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日本の「稼ぐ力」を映す円高、介入よりも恩恵生かす政策求める声も

 [東京 3日 ロイター] 
円高が進行し、通貨当局による為替介入が予想される中、介入頼みの政策対応を疑問視する声が出始めている。

現在の円高は、日本の経常収支の黒字を対外投資で相殺しきれない構造が背景にあるが、欧州や米国の財政危機などにより対外投資は増加しにくく、円高圧力は容易に衰えそうにない。政府はむしろ、場当たり的な介入対応ではなく、日本の「稼ぐ力」を示す経常黒字を背景に、円高メリットを生かす政策展開が必要との見方が出ている。

<日本へ回帰する資本>

財務省の国際収支統計によると、震災後の4、5月は貿易収支が赤字になったが、毎月1兆円を上回る規模で所得収支の黒字が続いた結果、経常収支は4、5月累計で9963億円の黒字となった。資本収支も累計で9828億円の黒字だ。つまり、経常収支黒字がもたらす円高圧力を、日本からの資本流出(海外投資)で相殺できていないばかりか、逆に資本が海外から日本へ回帰し、円高圧力を増幅する状況が続いている。

「こうした状況を打破し、自由にリスクをとって海外投資を盛り上げるには、欧米債務問題の解決にメドをつけたいところだが、100年に一度の金融危機を財政で処理しようとした欧米では、民間危機が財政危機にシフトしただけで、レバレッジが修正されたわけではない」と東海東京証券のチーフエコノミスト・斎藤満氏は指摘する。

「こうした大規模なバランスシート問題が1年や2年では解決不可能なことは、日本が経験済みだ」と斎藤氏は述べ、日本から海外へのリスク投資の復活には時間を要するとの見方を示した。

<円高の背景にある「稼ぐ力」>

市場には現在の円高圧力がなお継続するとの観測が多い。海外の財政問題や景気動向をにらんだ短期的な思惑に加え、構造的に今の円高は日本の「稼ぐ力」を反映している、との見方もある。

「ドルは底打ちしていない。なぜなら今、市場で問われているのは『稼ぐ力』だからだ」とマーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表の亀井幸一郎氏は言う。「25年以上経常黒字を維持し、251兆円の対外純資産を保有する日本と、莫大な赤字を垂れ流し、世界最大の純債務国の米国との比較では、後者がソブリンリスクに直結していることは明らかだ」と亀井氏は言う。

「米国は基軸通貨の発行国であるということだけを拠り所に、ドルを増刷してきた。量的緩和第3弾(QE3)が現実味を帯びるが、対外的に稼げていないという点は一向に変わらない」と亀井氏は述べ、ドルの下値リスクが継続すると予想する。

東海東京証券の斎藤氏は、「米国は既に万策尽きている」としたうえで「今後はQE3を背景とするドル安で、米国内のグローバル・インベスターが国外で儲ける機会を担保し、これを活用していく方向になるだろう」との見方を示し、「ドル/円は70円付近まで下落するとみている」と述べた。

米国はネットでは対外債務国だが、米国人が海外に保有する資産のみ取り上げれば、2010年末に20.32兆ドルと、2009年の18.49兆ドル(訂正)から約10%増加している。

「ドル安は米輸出企業の国際競争力を向上させる面もあるが、GDP伸び率が低迷していることからも、米製造業が受けるメリットは金融資本が受けるメリットに比べて小さい」と斎藤氏は指摘する。

米国の4―6月期GDPは前期比年率1.3%増にとどまり、事前予想を大きく下回った。エネルギーや食料品高による購買力低下と、自動車販売低迷に現れる個人消費の失速が響いた。1―3月期の伸び率は1.9%から0.4%に大幅下方修正された。

<円高メリット生かす必要>

「日本は貴重な資金を使って為替の流れに竿をさすより、円高のメリットを国民生活に生かす道を考えた方が生産的だ」と斎藤氏は言う。東日本大震災と原発事故を受け、日本のエネルギー政策の軸足は、これまでの原子力から火力発電などへのシフトすることが見込まれている。日本の貿易はドル建ての割合が輸出よりも輸入の方が多く、ドル安による輸出のロスよりも輸入の利得が大きくなる。

6月の通関統計ではドル安のデメリットを受ける米国向け輸出は8600億円であったのに対し、ドル安/円高のメリットを受ける鉱物性燃料の輸入は1兆7000億円余りと、米国向け輸出の2倍ある。「この円高は電力コストを抑制し、ひいては電力料金の値上げを抑制するうえで大きな援軍だ」と斎藤氏は言う。

「足元の急な円高は確かに厳しいが、今後は、復興需要で立ち上がる内需に加え、放射能の影響で国内供給減となる農水畜産物の輸入拡大も見込まれ、円高のメリットを十分に享受できるだろう」と亀井氏は言う。

ライオン株式会社の取締役・笠松孝安氏は3日、円高は原材料購入でのプラスの影響の方が大きいと述べた。

<ドル買い介入の資金>

為替市場では、政府・日銀がドル買い/円売りの市場介入を準備しているとの見方が根強い。しかし、「介入が実施されたとしても、大規模、持続的なものにはならず、ドルの戻りは一時的で、効果は限定的と見ている」(JPモルガン・チェース銀行のチーフFXストラテジスト棚瀬順哉氏)との意見が大勢で、資金の無駄遣いに終わる可能性がある。

日本が1兆1378億ドル(6月末)の外貨準備を保有するようになったのは、度重なる為替市場介入(主にドル買い/円売り)の結果だが、ドル買いの資金は、外国為替資金証券を発行して調達している。

同証券の残高はドル買い介入の額に呼応して増加し、3月末で109兆3130億円にのぼる。つまり、外貨準備というドル建て資産の裏には外国為替資金証券という円建ての負債があり、資産が減価すれば債務超過に陥る。

「ドルやドル建て資産の急落という事態を想定すれば、債務超過に陥るリスクがある。そうなった場合は将来的に国民の負担になるだろう」(証券エコノミスト)。

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BURTON

確かに介入が無力であることはすでに実証済みであり、無駄遣いに違いありません。売るに売れない米国債のポジションを無尽蔵に積み上げるだけで、逼迫した財政下で財務省が裁量で介入する権利を国民が付託したわけでもありません。輸出企業が苦しいのは事実でしょうが、過去何度も苦しんだ円高にまったく対応を講じていないとすれば企業にも責任があります。この円高は360円からの円高の流れの延長線上にあるにすぎません。そのメリットを生かすことを考えるのが、日本の現実的な対応といえるでしょう。

私はヘッジファンドに投資していますが、円高の今こそ真価を発揮しています。大方の海外投資商品は円高が進む間は結局何をやってもダメですが、空売りを駆使するヘッジファンドはそれを収益機会に変えてしまうからです。「相場が下がったから仕方がない」というベンチマーク運用をしているファンドマネジャーのような言い訳は通用しません。

ヘッジファンド投資については以下のサイトが詳しいので参考になります(「みんなの海外投資」http://www.minkaigai.com/archives/category/anshin)。思ったより投資単位が低く、手続きも簡単。国内にも海外にも安値感のある投資対象がない今(いまさら金もちょっと……)、ヘッジファンドは魅力的な投資対象としてお勧めです。
by BURTON (2011-08-15 18:39) 

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