円台の「円高時代」がやって来る?

http://toyokeizai.net/articles/-/96651

江守 哲 :エモリキャピタルマネジメント代表取締役

世界中の市場関係者が注目するFOMC(米・連邦公開市場委員会)が目前に迫っている。この一大イベントをきっかけに、世界の市場はどのように動くのか?市場関係者はさまざまな思いを抱きながら、その日が来るのを待っている。

しかし、先週末の株式市場や為替市場の動向を見る限り、投資家はリスク回避の方向に向かっているようだ。この動きがFOMC後も続くのか、その場合にはどのような投資行動が賢明なのか。ここ数年間続いていた市場トレンドの転換点になる可能性もあり、投資判断には慎重さと大胆さが必要に思われる。

過去3回の利上げでは、利上げ後「円高」に振れた

12月15~16日に開催されるFOMC(結果が出るのは日本時間の17日未明)では、2004年以来の利上げが実施されるとの見方が支配的だ。直近の市場予想でも約8割の確率で利上げが実施されるとされており、利上げは確定的とみてよいだろう。

直近では金融市場が少し不安定な動きになっているが、9月に利上げを見送った際の理由となった中国の株式市場の混乱や景気鈍化懸念は見られない。つまり当時ほど市場が混乱しているわけではない。そのためイエレンFRB議長が「年内利上げが妥当」と言い続けてきた通り、“予定通り”の利上げが実施されるだろう。

では、その場合、市場はどのような動きになるのだろうか?利上げとなれば、金利が上昇することになる。金利が高くなれば、その通貨は買われると考えるのが一般的だ。しかし、実際にはそのようにはならないのが市場である。

実際、ドルは利上げ観測を反映する形で、この1年半で大幅に上昇している。つまり、今回の利上げを織り込んで、かなり早い段階で上昇していた。そのため、利上げがむしろドルのピークを確認する材料となり、そこから徐々にドルが下げていくといった、普通では考えられないことが起きるのである。

「そんなことはないだろう」と思われるが、直近3回の米利上げ局面でのドル/円相場は、約1年間で平均23.5円も円高に進んでいる。今回の利上げ前のドル/円の高値を1ドル=123.50円とすれば、約1年間で100円近くまで円高が進む計算になる。

利上げ時はドル高織り込み完了、反転は16年6月?

この動きを見るだけでも十分に驚きなのだが、さらに驚くのは、米国が利上げを開始し、徐々に金利を引き上げていく中、日本では金融緩和政策がとられていたことである。「米国は利上げ、日本は緩和策」となれば、ドル高・円安が急激に進むと考えるのが自然だろう。

しかし、実際の動きは前述の通りである。市場は想定される事象を織り込みながら変動し、実際にその事象が顕在化した際には織り込み完了となり、それをきっかけに反対の方に動く習性がある。

まさに「噂で買って、真実で売る」である。このような動きになるとすれば、円高基調が相当進むことになり、日本株にはかなりネガティブな材料になるといわざるを得ない。

その動きはすでに見られ始めているともいえる。投資家は、このようなロジックを事前に十分に理解した上で、投資判断を行うのがよいだろう。そうすれば、市場動向に振り回されることもないはずである。これは、株式市場でも同様である。

5月が輸出関連株の投資タイミングか

米利上げの最初の市場のリアクションとしては、筆者はやはり「売り」だと考える。利上げを前後して、株価はいったん調整するのが「株式市場のセオリー」である。このセオリーを知らないと、今回のような株価急落に巻き込まれることになるのである。

では、今後の株価動向について、どのように考えるべきだろうか。全体像としては、「2016年の5月までは慎重姿勢、6月以降は積極姿勢」となるだろう。

これまで日本株は米利上げにより、平均的に6~8%程度下落している。この下落をこなした後は、上手くいけば、2016年3月中には反発に転じる可能性がある。長引いても半年、つまり、16年5月末ごろには底打ちするとの期待が持てる。

そこまでにドル安・円高が一気に進めば、そこで株価とドルの底値を確認し、16年末に向けて上昇に向かうことになろう。これが、まさに米利上げ時におけるセオリーを基にした、客観的な相場観である。

具体的には、円高が最大で102円程度にまで下落するにつれて、日経平均株価は利上げ開始時の水準を1万8500円とした場合、最大8%下の1万7000円程度にまで下落することになる。この間の投資戦略は、円高を背景に内需・ディフェンシブ銘柄が中心となろう。

しかし、その後はドル円相場が反転し、2016年末には下がった分の半値戻しの水準である112円程度に戻すだろう。年央のドルの下げ幅がそれほど大きくない場合には、年末には120円台を回復するかもしれない。そうなれば、再び輸出企業への関心が高まってくる。

もし5月末までにドルが底値を付ける過程で輸出関連株売り込まれれば、そのときがそれらの企業への投資タイミングになるだろう。日本株は外国人投資家の動向とともに、為替相場の変動に大きく左右される。

前述のような、米利上げ時のドル円相場のセオリーを念頭に入れながら、投資タイミングを計るのが賢明だ。無論、2016年以降の米利上げのペースが重要になることはいうまでもない。最終的には、総合的に判断することが肝要だ。

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黒田総裁の目標達成に暗雲、来年は円最強とJPモルガン、モルガンS

 (ブルームバーグ):
日本銀行の黒田東彦総裁は、国内の物価基調は着実に改善しており、2016年度の後半ごろには目標の2%程度に達する可能性が高いと言うが、果たしてそうだろうか。市場関係者は、価格の押し上げに寄与してきた円安の終息が近づきつつあるとみている。

総務省公表の生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)は、原油安を背景に3カ月連続で前年比マイナスとなっている。一方、日銀が独自に試算する生鮮食品とエネルギーを除くコア指数は10月に1.2%上昇とデータでさかのぼれる11年以降の最高水準を2カ月連続で記録した。

主な貿易相手国の通貨に対する円の総合的な強弱を示す名目実効為替レートは今年に入って5.5%持ち直し、円は直近6カ月間で主要31通貨全てに対して上昇している。JPモルガン・チェースやモルガン・スタンレーは、円が来年の最強通貨になると見込む。

クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは「円安による食料品への価格転嫁の効果はもうかなり出てしまった」と指摘。「日銀は円安効果の波及が長く続くと見積もっているようだが、市場は今が価格転嫁のピークだとみている」と指摘。「市場が正しければ、来年の今ごろはエネルギーの押し下げ効果がなくなっても、インフレ率は1%程度にとどまる」と読む。

黒田総裁は11月30日の講演で、円安に伴う輸入インフレが消費者物価の上昇に寄与しているのは確かだが、価格改定の広がりと持続性は円安効果だけでは説明できないと指摘した。記者会見では、金融政策の現状維持を決めた10月30日の日銀決定会合を振り返り、異次元緩和の効果が「累積的に効いてくる」とし、追加緩和なしでも2%の物価目標を早期に実現できると「確信を持った」と述べた。

JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは「大幅に下落した原油などエネルギーを除いて考えるのは賛成だが、円安による押し上げ効果も割り引いて見る必要がある」と話す。食料とエネルギーを除くコアコアCPIや日銀型コア指数の上昇率は「約半分が円安効果、残りが純粋なインフレ」と推計。日銀は後者が「さらに広がると見込むが、0.5%前後から2%に持っていくのは大変な戦いだ」とみている。

ニューヨーク原油先物相場は10日、一時1バレル=36.38ドルと09年2月以来の水準に下落した。昨年6月の高値107.73ドルから66%下げた。経済産業省が発表する最新の国内レギュラーガソリン小売価格も7日時点で1リットル当たり127.8円と10年1月以来の安値となっている。

4年ぶりの円高

円の名目実効レートはデフレ脱却を掲げる第2次安倍晋三内閣が始まった12年から3年連続で下落。今年も6月に85.63と07年7月以来の安値を付けた。しかし、9月には日銀による追加緩和の直前に当たる昨年10月以来の水準を回復し、足元では約2カ月ぶりの高水準で推移している。

円は対ドルで6月に1ドル=125円86銭と13年ぶりの安値を付けたものの、下落率は前の年に比べ縮小傾向にある。日銀の緩和姿勢は揺るがないが、米国で来週16日に始まるとみられる利上げのペースも緩やかにとどまるとみられおり、日米金利差を受けたドル買い・円売り期待は高まっていない。

三菱UFJ国際投信債券運用部の小口正之チーフファンドマネジャーは「追加緩和観測は盛り上がらず、米景気拡大も成熟期に入っているようだ。来年は120-125円程度でトレンドが出にくい」と予想。「物価押し上げ圧力の再燃は考えにくい。これまでの円安効果は半年から1年程度のタイムラグで徐々に剥落していかざるを得ない。物価の基調が変わるかが焦点だ」とみる。

11月の輸入物価指数は円ベースで前年比17.4%下落し、09年10月以来の下げ幅を記録した。資源価格の下落や中国経済の減速を背景に、年初から前年割れが続いており、同月の石油・石炭・天然ガスは40.5%下げた。エネルギーは消費者物価全体の7.72%を占める。

来年5月に完全剥落

JPモルガン証の菅野氏は、物価動向について、円安・ドル高が「大幅に進んだのは昨年8月からなので、前年比が大きかったのも今年の8月までだ。円安効果の剥落には3四半期程度かかるため、来年5月ごろに消える」と説明。「せっかく原油安の押し下げがなくなっても、今度は円安効果の剥落で鈍化する」とし、日銀は来年後半には2%目標の達成時期をまた先送り、株価や円高次第で追加緩和に追い込まれると読む。

日銀は13年4月の量的・質的緩和導入の際、2年程度で物価目標を達成する方針を掲げた。しかし、消費増税に伴う景気悪化や原油安による物価低迷を受け、14年10月末には追加緩和に踏み切った。長期国債の買い入れ額は年率で、政府の市中発行額に対し最大9割超に及ぶ規模に膨らんでいる。その後も物価は目標に届いておらず、今年に入り目標達成時期の見通しを2度にわたり後ずれさせている。

クレディ・スイス証の白川氏は、日銀は頼みの綱である独自試算のコア指数と東大日次物価指数が伸び悩んだ場合、値上がり品目数の増加を口実に追加緩和を避けようとすると読む。スーパーマーケットが取り扱う日用品の販売データで算出する東大日次物価指数(1週間平均)は4月以降、上げ幅を拡大。11月9日には1.659%と少なくとも13年以降で最高を記録した。ただ、同月23日は6週間ぶりに1.278%まで鈍化するなど、足踏み状態が続いている。  

TOPIXは、安倍内閣が発足した3年前と比べ、倍近く上昇した。円は対ドルで3割超の値下げとなり、企業収益は円安を追い風に過去最高を更新。失業率は1995年7月以来の水準に低下した。一方、賃金はなかなか上がらない中、生活必需品の値上がりで消費者支出は低迷している。

三菱UFJ国際投信の小口氏は、「2%の物価目標は世界標準で変えにくいが、異次元緩和はアベノミクスの一環でもある」と言い、「円安などで無理矢理2%を目指すのではなく、居心地の良い水準なら容認される。日銀はそれを前提に持続的な金融政策を模索していく」と読む。「日本経済には0.7-0.8%程度のインフレが落ち着きどころではないか。2%は遠いが、デフレは脱却しつつある」と語った。

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2016年が5年ぶりの円高ドル安になる理由

http://toyokeizai.net/articles/-/96346

唐鎌 大輔 :みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト

過去2年以上にわたって相場のテーマであった米国の初回利上げのタイミングに関しては12月15~16日のFOMC(連邦公開市場委員会)ということで決着がつきそうである。2016年のドル円相場見通しを作る上では新しい手がかりや新しい視点が必要な局面に入る。

2016年を見通すにあたっては、例えば、一歩引いて「実質実効為替相場」(REER)などから現状の立ち位置を確認することも有益なヒントになろう。ドル円相場は2015年通年で見ると、値幅が変動為替相場制移行後の最小レンジに収まる展開となっており、全体として方向感に欠ける地合いが続いたという印象が強い。しかし、ドル相場、円相場をREERで見た場合、ドル高、円安ともにかなり一方的な展開が続いて、現在の水準に至った状況も見えてくる。

現在は歴史的にもまれなドル急騰局面

例えば、FRB(米国連邦準備制度理事会)公表のREERで見た場合、ドルは「孤高の正常化」により世界の運用難となった資金が集中した結果、2014年6月以降の約1年半で15%程度上昇している。ラフなイメージだが、1年で10%ポイント程度の上昇ペースであり、過去のドル高局面と比べても性急である。

かつて米国は、ルービン米財務長官の「強いドルは国益」との掛け声の下で、通貨政策がドル高を志向した。より具体的に見れば、同氏が財務長官に就任した1995年から、いったんは1998年に黒字化した米財政収支が再度赤字化する2002年までの約7年間に関し、ドルのREERは30%程度も上昇した。通期で見れば、1年で概ね3%ポイントの上昇である。

また、それ以前にはカーター政権によるドル防衛策(ドル買い協調介入、公定歩合や預金準備率引き上げなど)やボルカー元FRB議長による連続利上げに加え、イラン革命や旧ソ連のアフガン侵攻など「有事のドル買い」も重なってドル相場が急騰するという時代もあった。結局、このドル高は1985年のプラザ合意で終止符が打たれることになるが、1978~1985年の約7年間でドルのREERは約21%上昇した。通期で見れば、1年で4%ポイント程度の上昇である。

1978~1985年や1995~2002年のドル高局面と比較すれば今次ドル高局面はまだ期間こそ短いものの、「上昇の角度」で見れば当時より鋭角的という見方もできる。

しかし、「強いドルは国益」と、通貨高志向を露わにし、IT革命による生産性改善の恩恵に浴していた1995~2002年のように、今の米国の経済がドル高を甘受できる態勢にあるといえるだろうか。

例えば「為替政策報告書」などを見ても、昨年10月、今年4月、そして今年10月と表現の変遷を見比べれば、明らかにドル高に対する許容度が後退しているように見受けられる。「強いドルは国益」と言ってのけるほどの余裕は感じられない。

経済指標にもドル高の悪影響が出始めている

各種計数にもドル高の悪影響が滲み出てきている。6年ぶりの最終減益が予想されている米7~9月期決算やリセッション(景気後退)の真っ只中であった2009年6月以来の低水準を記録した米11月ISM製造業景況指数、2012年10月以来の低水準を記録した米10月輸出金額(季節調整済み)など、ドル高が重しとなりつつある兆候は確かにある。

「9年半ぶりの利上げ」に沸く一方で、それがもたらす副作用も確実に浸透し始めているが、足元ではそれを警戒するムードがあまりにも薄い。既に米景気の拡大局面が歴史的に見ても相当な長期間に及んでいることなども踏まえれば、そろそろ雇用回復が成熟化してくる可能性もあるだろう。そうした状況の中、実体経済への負担を踏まえ、2016年以降の米通貨政策におけるドル高への懸念は強まることはあっても弱まることはないというのが筆者の考えである。

一方、同様に日本銀行公表のREERから円相場を評価すると1972年並みの水準まで円安が進んでいる。1ドル=300円台の時代と同程度のREERであることが現状において適切かどうかという議論は脇に置くが、少なくともREERが長期平均から乖離し続けることはないとの前提は理論的には尊重される。

この点、今年6月10日に黒田日銀総裁が「ここからさらに実質実効為替レートが円安に振れるということはなかなかありそうにない」と述べ、当時の実勢相場である1ドル=125円が黒田ラインなどと呼ばれることになった経緯は記憶に新しい(答弁の動画を見る限り、それが当人の本意だったとは思えないが)。

上述したような過去のドル高局面(1978~1985年や1995~2002年)でも当然円安は進んでいたが、REERがプラザ合意以前までさかのぼるほどの円安水準になることはなかった。現状は史上まれに見る円安水準にあると言っても過言ではない。

長期の尺度は役に立たないのか?

以上のように物価尺度に照らし考えると、ドル高ないし円安に過剰感が生じ始めていることは否めず、その両者の通貨ペアであるドル円相場の続伸を予想するのはかなり勇気がいるように思えてくる。少なくとも、変動為替相場制をしく以上、REERが一方向に振れたまま調整しないということは想定できない。調整が2016年に起きるかどうかは議論があるにせよ、「反転のタイミング」は検討して然るべき時期に差し掛かっていると言えよう。

なお、REERや購買力平価(PPP)のような物価尺度は長期的な動きを説明するものであって市場予測には有用ではないという声も聞く。しかし、「長期的な動きを説明するものだから、目先の予想には使えない(使わない)」というのであれば、一体それをいつ使うのだろうか。そういった尺度で見て、明らかに行き過ぎと思われるポイントはいつか必ずやってくる。

そのポイントは事後的にしか正解が分からないわけだが、事実としてドルないし円のREERは歴史的にも見ても相当一方向に振れている。このような状況を前に節目の到来を警戒すらしないのは不用心に思われる。フェアバリューが存在せず、しかも流れの速い為替の世界において、いったん立ち止まって、現在が歴史的に見てどういう立ち位置なのかを考えることは決して無意味ではない。

来年は円高ドル安方向をメインシナリオに据えるにしても、もちろん、リスクシナリオは当然ある。

2016年も引き続き円安ドル高となるリスク(メインシナリオから見ればアップサイドリスク)としては何が考えられるか。

日本銀行が追加緩和を行う可能性は低い

第一に米国経済が予想外に底堅く、FRBの正常化プロセスが想定以上に巧くいく、ということである。その場合、順当にドル高相場が続き、ドル円相場も5年連続の円安を目指すことになる(2015年がこのまま年初対比で円安ドル高で引ける、という前提)。

だが既に述べたように、ドル高局面は相当長く、しかも速いものになっている。足元で生じているドル高の余波を踏まえれば、連続的な利上げとそれに応じた堅調な景気回復というセットは徐々に両立が難しくなっているように思われる。

第二に、日銀が追加緩和を行う、という可能性は残る。これは2016年7月の参院選を前に株価を下支えたいという政治的配慮が家計部門の実質所得を回復させたいという政治的配慮に勝るという展開である。しかし、携帯電話料金や消費増税に伴う軽減税率導入を巡る議論などを見る限り、政府・与党が積極的に今以上の円安・物価高を許容する展開は見通しづらい。

第三に、ドル調達を巡る逼迫状況が続く、ということである。足元のドル調達コスト急騰は利上げ前、年末越えという季節要因が意識された結果、際立ってドル需要が高まっているとの側面が強そうだが、それ以前に構造的な各種規制要因が寄与しているという側面も指摘される。端的に言えば「簡単にドルを放出するわけにはいかない」との思いを抱く金融機関などが増える中で、ドルの希少価値が実体経済の強弱とは別に高止まりしたままという可能性は確かにある。

一方、メインシナリオで想定する以上に円高ドル安になるリスク(メインシナリオから見ればダウンサイドリスク)としては、米経済の好循環が遂に終焉を迎え、金融政策が正常化どころか追加緩和(例えばQE4など)に向かうような展開が考えられる。この場合、日本におけるいかなる政策運営にも拘わらず、円高ドル安の流れが作られてしまうだろう。繰り返し述べたように、REERで見れば行き過ぎた円安となっている疑いは根強いものがあり、本格的な調整が訪れた場合の震度はかなり大きくなる可能性もある。

なお、日銀の量的質的緩和(QQE)が巻き戻される展開なども円高ドル安の値動きを引き起こすリスクとして注目されるが、消費増税を控えた2016年中にそのようなことが起きるとは思えない。

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金価格が底入れの気配、ドルのピークアウト見込む動き

東京 10日 ロイター]
金価格が底入れの気配をみせている。逆相関関係にあるドルが、米利上げを機にピークアウトするのではないかとの見方が広がっているためだ。原油価格の下落傾向が続いており、中国など世界経済の減速に対する警戒感は依然強いが、需要面の影響が比較的薄い金は、市場の変化をいち早く読み取ろうとしている。

<過去の米利上げ時、金は上昇傾向>

金の現物価格は、9日時点で1オンス=1072ドル。12月3日に一時1045.85ドルと2010年2月5日(1043.75ドル)以来、約5年10カ月ぶりの安値を付けたが、そこから下値を切り上げている。原油安による価格下落圧力に逆らう動きだ。

住友金属鉱山など日本の金関連銘柄は、軟調な全体相場に引きずられ総じて弱含みだが、オーストラリアの金鉱株であるセントバーバラや、レジス・リソーシズなどは、切り返し基調にある。シドニー株式市場の金関連株指数は11月30日の安値から前日終値まで12.6%の上昇だ。

その背景にあるのは、ドル高のピークアウト観測。「12月の米利上げを機にドルが天井を打てば、金価格の反転が期待できる」(エモリキャピタルマネジメント・代表取締役の江守哲氏)という。ドル建てで取引される金は、ドルと基本的に逆相関関係にある。

過去4回の米利上げ局面をみても、1987年のケースでは金の現物価格が約10カ月後に7.5%高、94年は約8カ月後に2.8%高、99年は3カ月後に30%高、04年は5カ月後に16%高となっている。

その後は下落するケースもあるが、いったんは上昇する傾向がみられる。一方、ドル/円は、利上げ開始後1年間で平均5.8%の下落だ。

金は産業用や宝飾用などを除けば、実需はそれほど大きくない。原油や銅などと違い需要面よりも、金融面の変化に影響されやすいという特徴を持つ。「先行きを見越した売買が入りやすい」と、ばんせい投信投資顧問・商品運用部ファンドマネージャーの山岡浩孝氏は話す。

<自律反発との見方も>

一方で、テクニカル的な反発に過ぎないとの見方もある。金の現物価格は、2011年9月6日の1920ドルをピークに長期低下トレンドをたどっている。今月前半に約5年10カ月ぶりの安値を付けたのは、原油安の影響でコモディティ市場全般に下落圧力がかかったためだ。あくまで下げ過ぎの反動が出ているだけという可能性もある。

世界最大の金ETF(上場投信)であるSPDRゴールド・シェアーズの信託金残高は減少ペースが鈍ってきているが、依然として増加の兆しは見えない。ピークだった2012年の1353トンから、足元では634トンと半分以下に減っている。

他のコモディティよりも影響が薄いとはいえ、需給減退という重しもある。中国の経済指標は弱く、需要面での増加は期待薄だ。さらに原油価格が下げ止まらなけば、インフレ・ヘッジとしての金需要も高まらない。

また、米利上げ後にドル高が一段と進展するとの見方も多い。日米欧の中で、唯一金融引き締め方向にかじを切っている米国。金融政策のコントラストはドル高に働きやすい構図だ。ドル高傾向が続けば、コモディティ全般への下落圧力は来年も続くことになる。

<日本経済への影響は円高次第>

とはいえ、金を「先行指標」としてと捉えた場合、銅など他のコモディティ価格も今後、リバウンド局面に移行する可能性もある。「来年は世界的な景気回復を背景にコモディティ価格の上昇を見込んでいる」(UBS証券ウェルス・マネジメント本部チーフ・インベストメント・オフィサーの中窪文男氏)との予想も少なくない。

コモディティ価格が上昇に転じた場合、米国ほど経済に占めるエネルギー産業の比率が高くない日本にとって、プラス面よりもコスト増によるマイナス面の方が大きそいとみられている。資源国の経済が持ち直せば輸出面ではプラスだが、その分、資源輸入国である先進国の経済は交易条件の悪化を通じてマイナスになる。

円高が進めば、輸入価格の上昇を相殺することが可能だ。しかし、コモディティ価格底入れがドルのピークアウトを通じて起きるとすれば、それは円安トレンドの変調を意味する。

円高が進み過ぎては、日本経済へのダメージの方がメリットよりも大きくなる。「輸入価格上昇の相殺と輸出産業へのマイナス。トータルでみれば、やはり現時点での円高進行は日本経済にマイナスの影響を及ぼす」(ニッセイ基礎研究所・シニアエコノミストの上野剛志氏)という。

来年のドル/円については、市場でも見通しが大きく分かれているが、ドル安トレンドに入った場合、適度な円高で止めることができるかどうかが、大きな焦点となりそうだ。

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コラム:円高説は根拠薄弱、来年ドル130円も

村田雅志ブラウン・ブラザーズ・ハリマン 通貨ストラテジスト

東京 10日]
今年も残りわずかとなり、識者による来年(2016年)のドル円見通しを目にする機会が増えてきた。昨年と今年の見通しでは、水準の差こそあれ、ドル円は上昇基調で推移するとの見方が大多数だった。

しかし、来年の見通しでは、興味深いことに、ドル円が上昇を続けるとの見方だけでなく、下落に転じるとの見方も示されている。中には、ドル円が来年末までに110円程度まで下落する可能性があるとの大胆な予想もある。

円は2012年から3年間、主要通貨に対し下落を続け、名目実効レートは今年6月には73.8と12年1月の111.35から約34%も下落。ここまで下げたのだから、そろそろ(来年には)円高に転じても不思議ではない、との直感が強まっているのかもしれない。円の名目実効レートが7月以降、緩やかながら上昇に転じ、10月には78.2と6月から約6%も上昇したことで、こうした直感に対する自信が増している可能性もある。

ただ、筆者の目には、来年にはドル円が下落に転じるとする根拠の多くが説得力に欠けると映る。

<国際収支は本当に円高シグナルを発しているのか>

まず、ドル円の下落を予想する方の多くが指摘する日本の経常黒字の拡大について考えてみよう。経常黒字は10月までの累計で14.6兆円と、昨年の2.6兆円を大きく上回っている。経常黒字の拡大は、時間差を伴って円買いの動きにつながるとの指摘もある。

しかし、経常黒字の拡大が第1次所得収支黒字によるところが大きい点に注意を払うべきだ。今年10月までの経常収支(累計)の内訳をみると、貿易・サービス収支は2.0兆円の赤字であるのに対し、第1次所得収支は18.2兆円と、すでに昨年の黒字額(18.1兆円)を上回っている。

第1次所得収支の中には、外貨を円に換える(円転する)ことがほとんどない外貨準備の利子収入や、円転の比率が低いとされる対外直接投資による現地利益、民間対外証券投資の利子・配当収入が多く含まれており、第1次所得収支の黒字額が、そのまま円買い需要につながるとは考えにくい。

一方、実需に直結している貿易・サービス収支は、上述したように赤字のままだ。貿易活動を通じた円売り圧力は以前ほど強くはないだろうが、円売りの動きは続いたままであり、少なくとも円買い要因には働かない。経常黒字が巨額になったから円買いの動きが強まるとするロジックは表面的にはもっともらしいが、為替の実需取引の実態を示したものとは思えない。

日本の対外直接・証券投資の動きが減速するとの理由からドル円が下落に転じるとのロジックも説得力に欠ける。国内年金基金のポートフォリオ・アロケーションの変更を背景としたリバランスの動きが、すでに一巡したのは事実だが、来年以降も海外投資比率が維持される。一方で、国内生保・銀行は外債買いの動きを強化。国内投資家による海外中長期債の買い越し額は年初からの11カ月間で11.2兆円と、昨年1年間の約12倍に膨らんでいる。

円債利回りは、日銀の大規模買い入れもあって低位安定。こうした状況下、国内生保・銀行が対外証券投資の動きを後退させ、円債にシフトするとは考えにくい。国内投資家による対外証券投資の拡大ペースが鈍化する可能性は否定しないが、だからといって円買い需要が強まるわけではない。

<1ドル=120円を大きく割り込む円高は考えにくい>

12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ開始が決まる可能性が高く、来年も年前半を中心に2、3回の利上げを実施すると見込まれる一方、日銀は必要であれば追加緩和に踏み切る姿勢を示し続けたままだ。

いわゆる日米金融政策の違い(ダイバージェンス)という構図が来年も続く以上、ドル円が120円を大きく割り込む形で下落すると考えるのは無理があるように思われる。米国景気次第の面はあるものの、来年のドル円は日米金利差の拡大を背景に下値を固めながら「じり高」の動きを続けると考えた方がむしろ自然だろう。

確かに、原油をはじめとする商品市況の下落が続き、米国が7年の期間を経てゼロ金利を解除しようとしていることで米国景気の先行き不安は強まっている。11月以降、米国株は伸び悩みが続いており、米国企業の予想EPS(1株あたり利益)はドル高や世界景気の減速観測から10月に小幅ながら減少。その後も伸び悩んでおり、米国株の先行きを慎重にみる見方も広がりつつある。

しかし、米国の雇用環境は堅調に推移しており、個人消費は来年も堅調地合いを維持する見込みだ。米国株の急落といったイベントリスクが発生しないのであれば、米国の国内総生産(GDP)成長率は2%台半ば程度を確保する可能性が高く、低成長に甘んじる日欧や減速感が強まる英国との景況感格差は広がると予想される。

先進国グループにおける米国景気の底堅さが意識されれば、為替市場ではドル買いの動きが続くだろう。一方で、円は上述したように過去3年ほどの勢いで売りの動きが強まることは期待しにくいものの、対ドルで上昇するほど買い需要が強まるとは考えにくい。

この結果、ドル円は緩やかながらも上昇基調が続き、米利上げ継続期待が高まりやすい年央にはドル円が「黒田ライン」と呼ばれる125円を大きく上抜け、130円を目指す展開が期待される。

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コラム:2016年は円高へ、ドル110円も

佐々木融JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長

東京 8日 ロイター]
ドルは米連邦準備理事会(FRB)の金融政策正常化への期待から今年も上昇を続け、昨年に続き主要通貨の中で最強の通貨となっている。

一方、円は主要通貨に対して2012年から昨年までの3年間、弱い通貨となった後、今年は対ドル以外のほとんどの通貨ペアに対して上昇。この結果、円の名目実効為替レートは今年緩やかに上昇している。

つまり、ドル円相場だけを見ていると分かりにくいが、円は昨年までの3年間と異なり、今年は強い通貨となっているのだ。理由は、他でもない、円を取り巻くファンダメンタルズが劇的に変化しているからである。

まず、日本の経常黒字の大幅な増加だ。昨年の黒字はわずか2.6兆円だったが、今年は9月までで、すでに13.1兆円に達している。

昨年までの経常黒字の大幅な減少は、11年頃から始まった貿易収支の急速な悪化が主因だった。日本の貿易収支は11年に赤字となり、その後赤字は昨年に10.4兆円まで膨らんだ。貿易赤字拡大の主な原因は、エネルギー価格の急騰とアジアからの輸入の増加だった。

筆者は、12年末から昨年末にかけての大幅な円安の主因は貿易収支・経常収支の急激な悪化だったと見ている。アベノミクスや日銀による量的・質的金融緩和が心理的な影響を与えたのは事実だろうが、円相場を取り巻くファンダメンタルズも円を押し下げる方向に大きく変化していたのだ。

しかし、エネルギー価格下落を背景に、日本の貿易収支は今年著しく改善し、経常黒字の大幅増加につながった。今年の経常黒字は16.7兆円となり、来年は18.5兆円にさらに拡大すると当社は予想している。

日本の経常収支は1年程度のラグ(時間差)をもって円相場に影響を与える傾向がある。経常収支と日米10年金利差を用いたモデルは、来年中に日米10年金利差が250ベーシスポイント(bp)まで拡大したとしても、ドル円相場が105円まで下落する可能性を示唆している。

円を取り巻くファンダメンタルズの2つ目の重要な変化は金利差である。特に昨年後半以降、日本以外の各国中銀が金利を引き下げたため、多くの国々と日本の金利差が著しく縮小している。中でも、ユーロの短期金利が円の短期金利を下回ったため、資金調達通貨として円よりユーロが魅力的になっている。これは円を取り巻く環境の変化として、非常に重要な要素になっていると考えられる。

また、円が実質ベースで極端に過小評価されていることにも注意したい。近年はドルが継続的に上昇したことから、特にドルに対する円の過小評価が目立っている。当社算出のドルの実質実効レートは現在、01年初頭に付けた直近の高値までわずか数パーセントに迫っている。さらに上昇すれば、「プラザ合意」以来のドル高となる。一方、円の実質実効レートは歴史的な低水準まで下落しており、この結果、ドルと円の実質実効レートの差は過去最大に拡大している。

こうした経済的なファンダメンタルズの変化に加え、政治も円の支援材料となっている。ドル円が125円台を付けて以降、日本政府はさらなる円安を警戒し始めたようである。賃金が十分に上昇しない中で食料品価格が上昇し始めており、さらなる円安がインフレ率を押し上げれば、消費にとってマイナスとなるのは明らかだ。

また、最近合意に至った環太平洋連携協定(TPP)が米議会で承認されるためにも、ここからのドル円の上昇加速は日米両国政府にとって好ましくないだろう。

<ドルを含む主要10通貨の大半に対し円高進行も>

今年は、日米金利差拡大を背景としたドル円の上昇継続と、国内勢による大規模な海外直接投資・証券投資に伴う円売りが、円の上値を限定した。しかし筆者は、来年にはこの状況が変化して、円高圧力が強まると見ている。

日米金融政策のかい離を受け、来年も日米金利差は拡大を続けると予想している。しかし筆者は、来年予想される日米金利差拡大は、ドル円のさらなる上昇につながらないと考える。これは、米国で大統領選挙、日本で参院選が行われる来年は、為替市場に対する政治の影響が強まる可能性が高いという見通しに基づいている。

日米貿易摩擦がドル円の主要なドライバーだった1990年代初頭には、日米金利差とドル円には全く相関が無かったが、これと同様のパターンが来年は見られるかもしれない。また、日米金利差とドル円相場の関係を長期的に見ると、金利差に比べて明らかにドル高に行き過ぎている。

日本の経常収支の著しい改善が今年、円を支えた要因であると指摘したが、国際収支に反映されるフローの為替に対する影響を評価する際には、経常収支に加え、金融収支からのフローも考慮する必要があることは言うまでもない。

今年は、国内勢による大規模な海外直接投資・証券投資に伴う円売りが、経常黒字の増加から生じる円買いを大部分相殺したと思われる。昨年半ば以降、年金基金を含む日本の投資家は、海外証券投資を大幅に増やした。

しかし筆者は、こうしたフローの持続性に対して懐疑的だ。国内勢による海外証券投資が急増した主な理由の1つは、年金基金のポートフォリオ・アロケーションの変更だが、年金基金は必要とされるポートフォリオのリバランスをすでに大方終了していると考えられる。したがって、年金基金の海外証券投資のペースは今後減速するだろう。

また、近年では、日本企業による積極的な海外直接投資も主要な円売りのソースとなっている。もっとも、新興国経済の鈍化が引き続き懸念される中、今後も同じペースで海外直接投資が続くとは考えにくい。

以上のことから、来年は、経常黒字に起因する円買いが増加する一方で、海外直接投資・証券投資に関連する円売りは減少する見通しだ。つまり、日本の国際収支に反映される各種フローに起因する円高圧力は、来年さらに強まる可能性が高いと考えられる。

結論を言えば、筆者は来年、円がドルを含むほとんどのG10通貨に対して上昇すると予想しており、これは名目実効レートベースでの円の上昇ペースが加速することを意味している。来年末までにドル円相場は110円程度までドル安・円高が進行すると見ている。

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米国ゼロ金利解除で株、債券、ドルはどう動く?

https://shikiho.jp/tk/news/articles/0/96144

米国時間で12月15~16日の2日間にわたって開かれるFOMC(連邦公開市場委員会)が、注目を集めている。景気や物価に関する判断や政策決定内容を記したFOMC声明文が発表されるのは、日本時間の12月17日早朝4:00頃。FOMCの定期会合は年8回開かれ、そのうち3、6、9、12月の会合ではFOMCメンバーの経済・物価・金利見通しが発表される。会合後にジャネット・イエレンFRB議長の記者会見も行われるため、もともと関心度は高いが、今回は2008年12月以来7年間続いたゼロ金利解除が予想され、世界の市場へ大きな影響を及ぼすのではないかと不安視されているのだ。

FOMCは米国の金融政策を決める会合であり、政策金利であるFF(フェデラルファンド)金利の誘導目標や量的金融緩和の方針などを決める。米国の中央銀行組織は、ワシントンで金融政策・制度の決定や地区連銀の監督などを行うFRB(米国連邦準備制度理事会)と、現場の銀行業務を行う12の地区連銀から構成される。FOMCは、イエレンFRB議長を含むFRB理事7人と、12の地区連銀のうち5つの地区連銀総裁5人、合わせて12人で構成される米国金融政策の最高意思決定機関だ。

■相場はイメージ通りに動かない

政策金利であるFF金利の引き上げは、理屈の上では、①米国長期金利を押し上げ、②ドル相場を上昇させ、③株価を下落させるが、過去の利上げ転換局面の事例をみると、この理屈通りに相場は動いていない。

過去4回の利上げ局面(1994年2月~、1997年3月~、1999年6月~、2004年6月~)で、米国10年国債利回り、ドル相場(実質実効レート、円ドル相場)、日米株価がどのように動いたかをグラフ化した。横軸のゼロ(0)を利上げ直前月とし、利上げ半年前から1年後までの各相場の動き(平均)をみたものだ。4回のうち1997年3月の利上げは1回のみだったが、それ以外の3回は連続利上げだった。

まず、米国10年国債利回りは利上げの数カ月前から上昇を始め、利上げ当月まで上昇した後、頭打ちとなる傾向がわかる。特に2004年6月からの前回利上げ局面では利上げ後、利回りは逆に低下し、当時のアラン・グリーンスパンFRB議長はこの現象を「謎」と評した。

当時、長期金利が低下した原因は、①金融引き締めで期待インフレ率が低下し、それが長期金利を低下させた、②世界的な貯蓄余剰(=投資不足)下で、中国からの米国債投資が増えたことなどが米国長期金利を低下させた、などと考えられた。

ドル相場も利上げ前まで上向きで推移したが、利上げ後は逆に反落することが多い。中でも円/ドル相場はそうした動きが際立つ。利上げ後のドル反落については、①為替市場では、期待に左右される度合いが強いため、米国利上げ期待でドルが上昇した後、実際の利上げ後は織り込み済みになる、②利上げは米国景気拡大が続いたことを意味し、景気拡大は米国貿易収支の赤字増大などの問題を生む、などの理由が考えられる。

そして株価については「最初の利上げではほとんど影響はないが2回、3回目になると、市場は金融引き締めを意識し始めて下落する」と言われる。が、実際は必ずしもそうなっていない。

米国株は利上げの翌月までは若干軟化するものの、その後は上向くトレンドがうかがえる。株価への影響が短期・限定的で長い目でみて堅調に推移したのは、①株式との裁定が働く債券利回りが上昇しなかった、②利上げは米国景気の強さ(→米国企業収益の好調)が背景にあり、利上げ局面でも企業収益が好調であったことが、株価を押し上げたからだ。つまり利上げをきっかけに過剰流動性相場から業績相場へ移行し、好調な業績が株価を押し上げたと考えられる。米国に合わせ、日本も業績相場に移行したようで、実際、金融危機が起きた1997年当時は、株価は反落し、逆に業績好調だった1999年当時は、株価上昇が続いた。

■賃金停滞で金利低下か。ドルは反落も

では、過去の経験を念頭に、今回の利上げの影響を考えてみよう。

まず、過去、長期金利は利上げでも上昇しなかった。さらに今回はイエレン議長自身、利上げペースの緩やかさを強調しており、それが長期金利を、より上がりにくくする。過去の年平均利上げ幅は1.5ポイントで、0.25ポイントの利上げ6回分に相当する。これに対して今回はFOMCでも約4回、FF先物市場は2~3回という小幅な利上げしか想定していない。

利上げペースは特に賃金・物価の動向に左右される。賃金は失業率の低下を受けて、上昇の兆しはあるものの、国際競争の激化やITの影響などの構造要因が上昇を抑える。物価はドル高の影響もあるため、賃金以上に上がりにくい。利上げテンポの緩やかさと物価安定に加えて、世界経済の低迷(投資不足=貯蓄過剰)が続けば、2004年当時と同様に「謎」の長期金利低下が起きる可能性もある。

次に、ドルは過去のケースでは、利上げ前に上昇し、利上げ後は織り込み済みでむしろ反落した。今回もドルは利上げを織り込んで、すでに上昇している。ドルの実質実効レートは2014年8月から15%近く上昇し、2005年以来のドル高水準にある。

確かにドル高は、日欧の金融緩和や新興国の景気低迷による円・ユーロ安、新興国通貨安が反映している部分は大きいが、ドル高で米国の製造業はかなりのダメージを受けており、米国貿易赤字も膨らんでいる。

2016年2月からは米国大統領選挙の予備選挙が始まり、米国議会ではTPPの審議も予定される。米国貿易赤字やドル高が、政治的な議論に上ることは十分ありうる。また、利上げペースが緩やかで長期金利が上昇しなければ、金利面からドルを押し上げる効果も半減する。ドル相場は経験則通り、利上げ後は、反落する可能性が高い。

■米国株はボックス相場へ。狙いは好業績の内需株に

株価はどうか。過去のケースから考えると、株式市場は利上げをきっかけに業績相場へ移行すると想定される。ただ、そこで心配なのは米国企業収益の動向だ。雇用コストの増加に加え、ドル高、原油安の影響もあり、実は米国企業の収益は14年以降、ほとんど伸びていない。企業収益の高成長を期待できれば、高いPERも正当化できるが、企業収益が横ばいならPERは本来、低くならなければならず、株価は下落するのが自然だ。

利上げ後も長期金利は上がらないと予想されるため、大きく調整するような場面では長期金利が株価の下支え役を果たすと考えられるが、米国株は上値も重く、おそらく今の水準を上限としたボックス相場へ入る公算が大きい。

最後にそうした中での日本株への投資スタンスを考えてみたい。

足元、国内企業の収益は原油安などによるコスト減少が効き、全体的に膨らんでいる。しかし、これはあくまでも一過性の収益増加だ。米国利上げをきっかけに国内でも業績相場へ移行が進むと考えられ、また思いがけない円高・ドル安や米国株下落にも注意が必要だ。しばらく外需株は、ボラティリティの高い展開になると考えられる。当面は、増収増益が続くような好業績の内需株へ、狙いは絞ったほうが良い。

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FOMC後経験則2つ 株、為替発の波乱に警戒

日本経済新聞 証券部 田口良成

年内最大のイベントである米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、過去の相場にヒントを見いだそうとする市場参加者は多い。焦点はFOMC後の株価為替相場を巡る2つの経験則だ。だが株はともかく、為替は「経験則が通用しない」との見方もあり、ドル円相場の予想は真っ二つにわかれている。為替相場発の波乱に警戒感も広がっている。

16日の日経平均株価は500円近く上げ、1万9000円台を回復した。FOMC直前の大幅高をいぶかる声をよそに、一部の投資家の間では「FOMC直前は株高になる」との経験則がささやかれていた。

この経験則は過去に米ニューヨーク連銀スタッフが出したリポートが根拠で、タイトルは「FOMC発表前のドリフト」。FOMCが声明を出す前の24時間は株が上がりやすいという内容だ。

FOMCの数日前から持ち高を減らした投資家が、直前になって買い戻すために起きる現象とされる。いずれにしろ、この「法則」は日本株にも通用する。今年8回あったFOMC前の日経平均は前日比で6勝2敗と勝率は高い。

焦点はFOMC後の経験則で、その一つが「開催日から数えて奇数の週は株安で、偶数の週は株高傾向」という米研究者の分析だ。日本株にも当てはまり、仮にそうなればFOMC後2週目の年末最終週は株高が期待できることになる。

もう一つの経験則は「米利上げ後は円高・ドル安になる」だ。実際、1999年と2004年の米利上げ開始局面では日米の金利差拡大にもかかわらず、むしろ円高に振れた。JPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏は「今回も米利上げで円安・ドル高は進まない」とみる。米ドルがすでに高値圏にあるうえ、日本の経常黒字の増加などを重視。16年3月末は1ドル=115円、16年末は110円と予想する。

これに対し、野村証券の池田雄之輔氏は「16年3月末までに130円までの円安もあり得る」とみる。「99年や04年は利上げ後に米国株を売った投資家が日本株に向かい、円買い需要が円高を招いた」と指摘。現在は為替リスクをヘッジする手法が定着し、過去の事例は必ずしも当てはまらないという。

為替の水準が重要なのは日本企業の業績を左右するだけでなく、海外勢のパフォーマンスにかかわるためだ。ドル建て日経平均は年初から約9%上昇。騰落率は米S&P500種株価指数を上回る。ゴールドマン・サックス証券のキャシー・松井氏は「海外勢の年明けの会議では、日本株への配分が大きなテーマになるはず」と話す。

だがヘッジをしない海外勢からすれば、円安が進むと日本株の運用益は目減りする。円高と円安で予想が真っ二つの状況下で、海外勢の日本株買いが積極化するかは不透明だ。

今年の為替相場の変動は10円程度(1割未満)と歴史的にみても小幅で、「経験的には値幅縮小は相場の転換を示唆する」(バークレイズ証券)。FOMC後の株式市場では為替発の「想定外」が焦点になりそうだ。

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