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ドル/円底堅い、米指標で上値追い機運高まるか=今週の外為市場

[東京 30日 ロイター]
今週の外為市場で、ドル/円は底堅く推移するとみられている。米連邦準備理事会(FRB)の12月利上げが織り込まれており、ドルは下がりにくい地合いが想定される。

このところドル買い材料に乏しく上値が重くなっていたが、米経済指標が総じて強い内容となり、再び上昇機運が高まるかがポイントになりそうだという。

予想レンジはドル/円が121.00―124.00円、ユーロ/ドルが1.0450―1.0750ドル。

<イエレン議長発言で利上げ>

今週は米国で重要イベントが相次ぐ。2日にイエレンFRB議長が講演するほか、4日に11月分の雇用統計が控える。そのほか週内には、米ISM製造業景況指数、米ADP全米雇用報告、米地区連銀経済報告(ベージュブック)などの発表もある。

イエレンFRB議長の講演は雇用統計の発表前ということもあり、タカ派色が強い発言は出ないと見られているが、12月の利上げや、その後の利上げペースを占ううえで注目されている。

11月分の雇用統計についてロイターがまとめた市場予想によると、非農業部門雇用者数(NFP)の増加は20万人、失業率は5.0%。「10月分は出来すぎ。NFPの増加が予想を大きく下回らなければ、それほどネガティブな反応は出ないだろう」(国内金融機関)との声が出ている。

<ECB理事会>

3日のECB理事会は、何らかの追加金融緩和を打ち出すとみられている。過去1カ月にわたり明確な形で緩和を示唆してきただけに、今さら無風で通過することはないとの見方が多い。

ロイターは25日、ECBが2段階の中銀預金金利の設定や資産買い入れ対象の拡大などを検討中と伝えている。「満額回答以上の内容なら仕掛け的なユーロ売り/ドル買いで、年初来安値(1.0457ドル)前後までの下げもあり得る」(国内金融機関)との声が出ている。

一方、これまでに投機筋のユーロ売り/ドル買いポジションが積み上がってきていることから、「ECB理事会の通過後に材料出尽くし感で1.07ドル台まで買い戻されるかもしれない」(邦銀)との指摘もある。

ECB理事会やドラギ総裁の会見を受けて思わぬユーロ高/ドル安が進み、米国の経済指標も振るわなかった場合は、ドル/円は122円台を維持できず、121円台に下落する可能性もあるという。

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コラム:ECBのユーロ安誘導、12月に加速か

唐鎌大輔みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト

[東京 11日]
10月の米雇用統計の上振れを受けて、連邦準備理事会(FRB)による12月の利上げが確実視される中、ドル高が勢いを盛り返している。これと対をなす動きとしてユーロ相場の軟化が著しいが、その背景には米利上げ観測だけでなく、10月22日の欧州中央銀行(ECB)理事会での緩和予告もある。

ドラギECB総裁からは10月理事会以降も予告を強めるような発言が続いている。例えば今月3日には「金融緩和の水準について12月(3日)の理事会で見直す必要がある」と、10月理事会の声明文で材料視された表現を改めて強調した。

筆者のもとにも「12月ECB理事会で何が起きるのか」との照会が増えている。プレビューにはやや早いものの、現時点で想定されるシナリオを提示してみたい。

<量的緩和は期間延長に伴い規模・構成も拡大の公算>

考えられるオプションは大別して2つある。まず拡大資産購入プログラム(APP)、いわゆる量的緩和(QE)の拡大、そして預金ファシリティ金利のマイナス幅拡大だ。

1番目のAPPについては、声明文と記者会見で「資産購入プログラムは規模(size)、構成(composition)そして期間(duration)の観点から十分な柔軟性を供給する」と述べられてきた経緯がある。ついては規模、構成、期間のいずれに修正が入るのか注目されるが、結論から言えば3つ全部が対象となる可能性が高い。

期間を延長すれば購入総額は押し上げられ、全体の規模拡大にもつながる。また、APPについては、かねてより資産の枯渇化が懸念されており、購入の規模を増やせば構成資産の拡大も検討することになるだろう。つまり、各要因は独立ではなく相互連関していると考えるのが自然であり、恐らく12月理事会では3つ全てに修正が入ると予想したい。

とはいえ、1銘柄あたりの購入は発行総額の33%までとの規定も踏まえれば、急激に規模を引き上げることは難しいはずだ。現状の月600億ユーロを700億ユーロ程度に増額する一手などが想定される。いずれにせよ、2016年9月末と設定されている期限が延長ないし撤廃され、これに応じて規模や構成が修正される公算が非常に大きい。

問題は、預金ファシリティ金利のマイナス幅拡大だ。ドラギ総裁は先月末にイタリア紙のインタビューで「(預金ファシリティ金利の引き下げは)時期尚早」と述べており、行き過ぎた市場期待をけん制している。だが、預金ファシリティ金利のマイナス幅拡大はもはや行うしかないと思われる。

理由は2つある。第1に、総裁の口から可能性をほのめかしたことでユーロ相場はすでに大きく押し下げられてしまっているからだ。もはや為替相場の動きだけを見れば、マイナス金利幅拡大の有無ではなく、どれくらい拡大するのかという点に関心が移っている感さえある。

民間向け貸出が堅調に伸びている状況下でECBが緩和に積極的なスタンスを取るのはひとえにユーロ相場が高く、それが商品価格下落とも相まって消費者物価指数(HICP)の低迷を招いているからに他ならない。この期に及んでマイナス預金金利を据え置くという判断を行えばユーロ相場が上昇することは目に見えており、そうした事態を避けるためには実施せざるを得ないというのが実情だろう。

第2に、APP拡大との兼ね合いだ。規定上、APPで購入できる資産は「預金ファシリティ金利より高い金利の資産」である。現在の預金ファシリティ金利はマイナス0.20%であるため、これよりも高い金利の資産しか買えない。現時点(11日東京時間午前)では、ドイツ国債で言えば4年物まで(フランス国債で言えば3年物まで)が購入不可となる。裏を返せば、預金ファシリティ金利を引き下げればAPPの拡大余地が広がるわけで、こうした技術的理由からも引き下げが行われる可能性がある。

なお、11月9日には、ロイターが匿名の理事会メンバー4名の話として、すでに預金ファシリティ金利の引き下げは既定路線であり、その引き下げ幅が焦点になるといった見通しを報じている。

<マイナス0.3%で打ち止めの保証なし>

要するに、12月3日のECB理事会に関しては「預金ファシリティ金利はどこまで下げられるか」が1つの注目点となってきそうだ。この点、2014年6月に0.10%のマイナス金利が導入され、2015年9月にはマイナス0.20%へ拡大してきた経緯を踏まえれば、次の一手も10ベーシスポイント(bp)刻みとなり、マイナス0.30%を予想するのが妥当である。

だが、それで打ち止めとは限らない。ドラギ総裁は10月22日の記者会見で「1年前、我々は下限到達と宣言したが、他国の経験を見る限り、預金ファシリティ金利のさらなる引き下げを検討することになった」と述べている。「他国の経験」とはマイナス金利政策を導入する他の中銀、具体的にはデンマーク、スウェーデン、スイスなどの例を指している。

すでにマイナス金利政策で先んじているこれらの国の例を見れば、ECBの預金ファシリティ金利に相当する金利に関し、スウェーデン国立銀行(リクスバンク)はマイナス1.10%を設定している。デンマーク国立銀行は1週間物譲渡性預金(CD)金利をマイナス0.75%に、スイス国立銀行(SNB)は3カ月物ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の誘導レンジをマイナス1.25―マイナス0.25%に設定している。

これらの国の金融市場で大きなトラブルが起きていないことを踏まえ、ドラギ総裁が「もっと行けるはず」と着想したのだとすれば、マイナス0.30%で打ち止めとなる保証はない。少なくとも2度の下限到達宣言(2014年6月、9月)で恥をかいている経緯を踏まえれば、もはやドラギ総裁が下限到達を口にすることはないだろう。

そもそもECBの政策目的が暗にユーロ安誘導にある以上、一度に大きなマイナス幅を見せつけるよりも、小刻みに打ち込んで「継続感」を誇示した方が効果的に思われる。今回はマイナス0.30%で止めるにしても、そこで打ち止め感を見せないように情報発信が行われるのではないだろうか。

ゆえに12月3日の理事会では一気にマイナス0.35%やマイナス0.40%という性急な判断は下さず、あえてマイナス0.30%で止める決定などが予想される。ちなみに、1カ月先1カ月物のユーロ圏無担保翌日物平均金利(EONIA)フォワードレートは最近、マイナス0.20%付近まで低下している。過去半年間、現実のEONIAと預金ファシリティ金利のスプレッドは6―8bpであることなどを踏まえれば、2カ月先(1カ月先1カ月物)のEONIAはおおむねマイナス0.30%を織り込んでいると言える。

<不均衡を増幅するドイツ、通貨安に倫理的ハードル>

ただ、「技術的に可能であるか否か」と「倫理的にやって良いかどうか」は別である。どのような大義名分をつけてもマイナス金利政策は通貨安政策であり、12月にマイナス幅拡大が決定されれば、2014年6月以降の相場付きが示していたように、向こう数カ月にわたって強烈なユーロ安が演出される可能性が高い。

一方、2015年のドイツの経常黒字は、国際通貨基金(IMF)の秋季世界経済予測によれば、約2860億ドルと過去最高に達する見込みであり、これは同国の国内総生産(GDP)対比でプラス8%を超える巨額の不均衡だ。

また、同じくIMFの予測によれば、ユーロ圏全体でも2015年は3600億ドルを突破する見込みで、GDP比でプラス3%を超える不均衡となる。ちなみに、中国の経常黒字が3500億ドル弱(GDP比プラス3%超)であることを踏まえれば、世界経済不均衡へのユーロ圏全体の加担度合いは中国と同等程度、ドイツに至っては中国以上になっていると言える。

このような通貨圏の金融政策としてマイナス金利幅の拡大という選択肢が果たして正しいのか。折しも米国ではドイツ自動車大手フォルクスワーゲンの排ガス規制逃れが話題となっているが、米独の通商関係はECBの金融政策を火種として今後、一段と複雑化していくように思えてならない。

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コラム:ドル125円は「売り」か

上野泰也みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト

[東京 12日]
筆者が予想した通り、9月と10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げを見送った。10月米雇用統計が強い内容になったことなどから考えて、年内最後となる12月のFOMCでの利上げが、現時点では「当確」と言ってもよさそうな状況である。

特に意味合いが大きかったのは、10月の時間当たり賃金(民間部門)が9セント増えて25.20ドル(前月比プラス0.4%)になったことだ。前年同月比はプラス2.5%に加速し、2009年9月から15年9月まで6年以上にわたって形成してきた同プラス1.7―2.3%のレンジを上抜けた。

グローバル化やIT化といった構造要因から下押しされているため、以前のように前年同月比プラス3%台以上での推移を続けることは今後も考えにくいものの、賃金面から将来のインフレ率加速が期待できそうだというエビデンス(利上げを実施する根拠)を1つ、FOMCが手にした形になった。

だが、今回の局面では米利上げは1年間で2回程度までの非常にスローなペースにとどまる可能性が高い。しかも、米国の内外で経済・マーケット情勢が急変するようだと、利上げ路線は「一時停止」ボタンが押されるだろう(そのまま利上げ局面が終わってしまうことも考えられる)。したがって、米国の利上げ着手という材料を足場にして為替相場が円安ドル高に動く余地は自ずと限られる。

<次回の追加緩和で円安加速は期待薄>

ドル円の足元の位置どころについてどう認識すべきか。筆者の見解をこの機会に整理しておくと、以下の通りである。

まず、米住宅バブル崩壊後の「リスクオフ」の円高局面と、その後の「リスクオン」の円安局面というワンサイクルは、すでに終了した。すなわち、1ドル=124.14円(2007年6月22日)に始まり、75.32円(11年10月31日)と76.03円(12年2月1日)という2つの円高ピーク(ドル円の大底)を経て、02年6月以来13年ぶりの円安水準である125.86円(15年6月5日)に至る一連の流れだ。円安ドル高が進む大きな流れは基本的にはすでに終わっており、現在はトレンドレス(あるいは次の方向感を探る時間帯)となっている。

次のポイントとしては、すでに述べたように、米国の利上げ回数は限られる可能性が高く、ドルの上値は重いということだ。ドル高の悪影響などから米国の景気・企業収益の「足場が弱い」上に、世界経済の構造変化や国際商品市況の下落ゆえに、差し迫ったインフレ懸念は皆無とも言える状況である。

米国経済にとってドル高の行き過ぎは明らかにネガティブであり、当局者はそのことを十分認識している。むしろ、無理な利上げ継続とドル高の行き過ぎによって米国の景気・物価が押し下げられて、利上げを続ける根拠がなくなる、さらには利下げ観測や量的緩和第4弾(QE4)観測が浮上するといった、米国経済「自滅シナリオ」が警戒される状況である。

したがって、足元において2―3円幅で進行した円安ドル高はトレンドを形成するには至らず、短命に終わるだろうというのが、筆者の見方である。

一方、日本側でも、円安の行き過ぎによる家計や中小企業・地方企業への悪影響が、安倍政権の認識するところとなっている。2016年7月に重要な選挙である参院選が控える(衆院選とのダブル選の可能性も意識される)中で、仮に円安ドル高が125円を再度超えそうになれば、政府の要人などから「口先介入」的な円安けん制発言が出てきて、円安には歯止めがかかると見込まれる。あるいは、そうした発言が出てくることを強く警戒して市場が125円トライを自重することも十分考えられる。

また、日銀は10月30日の金融政策決定会合で、景気・物価のシナリオを下方修正した上で、そこからさらに下振れるリスクを展望レポートで明確に認めつつも、これとセットで金融政策に「必要な調整」を加える(追加緩和に動く)ことはしなかった。

日銀が掲げてきた2%の「物価安定の目標」の早期達成というコミットメントはもはや形骸化したのではないかという強い疑義が生じたわけだ。だが、筆者を含め、日銀はいずれ追加緩和に追い込まれるだろうとの見方をする市場関係者は少なくない。このため、ドル円は現在も、タイミングは不明確だが日銀が追加緩和に将来動く可能性を、ある程度織り込みながら推移している。

したがって、今後実際に追加緩和があった場合でも、市場に対しては2014年10月の追加緩和時のような大きなサプライズにはならないと見込まれる。

<中国要因による円安ドル高余地も限定的>

では、米国以外の海外要因で円安が加速することはないのか。振り返れば、8月11日からの中国人民元切り下げに際し、自由に売買できない人民元の代わりとして、あるいはアジア通貨全般を売る動きの一環として円を売る動きが強まり、ドル円が125円台を回復する場面があった。

だが、人民元切り下げが世界の市場に引き起こした波紋のあまりの大きさゆえに、中国当局は(おそらく当初の計画を変更して)人民元の下落にストップをかけた。その後、習近平国家主席を含む中国の当局者は、人民元大幅切り下げ説を強く否定し、元相場は安定を維持するとコミットしている。つまり、このルートを再び経由しての円安ドル高の余地模索は考えにくい。

念のために言い添えれば、先ほどトレンドレス化と述べた通り、筆者は円高ドル安に一気に反転すると見ているわけではない。確かに、為替相場の長期的な均衡水準を表す目安の1つとされる、企業物価(生産者物価)ベースの購買力平価で見れば、円安ドル高方向のかい離幅は足元で過去最大に近い水準になっている。このことからすれば、ドル円は今後、円高ドル安の方向にいつ動いてもおかしくない。

しかし一方で、日本の貿易統計が輸出数量の構造的な伸び悩みを背景に赤字基調からいまだに抜け出せていないこと、円高ドル安がある程度進んだ場面では年金マネーなどによるとみられる円売りドル買いが強まりやすいことなど、円高シナリオにブレーキをかける要因も複数意識される。また、すでに述べた日銀の追加緩和観測も、円高ドル安が進む場面では、そうした見方が強まることを通じてブレーキ役になるとみられる。

以上のような思考展開を経た上で、筆者は機関投資家の方々に対し、ドル円が125円に近づく場面があれば利益確定の円買いドル売りに動く良い機会になるのではないかと、引き続きアドバイスしている。

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コラム:近づく米利上げ、遠のく日銀追加緩和

村田雅志ブラウン・ブラザーズ・ハリマン 通貨ストラテジスト

[東京 10日]
市場関係者の一部は、日銀がいずれ追加緩和に動くとの見方を捨て切れないでいるようだ。確かに彼らが指摘するように、国内景気は軟調に推移しており、2%物価目標の早期達成を期待するのは難しい。しかし、日本経済の潜在成長率から考えれば、景気の現状はほぼ実力通りである。

詳しくは後述するが、労働投入量は足元で拡大傾向にある。したがって、金融緩和などで経済を刺激するよりも、潜在成長率の高まりを通じたインフレ圧力の強まりを期待する方が自然に思われる。

また、米国では12月15―16日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ開始が現実のものとなりつつある。日銀としては円安を促す目的で無理に追加緩和に動く必要性はなく、当面は現状維持の姿勢を維持するのが妥当だろう。

<日銀追加緩和期待の落とし穴>

確かに、国内景気は芳しくない。7―9月期の鉱工業生産は前期比1.3%低下と2期連続のマイナス。国内総生産(GDP)も2期連続のマイナス成長となる可能性が高まっている。雇用環境は9月の有効求人倍率が1.24倍と1992年1月以来の高水準に達するなど良好だが、現金給与総額は前年比1%に満たない弱い伸び。今夏のボーナスは前年比2.8%減と2年ぶりの減少に転じた。1人あたり賃金は低迷したままで、個人消費の早期拡大は期待しにくい。

設備投資も軟調な推移が続いている。民間設備投資の先行指標とされる機械受注・民需(除く船舶・電力)は、8月が前月比5.7%減と3カ月連続の減少。仮に9月の受注額が前月比横ばいとすると、7―9月期は前期比12.2%減と大きく落ち込むことになる。日銀短観によると、今年度の大企業・設備投資は前年比10.9%増と大幅増の計画となっているが、中国を中心とした世界景気の減速感の強まりも考慮すると、設備投資が下方修正されることも想定すべきだろう。

内需を中心に景気が軟調に推移する以上、物価が今後、加速すると考えるのは難しい。9月の消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)は前年比0.1%の低下と2カ月連続の前年割れ。日銀は、生鮮食品に加えエネルギーも除いたCPI(新型コアCPI)が同1.2%と3カ月連続で加速したことなどを指摘し、物価の基調は上昇しているとの判断を維持しているが、今後は円安による輸入物価の伸びは剥落する見込みだ。円安が再び進展しない限り、新型コアCPIも鈍化する可能性が高くなり、2%上昇の物価目標の達成は遠のくことになる。

物価目標の達成が遠のくのであれば、追加緩和に動くべきだ、というのが追加緩和を期待する方々の考えなのだろうが、黒田日銀総裁は、こうした考えに否定的だ。同総裁は10月30日の金融政策決定会合後の会見で、2%の物価目標をできるだけ早期に実現することが目標だが、物価だけ上がれば良いというわけではなく、賃金も上がっていく、企業収益も増えていく、経済全体がバランスの取れた形で目標を達成するのでなければ、持続的・安定的に物価目標を達成することは非常に難しいと発言。追加緩和に踏み切るとしても、物価の基調あるいは経済全体をよく見て、総合的に判断して決める意向を示した。

筆者も黒田総裁の考えと同じだ。日銀が追加緩和などで円安を促し、結果として物価目標が達成できたとしても、円相場が上昇に転じれば、物価は鈍化するのは必然。黒田総裁が指摘するように、物価目標を持続的・安定的に達成するには、内生的なメカニズムでインフレ圧力を高めなければならない。

足元の景気の弱さを指摘したくなる気持ちは理解できなくもないが、今の景気は実力通りでしかないことも改めて認識する必要がある。日銀によれば日本の潜在成長率は0%台前半ないし半ば程度。GDP成長率が2期連続のマイナスになったとしても、潜在成長率を所与とすれば誤差の範囲と考えられる。

しかし今後は労働投入量の拡大を通じ、潜在成長率が高まることも期待される。日本の場合、人口が減少基調にあるため、労働投入量の拡大を期待するのは難しいように思われがちだが、実は労働投入量は緩やかながら拡大している。たとえば9月の労働力人口は6626万人と2011年2月以来、同月の就業者数は6399万人と2008年11月以来の高水準にそれぞれ増加している(いずれも季節調整値)。

過去2年以上の景気回復を背景に、非労働力化していた女性が労働市場に参入したことで労働力人口が増加。就業率(人口全体に占める就業者数の割合)も雇用環境の改善で女性は上昇基調で推移している。一方、男性の就業率は25―34歳が90%近辺と30歳代後半から40歳代後半の93%台に比べても低く、女性と違い伸び悩んでいる。

日本の労働需給は逼迫(ひっぱく)したままであることから、今後も労働投入量は労働市場の弛み(スラック)を解消する形で拡大が続くと考えることが可能だ。結果として、日銀が無理に動かなくても、潜在成長率の高まりを通じインフレ圧力が内生的に高まることも期待される。

もちろん、2%の物価目標の達成のためには、労働投入量の拡大に加え、1人あたり賃金の上昇も不可欠だ。現に10月6―7日の日銀決定会合の議事要旨でも、何人かの委員が来年の春闘におけるベースアップを含めた賃上げが重要であると述べている。ただ、来年度の賃上げ状況が確認されるのは早くても来年3月半ば。それまで日銀は追加緩和という切り札を温存するのが得策となる。

<現実味増す12月の米利上げ、ドル円に上昇余地>

米国では10月雇用統計が予想外の好結果となった。非農業部門雇用者数は前月比27.1万人増と今年最大の伸び。労働参加率は62.4%と前月から横ばいだったが、失業率は5.0%と前月から低下した。日本と違い米国では労働市場のスラックが縮小傾向を維持している。

注目すべきは、平均時給が前年比2.5%増と市場予想を上回り、大きく加速したことだ。これまで労働市場のスラック縮小は確認されたものの、賃金への波及が遅れていることが利上げ開始を阻むとの見方があった。だが、この結果により、労働市場の改善継続でインフレが中期的には2%に戻るとするFOMCロジックが確認されたことになる。もちろん、12月のFOMC前に発表される11月雇用統計の結果を見極める必要があるが、米国の利上げ開始の現実味は増していると言える。

日銀が追加緩和に動かなくても、米国がいよいよ利上げに着手するのであれば、ドル円は上昇(ドル高・円安)方向に動くと予想される。10月の米雇用統計発表後、ドル円は123円台に急上昇し、その後は下値の堅い動きを示している。米国が実際に利上げを開始すれば、次の利上げを織り込む形で125円突破を目指す展開となり、日本の新型コアCPIの伸びをサポートするだろう。このことからも日銀は、米国の利上げ開始を横目で見ながら、様子見姿勢を続けることが妥当と判断するのではないだろうか。

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米利上げ後のシナリオ描けず、ドル122―124円か=今週の外為市場

[東京 24日 ロイター]
今週の外為市場では、確実視されつつある12月の米利上げ開始を受け金融市場がどのように反応するかのシナリオが描けず、投機筋が新規ポジションの構築を手控えることが予想される。ドルは月初からのレンジ122―124円に収まりそうだ。

予想レンジはドル/円が122.00―124.00円、ユーロ/ドルが1.0600―1.0800ドル。

東京市場が休場だった23日の取引では、ドルがアジア時間の高値123.25円から、ニューヨーク時間には一時122.78円まで下落した。「123円半ばが重かったため、感謝祭休暇を控えた調整的な売りがでた」(外為アナリスト)という。今週は26、27日と感謝祭休暇をとる海外参加者が多い。

直近のレンジに安住し、トレンドが出ないドル/円相場について、FXプライムbyGMOの常務取締役・上田眞理人氏は「12月の米利上げ開始が確実視されているとはいえ、利上げ後の株、債券、商品市況の反応が読み切れない」ことを背景の一つとして挙げた。

また、あたかも12月利上げを前提とするような米連邦準備理事会(FRB)高官らの発言に対して、市場の反応が鈍いのは「情勢が変われば、高官らがすぐにトーンを変えてくると思われているため」(上田氏)だという。

結果的に、投機筋はドル買いにもドル売りにも身が入らない状態で、米利上げは金利高でドル買いか、株安でドル売りかというコンセンサスすら形成されていない。

さらに、市場シェアを拡大しているアルゴリズム取引では、あらかじめ狭いレンジを想定した売買が活発で、相場観とは無関係に「下値では押し目買い、上値では戻り売り」の流れができあがっている。

一方、ユーロについては、欧州中央銀行(ECB)による追加緩和の見通しが強まり、中長期的なユーロ安見通しを持つ参加者が多いが、ドルの方向性が定まらないため、ユーロも当面は方向性が出づらいとみられている。

市場で注目されるドル調達コストの上昇については「市場の流動性が薄いため、調達コストが跳ねる可能性は残っている。ただ、値ごろ感からの円運用(円調達/ドル供給)も少し出ている」(金融機関)という。

円投/ドル転スワップでは「ベーシス」と呼ばれる日米金利差からの乖離が9日に3カ月物で87bpまで拡大し、2008年10月以来の高水準となった。ベーシスを加味した3カ月物の円投/ドル転コストは18日にも1%を超えた。

今週は、24日に米第3四半期GDP改定値、25日に米新規失業保険申請件数、米個人所得・支出、米耐久財受注などが予定されている。

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コラム:ユーロ安招く日米欧政策コントラスト

山口曜一郎三井住友銀行 ヘッド・オブ・リサーチ

[東京 4日]
10月後半は市場参加者や中銀ウォッチャーにとって目まぐるしい日々だった。主要中銀の一連の政策発表によって得られた情報は数多いが、ここでは新興国経済や金融・商品市場に対する各中銀の見方の違いと、日米欧の中で最も積極的に追加緩和姿勢を示したユーロ圏動向の2点に絞って分析したい。

10月の主要国中銀の動きを簡単に振り返れば、22日開催の欧州中銀(ECB)理事会で現行の政策が据え置かれたものの12月の追加緩和がほのめかされ、翌23日には中国人民銀行が利下げと預金準備率引き下げを発表した。そして、28日には米連邦公開市場委員会(FOMC)で12月の利上げ開始を想起させる声明文が出され、30日には日銀が金融政策決定会合で政策維持を決めている。

これらの流れの中でまず指摘したいのは、新興国経済と金融・商品市場に対する日欧米中銀の見方が全くと言っていいほど異なっていた点だ。

ECBは9月3日に「金融・商品市場の急激な変動について、これらが物価見通しに継続的なインパクトを与えるものか一時的なものか結論付けるには時期尚早」と述べていたが、10月22日には「新興国市場の成長見通しと金融・商品市場の動向から来る経済への影響の可能性は引き続き成長・インフレ見通しへの下方リスクを示す」と警戒姿勢を強めた。これがECBの政策スタンスに大きな影響を与えていることは間違いない。

一方、米連邦準備理事会(FRB)は9月17日のFOMCで「最近の世界経済や金融動向が経済活動をいくらか抑制する恐れがあり、短期的にインフレ率にさらなる下押し圧力を与える可能性がある」という文言を声明文に挿入したが、10月28日にはこれを丸ごと削除した。

筆者は、9月にこの一文が挿入されたことで年内の利上げ開始は難しいだろうと考えていたが、この文言が削られたことで、新興国経済、金融・商品市場、国内経済という3つの利上げのハードルのうち、国内経済のみが残された。過去2カ月間弱めのものが続いている雇用統計など主要経済指標が改善を示せば、次回12月FOMCでFRBは利上げに踏み切る可能性があるだろう。

ただし、疑問は残る。9月にイエレンFRB議長は、新興国や金融市場から来るリスクに懸念を示し、中国が主要貿易相手国となっているカナダなど他国からの影響に言及し、一連の動きが米国に与えるインパクトを評価するのにもう少し時間をかけたいとしていたが、この懸念は本当にわずか1カ月で解消されたのだろうか。市場の反応を見る限り、声明文に関してはうまく軌道修正できたが、この先、新興国経済や金融・商品市場の米国への影響が遅れて出てきた場合、ややこしいことになる。

こららに対して、日銀はほとんど見方を変えなかった。10月30日の展望レポートでは、物価目標の達成を「2016年度前半頃」から「2016年度後半頃」に後ずれさせたが、新興国経済の影響については「わが国の景気は、輸出・生産面に新興国経済の減速の影響がみられるものの、緩やかな回復を続けている」と10月7日の声明文を踏襲した。海外経済をめぐるリスクの中で「中国をはじめとする新興国経済の減速の影響」が先頭に記されていたが、メインシナリオを脅かすほどの高いリスクとして警戒されている雰囲気はなかった。

この3中銀の見解の違いはそのまま政策スタンスのコントラストにつながっている。ECBが追加緩和の可能性を強く示唆している一方、FRBは次回FOMCで利上げを検討することを明言。対して日銀の金融政策は現時点では中立的な姿勢を取っている。

筆者は年度末までのユーロドルの下値ターゲットを1.0700と見ているが、金融政策姿勢の相違はこの見通しをサポートしそうだ。ドル円については、日銀の態度が中立的であるものの、米国に対して再度利上げ観測が高まっていること、市場で日銀の追加緩和観測が根強く残っていることなどから、124円レベルに向けて緩やかなドル高円安地合いが維持されると見ている。

<ユーロ下落狙うECBの次の一手は何か>

次に、2つめのポイントであるユーロ圏の動向については、ECBのスタッフ見通しが緩やかな経済活動の回復を予想しているにもかかわらず、なぜECBはかくもハト派的なのか、なぜ12月の緩和実施を示唆しているのかという点が人々の関心の中心にあるだろう(ECBスタッフによる成長とインフレの見通しは2016年がそれぞれプラス1.7%とプラス1.1%、2017年がプラス1.8%とプラス1.7%)。

筆者は、先に挙げた新興国経済や金融・商品市場の影響から、成長・インフレともに下方リスクが高まっており、それゆえユーロ圏には追加緩和が必要と考える。しかも、そのリスクには非常に積極的に対応すべき理由が存在する。ユーロ圏では外需とヘッドラインインフレ率(総合インフレ率)の動向がアキレス腱となっているのだ。

内需のけん引力が弱いユーロ圏において、外需の減速は経済活動の推進力を大きく削ぐ恐れがあり、またヘッドラインの消費者物価指数(HICP)が0%近傍で推移する中、物価の下落圧力は実際のインフレとインフレ期待のコントロールにおいて重大なリスク要因となる。ECB理事会もこれらの点を強く意識しているからこそ、あのようなハト派的姿勢を示しているのだと見る。

インフレとインフレ期待の低下は、消費や投資の先送りなど経済活動への脅威となるが、ユーロ圏の場合、高水準の債務残高に対しても大きなリスクとなる。2009年秋から始まったユーロ危機において、金融機関のデレバレッジ圧力が高まった際、ECBは、デレバレッジはあるべき姿だが、信用のひっ迫によって景気が失速するのもまずいということで、各種の金融緩和策や貸出刺激措置を講じた。その結果、景気の致命的なクラッシュは回避できたが、非金融企業の対国内総生産(GDP)債務比率は依然135%という高水準にある。

ユーロ圏が急激なデレバレッジに耐えられないことを考えると、債務比率を引き下げるには名目成長率を高めていくしかない。景気の一段の減速や低インフレの長期化は回避しなければならないという状況で、大きなリスクとなるのは通貨高であり、逆に通貨安は外需とインフレの押し上げに効果が期待できる。ECBは明言しないが、ハト派的スタンスの裏に隠されている真の狙いはユーロ下落だろう。

では、一歩進んで、緩和手段としてはどのような選択肢があるのか。一定の効果が期待できるのは、資産購入による量的緩和(QE)の増額とマイナス金利の追加引き下げと考える。10月のドラギECB総裁会見を受けて、市場ではこの両方を一度に出してくるという見方が台頭しているが、過去をさかのぼれば、当初はQEへの反対が根強かったためマイナス預金金利が先に導入され、その後、理事会内で大多数の賛成が得られてQEに踏み切ったという経緯がある。よって、現時点での軸足は資産購入によるQEだと考える。

また、QE増額は国債発行額と残高からいつ限界に達するかがある程度予想できてしまうが、物理的には無限の余地があるマイナス金利幅の引き下げを見せることで、選択肢の豊富さを強調できる。高まる市場の期待をどう鎮静化させるかという課題があるが、まずはQE増額、さらなる手段が必要となればマイナス金利幅拡大という展開を予想する。

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コラム:「師走の円安」アノマリー再現か

鈴木健吾みずほ証券 チーフFXストラテジスト

[東京 13日]
相場には、周期性やアノマリー(Anomaly)などと呼ばれる特徴的な動きがみられることがある。たとえば株式市場では、日本の「節分天井、彼岸底」や英米の「Sell in May(5月に売れ)」といった格言がよく知られている。実際、相場の「癖」は投資のタイミングを考える際において参考になる場合も多い。

ドル円相場にこのような格言があるかは定かではないが、それでも特徴的な動きは観測できる。たとえば今年、ドル円は毎月10日前後に月間の高値を付ける傾向がある。

今年もすでに10カ月が過ぎたが、2月は12日、3月は10日、4月は13日、8月は12日、9月は10日に月間の高値を記録している。5日が高値となった6月も含めれば10カ月中6カ月の高値が10日前後に集中しており、11月も9日の1ドル=123.60円を高値にドル円は上値の重い値動きをみせている。

アノマリーとは直訳すれば理論的に異常であることや説明できない事象のことを指すが、このような相場の特徴的な動きについては理論的な説明とまではいかなくても、背景程度なら指摘することが可能だ。前述のドル円の値動きについては、為替市場の焦点が米国の景気回復動向と連邦準備理事会(FRB)の利上げのタイミングに集まるなかで、米重要経済指標の発表スケジュールがこのような値動きを引き起こしているのではないか。

為替市場が重視する米重要経済指標は月末・月初に集中する傾向がある。月の最終週には国内総生産(GDP)や個人所得、個人消費が発表され、月が替わるとISM製造業景気指数やISM非製造業景気指数、ADP雇用統計などが続き、クライマックスは第1週の金曜(正確には毎月12日を含む週に調査を行い、その3週間後の金曜日に結果が発表されるが、大抵、翌月の第1週の金曜日がこれにあたる)に発表される雇用統計だ。

その後、第2週には小売統計が発表されるが徐々に市場にとって「小粒」な指標が増えていく。米国が緩やかな景気回復傾向にあり、FRBが利上げのタイミングを模索するなか、米重要経済指標に対する評価や期待を背景にドルは月末から月初に向けて上昇傾向を強める。一連の発表が終わると上昇が一段落して利食いなどによる調整的な値動きが強まり、また月末になると再び上昇傾向を強める、といった動きの繰り返しが、結果として毎月10日前後の月間高値を形作っているのではないか。

<ドル円の年初来高値更新へ条件整う>

前述の通り、今月も9日にかけて上昇基調を強め、一時123円台後半を示現した。10月半ばからすでに5円以上の上昇となっており、短期筋が利食いに動く可能性や米利上げ観測が新興国市場にもたらす影響を見極めたいなかで、目先はやはり調整的な値動きとなりやすいだろう。

しかし、12月半ばの連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ期待もある状況下、また月末が近づくにつれて期待がドルを押し上げる展開を想定している。

さらに長い年ベースでみても、ドル円相場の特徴的な動きは観測できる。2007年から2011年頃にかけては夏から秋頃に下落し、その後、年末から翌年序盤に上昇する傾向が顕著となった。2012年以降も年終盤から年始にかけての上昇傾向は継続しており、2012年、2013年、2014年ともに年の高値は12月に記録している。

背景には2007年頃からの一連の金融危機とこれに対するFRBの対応があると考えている。2007年に金融市場を揺るがしたサブプライム問題は8月9日のパリバショックがその発端となり、その後9月にかけて危機が加速した。

翌2008年は9月15日にリーマンショックが起き、2009年10月には政権交代が実現したギリシャにて前政権の粉飾が明らかになるとともにギリシャ債務危機がスタートした。2010年は9月30日、銀行救済の巨額負担のためアイルランドの財政赤字が急増することが発表され、その後アイルランドは金融支援申請へと進んでいく。つまり、毎年世界の金融市場を揺るがす事件がいずれも8月から10月頃に集中して勃発している。

このような市場の動揺に対応し、FRBは2007年以降、機動的に利下げを実施していたが、2008年12月にはついに事実上のゼロ金利政策を導入するとともに政府機関債の購入に言及し量的緩和(QE)へと突入していく。2010年11月にはQE2を導入し、2011年9月にはツイストオペを開始。2012年9月にはQE3を導入するなど、重要な金融政策の導入や変更は9月頃から年末にかけて集中している。2013年に量的緩和ペースの縮小(テーパリング)を発表したのも12月のFOMCだ。

ドル円相場はこのような一連の動きを反映し、危機が強まる夏から秋にかけてリスクオフの円買いなどから下落傾向を強め、その後、年終盤にかけてはFRBの政策対応に対するドル買いなどに反転。年末から翌年序盤にかけて上昇するものの、次の夏から秋には再び別の危機が到来、といったサイクルになったとみられる。

加えて、日本サイドでも2012年の年末に成立した安倍政権に対する期待や、2014年10月31日の日銀によるサプライズ緩和などが、ドル円の年末上昇アノマリーに拍車をかけることとなった。

今年、ドル円の上下レンジは115.85円(1月16日)から125.86円(6月5日)の10.01円。昨年までの直近5年間の平均はおよそ15円強、同10年間の平均は16円半程度となっており、このまま年末を迎えれば変動相場制に移行してからの最小値幅を記録するほどの小幅な値動きにとどまっている。

しかし、前述の通りドル円相場は年末から年始にかけて上昇する傾向がある。奇しくも年末年始に向けて、12月にはFRBがついに利上げに踏み切る可能性が高まり、日本サイドでも補正予算などを通じたアベノミクスに対する期待再燃や日銀に対する追加緩和期待もくすぶるなど、アノマリーを再現する条件は整っている。今年もあと1カ月半となったが、ここからドル円が年初来高値を更新していく可能性は意外に高いのではないかと考えている。

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12月米利上げ「条件整うと想定」大半 FOMC議事要旨

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK19H02_Z11C15A1000000/?dg=1

米連邦準備理事会(FRB)は18日、10月27~28日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。金融市場の焦点になっている12月FOMC(15~16日)での利上げの有無に関し、大半のFOMC参加者がこのまま経済情勢が予想どおりに進展すれば「次回のFOMCで政策金利の正常化プロセスを開始する条件が整うと想定している」ことが判明した。

10月のFOMCでは、リッチモンド連銀のラッカー総裁が0.25%の利上げを求めたが、事実上のゼロ金利政策の維持を賛成多数で決めた。8~9月の世界的な株式市場の混乱の行方を見極める必要があると判断した。

ただ今月初めに発表になった10月の雇用統計が急回復したことで、市場では一気に12月利上げ説が台頭。今回の議事要旨の内容は12月利上げの可能性をおおむね後押しする内容になっている。


ドル一時上昇、FOMC議事要旨受け=NY市場

[ニューヨーク 18日 ロイター]
18日のニューヨーク外為市場では、ドルが一時上昇した。米連邦準備理事会(FRB)が公表した10月27─28日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、大半の参加者が12月までに利上げ条件は整う可能性があると認識していることが明らかになったことが背景。

ドルの主要6通貨に対するドル指数は約7カ月ぶり高値を更新した。

ただ市場のドル買いの反応は瞬間的で、その後ドルは徐々に緩んでほぼ横ばいの水準で取引を終えた。

ドル指数は99.853に上昇後、直近はほぼ横ばいの99.65となっている。全体的に方向感に欠ける動きだった。

ドル/円は終盤の取引で、小幅高の123.56円。議事要旨公表後は、約3か月ぶり高値の123.67円まで買われていた。ユーロ/ドルも、終盤はほぼ横ばいの1.0644ドル。

CMEグループ・フェッドウォッチによれば、議事要旨公表後の金利先物市場が織り込んでいる12月利上げ確率は、公表前の72%から68%に低下している。

これについてオアンダ(トロント)のシニア通貨ストラテジスト、アルフォンソ・エスパラザ氏は「米経済の先行き見通しについてFOMC参加者の間で議論があったことで、12月利上げの可能性が縮小したのかもしれない」と指摘する。

ただ議事要旨は、世界経済と米経済回復を受けて直接12月の利上げに言及する異例の内容で、2人のメンバーが12月の利上げを示唆する文言変更が強すぎるとの懸念を表明しただけだった。

コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジ(ワシントン)のチーフ・マーケット・アナリスト、オマー・エシナー氏は「議事要旨でドルの幅広い上昇基調は続くだろう。さらに重要なことは、ドル高による逆風について議論があまりなされなかったことだ」と述べた。

FRB当局者の発言も、12月利上げを後押しするものだった。例えば米アトランタ地区連銀のロックハート総裁(投票権有り)は、8月に金融市場が動揺して以降市場は落ち着きを取り戻し、利上げは間もなく適切になるだろうとの認識を示した。

またダドリー米ニューヨーク連銀総裁や米クリーブランド地区連銀のメスター総裁も、ほぼ同様の見方を示している。

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焦点:雇用統計受け12月米利上げ濃厚、既に景気過熱の懸念も

[ワシントン 6日 ロイター]
米労働省が6日発表した10月の米雇用統計で雇用者数の堅調な伸びが確認されたことを受け、米連邦準備理事会(FRB)が12月に利上げに踏み切る可能性が高まった。FRBの政策当局者らは、借り入れコストの上昇がなければ経済が最終的に過熱すると懸念し始めている。

10月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は27万1000人増を記録し、2カ月間続いた低い伸びから一転、急増した。失業率も、2008年4月以来7年半ぶりの水準となる5.0%に低下した。

FRB当局者が、失業率のこれ以上の低下は望まず、予想してもいないと明言するなか、11月雇用統計が大幅に悪化したり、金融市場が大荒れになるといった事態でもない限り、12月15─16日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決まるのはほぼ確実な情勢だ。

10月雇用統計を受けて、投資家の来月利上げ予想が高まった。先物市場が織り込む利上げ確率は72%と、前日の58%から上昇した。

<FRB、これ以上の失業率低下は望まず>

エコノミストは雇用統計の発表前、10月と11月の雇用者増加幅が15万人を超えれば、12月利上げの条件が整うと指摘していた。

実際、10月の雇用者増加幅は過去2年の平均を大幅に上回り、FRB当局者の多くが失業率低下に必要と考えている水準より高かった。

またFRBの複数の調査で、他に悪材料がない限り、10万人程度の雇用者増が確保できれば利上げに十分、との結果が出ている。

FRB当局者は、雇用創出は鈍化する必要があるとの見方を示している。直近の当局者の予想(中央値)は、失業率が4.9%を割り込めば、インフレ率は最終的に目標の2%を上抜けるというものだ。

イエレンFRB議長は4日、下院金融サービス委員会で証言し、8月と9月に雇用者の伸びが低かったにもかかわらず、経済は堅調と表明。

サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は10月の段階で、記者団に対して「一定の鈍化が見られるのは想定通りというばかりではなく、健全な労働市場に必要なことだ」との認識を示していた。

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コラム:円高シフト鮮明へ、来秋ドル113円も

佐々木融JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長

[東京 2日]
日銀は10月30日の金融政策決定会合で、金融政策の据え置きを決定した。一部海外勢を中心に追加緩和期待もあったため、政策発表後に円は一時買われた。

通常、展望レポートが発表される4月末と10月末の政策発表時間は午後1時台が多いが、今回は12時22分だった。据え置きを予想しつつも、ある程度の議論の紛糾を見込んでいた人たちにとっても、予想外に早い発表だったと言える。採決結果も前回と同じ8対1で、ほとんど新しい議論はなかったのかもしれない。

日銀は2016年度の消費者物価指数(CPI)前年比の予想を、7月時点の1.9%から1.4%に引き下げたが、2017年度の予想は1.8%で据え置いた。もっとも、CPI前年比が2%に到達する時期については、これまでの「2016年度前半頃」から「2016年度後半頃」に先延ばしした。

黒田日銀総裁会見で最も印象的だったのは「物価だけが上がればよいわけではなく、賃金も一緒に上がらなければ、経済全体のバランスが取れず、2%というインフレ率を安定的に達成するのは難しい」との発言だ。

確かに日銀は2%の物価目標に関し、「これを安定的に持続するために必要な時点まで量的・質的金融緩和を継続する」としている。賃金が上昇しない中でインフレ率が上昇すれば、実質賃金はマイナスとなり、消費に対してはマイナスだ。結果的にインフレ率は維持されないだろう。

金融政策などを背景に円安となり、企業収益も過去最高水準に達したが、それでも賃金は十分に上昇していない。今後必要なのは、こうした構造的な問題をどう解決するかという政策・対策なのだろう。

<円を取り巻く環境が激変、低金利通貨の座もユーロに奪われる>

当社は、来年7―9月のドル円相場予想を115円から113円に引き下げた。当社エコノミストは今回の結果を受け、日銀の追加緩和は来年11月までないとの予想に変更した(来年10月末の決定会合は10月31日―11月1日開催。また来年から決定会合の回数もこれまでの14回から8回に減少)。

ただ、日銀追加緩和の有無にかかわらず、これまでの円安トレンドはすでに終了しており、来年に向けては円高基調が続くと予想している。それは円相場を取り巻く環境が、円安が大きく進んだ2013年、2014年とは大きく異なっているからである。

最も大きな違いは経常収支だ。今年の経常黒字額は1月から8月までで11.6兆円。昨年1年間の同黒字額は2.6兆円だったから、急増していることが分かる。

ちなみに、経常黒字が昨年まで急速に減少した背景には、2011年頃から始まった貿易収支の急速な悪化があった。貿易収支は2011年に赤字となり、その後も年々悪化し、2014年には10.4兆円まで赤字幅が膨らんだ。

貿易赤字増加の背景には、エネルギー価格の急上昇とアジアからの輸入増加があった。時折、原発停止でエネルギーの輸入が増えたのではとの質問を受けるが、実はこの間の原油輸入量は減少している。液化天然ガス(LNG)輸入量は増加しているが、輸入量増加分の金額的な影響は1兆円強でしかない。

筆者は、2013年から2014年の大幅な円安の原因はこうした貿易収支の急激な悪化だったと見ている。確かにアベノミクスや日銀による量的・質的緩和が心理的な影響を与えたのも事実だろうが、円相場を取り巻くファンダメンタルズも、円を押し下げる方向に大きく変化していたのだ。

ただ、貿易収支は今年に入り、大きく改善している。1―8月の貿易赤字は0.8兆円と、前年同期(7.9兆円の赤字)から大幅に減少している。これが今年の経常黒字が急拡大している背景だ。つまり、円相場を取り巻くファンダメンタルズは、昨年、一昨年とは異なり、今年は急速に改善し、円高方向の動きを示唆し始めているのだ。

もう1つ、今年大きく変化している重要なファンダメンタルズは金利差だ。特に昨年以降、日本以外の先進国も金利を引き下げてきたため、日本と他国との金利差が大きく縮小している。その中でも特に円相場に影響を与えていると考えられるのはユーロの金利だ。2年以下のやや短めの金利を見ると、今年に入ってからユーロの金利が円の金利を下回っている。

これは円相場にとって重要な意味を持つと考えられる。通常、市場が安定し、投資家のリスクテイク志向が強まると、低金利通貨を売り、高金利通貨を買う、いわゆるキャリートレードが活発化する。これまで、こうした時には円が典型的な低金利通貨として売られることになり、たとえ経常黒字に伴う円買いが多額に上っていても、それ以上に円が売られ円安になることがあった。

しかし、今年に入ってからは、「典型的な低金利通貨」の地位がユーロに奪われてしまったため、投機的な円売りが発生しなくなっている。これも円を取り巻くファンダメンタルズの劇的な変化だ。

こうした中、政府・当局者の円相場に対する見方の変化も重要となる。昨年までは円安進行を好ましく思っていたように見えた政府・当局者も、最近はさらなる円安進行を警戒し始めているようだ。賃金が十分に上昇しない中で、食品価格が上昇し始めており、円安進行がインフレ率を押し上げれば消費にとってマイナスとなるのは明らかだ。

また、最近合意に至った環太平洋連携協定(TPP)も、米議会で順調に承認されるためには、ここでいたずらに円安が進むことは好ましくない。昨年までは短期的な円ショートポジションを造成しても、日本の政府・当局が味方をしてくれていたが、円安けん制発言が飛び出しかねない現在では、安心して短期的な円ショートポジションを保有しづらくなっている。

<ドル急騰再現は望み薄、来年後半に115円下抜けか>

さらに、もう1つ重要なのはドルの動きだ。ドル円は昨年8月上旬の101円台半ばから、10月末の日銀追加緩和を挟み、昨年12月上旬までの4カ月間で121円台後半へと20%程度の急上昇を見せた。こうした動きはもちろん円安による部分も大きいが、ドル高による部分も大きかった。

実際、同期間にドルは主要通貨の中で圧倒的に最強通貨となっており、2番目に強かったカナダドルに対してさえ5%程度上昇している。一方、この間、豪ドル円は7%、ユーロ円は9%程度しか上昇していない。

年末から来年にかけて米連邦準備理事会(FRB)が利上げを行うことが予想される中、今回もドル高を予想する声は聞かれる。しかし、過去の経験則から言えば、ドルはFRBが最初に利上げを行うタイミングの前後1カ月程度でピークを迎え、その後半年程度は反落基調に向かう傾向がある。

ドルは名目実効レートベースで昨年7月から19%程度急騰している。長期の水準を測るのに適している実質実効レートベースで見ると、2001年につけたピークとほぼ同水準のところまで上昇している。ここから多少ドルが上昇する可能性は否定しないが、昨年後半と同じような急騰を望むことはできないだろう。

こうした環境の変化に鑑み、ドル円は来年後半には115円を下抜ける可能性が高いと筆者は予想している。また、当社エコノミストが予想する来年11月の追加緩和前には、110円を割り込むリスクも十分に考えられる。

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